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JVC、熟成響棒や大型ウッドブロックで高音質化した、直販限定ウッドコーンコンポ「EX-HR11」

 JVCケンウッドは、JVCブランドのコンポとして、ウッドコーンスピーカーを採用した「EX-HR11」を9月17日に発売する。直販サイトのビクターダイレクト限定商品で、販売価格は138,000円。

ウッドコーンスピーカー採用コンポ「EX-HR11」
予約キャンペーンでプレゼントされる非売品のオーディオボードに設置しているところ

 なお、予約キャンペーンとして先着50人限定で、非売品のオーディオボードとオリジナルCD「原音探究」、3,000円分のiTunesカードがプレゼントされる。期間は8月28日~9月16日まで。詳細はキャンペーンページに記載されている。

 また、一般ユーザーを対象にした試聴会が9月6日に東京・丸の内のショールームで実施される。 参加は無料だが、事前にWebから予約が必要。予約方法やタイムスケジュールなどは同社のページに掲載されている。

 6月から発売している「EX-HR9」(オープンプライス/実売11万円前後)をベースにしながら、熟成スプルース響棒や、新形状のレッドオーク材の大型ウッドブロックなどを投入。ビクタースタジオのエンジニアも音質チューニングに参加し、「広い音楽空間表現や解像度の高いサウンドを追求したプレミアムモデル」と位置づけられている。

 メインユニットにはCDプレーヤー、アンプ、AM/FMチューナを搭載。USB端子も備え、USBメモリなどに保存した音楽ファイルや、iPodと接続してのデジタル再生が可能。セットのスピーカーは、9cm径ウッドコーンユニットを採用したフルレンジの小型バスレフタイプとなっている。

JVCの今村智氏

 HR11の進化ポイントは主にスピーカー。エンクロージャ内部、フロントバッフルの裏側上部に、縦目のスプルース響棒を配置しているが、これに加熱による人工熟成処理を施した。技術解説を行なったJVCのシニアエンジリングスペシャリストを務める今村智氏は、「法隆寺などの木造建築が現存するように、木材は時間の経過によりセルロースの結晶化が進み、強度が増すという特徴がある。今回、新たにスプルース響棒に人工的に熟成処理を施し、数十年以上の熟成を重ねたバイオリンのような音色をイメージした」と説明。この響棒により、「透明感ある響きと上方向への音楽空間の広がりを実現する」という。

左が熟成処理を施した響棒。右の未処理品と比べると木材の色に深みが出ていることが分かる
人口熟成処理を施したスプルース響棒の説明

 ユニットの磁気回路の後部に取り付ける木材は、樫やブナなど様々な木材で試作を重ね、従来のメイプル材からレッドオーク材に変更。形状も見なおした大型ウッドブロックとしており、取り付け位置も1mm単位で調整。「ダクトからの不要な高域成分を制御し、スピーカーのサイズを大きく超える重心の低い低音再生を実現する」とする。

厚みのある大型ウッドブロックを採用
スピーカー断面モデル(左がHR11、右がベースモデルのHR9)。ウッドブロックの厚さや形状が異なっている
ウッドブロックの説明

 ボイスコイルの錦糸線には4NのOFC(無酸素銅線)を採用。音の透明感や前方向への空間表現が向上したという。

 メインユニット側の改良点は背面の同軸入力端子固定部。異種金属のアルミワッシャを新たに追加したことで、振動を抑制し、音の解像度やエネルギー感が向上したとする。

デジタルアンプの「DEUS」や「K2テクノロジー」を採用

 その他の仕様はHR9と同じ。スピーカーの振動板はウッドコーンで、音の伝播速度を向上させるため、チェリー材の薄板シートを振動板に最適配置した異方性振動板としている。ボイスコイルボビンは、伝播速度に優れた木を薄さ80μに削り出して加工。

 エンクロージャにはチェリーの無垢材を採用。内部には響棒を採用している。吸音材はメイプル材のチップ。スピーカーの外形寸法は120×264×161mm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.2kg。

 メインユニットの側面には木製パネルを配置。本体部の振動吸収と剛性の向上、重量付加効果により、高解像度再生や、重心の低い低域再生を可能にしたという。底面には、本体を三点で支える真鍮無垢削り出しのインシュレーターを備え、振動を排除。ボトムシャーシ部には9mm厚の木製アークベースを固定して共振を抑制している。

ウッドコーンの加工過程のモデル
メインユニット底面のインシュレーターは位置によって滑り止めゴムの大きさを変え、低音の響きを高めているという

 アンプの最大出力は50W×2ch(4Ω)。デジタルアンプの「DEUS」を採用しており、高効率/高精度な信号増幅が可能という。デジタルとアナログのフィードバックを組み合わせたハイブリッドフィードバックにより電源変動による影響を抑制、SN比や歪み率、高域の再生特性も改善している。

 独自の高音質化技術「K2テクノロジー」も採用。入力信号をK2によって88.2/96kHz、24bitへとビット拡張/帯域拡張/波形補正を行ない、CDなどをマスタークオリティに近づけて再生できるとする。

 入力端子はアナログ音声×2、光デジタル×1、同軸デジタル×1。光/同軸デジタル入力は192kHz/24bitまで対応。出力は、アナログ音声×1、サブウーファ×1、ステレオミニのヘッドフォン×1も用意する。USBメモリに保存したMP3/WMA/AACや、CD-R/RWに記録したMP3/WMAファイルの再生も可能。USB端子にiPod/iPhoneを接続し、デジタル再生する事もできる。メインユニットの外形寸法は280×289×115mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は4.2kg。消費電力は45W。リモコンも付属する。

(山崎健太郎/一條徹)