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キヤノン、連写10コマ/秒でHDMI非圧縮動画出力も可能な一眼レフ「EOS 7D Mark II」

 キヤノンは、最高約10コマの高速連写機能を備えたAPS-Cデジタル一眼レフカメラのフラッグシップ機「EOS 7D Mark II」を、11月上旬に発売する。価格はオープンプライスで、ボディ単体の直販価格は208,000円。レンズキットも2種類用意し、24~70mmの「EF24-70L IS USMレンズキット」の直販価格は338,000円で、18~135mmの「EF-S18-135 IS STMレンズキット」は同248,000円。

EOS 7D Mark II(EF-S18-135 IS STM装着時)
EF24-70L IS USM装着時

 有効画素数2,020万画素のAPS-C(約22.5×15mm)のCMOSセンサーを備えた、EFマウントのデジタル一眼レフカメラ。映像エンジン「DIGIC 6」を2基搭載し、最高約10コマ/秒の高速連写や、EOSシリーズで最多となる65点の全点でクロス測距が可能なAF性能を装備。被写体の顔や色を検知して追尾する「EOS iTR AF」と、高精度にAF追従する「AIサーボAF III」を備える。測距点や様々な情報を表示する「インテリジェントビューファインダーII」も採用している。

 静止画/動画ともに最高ISO 16000の常用ISO感度を実現。自動露出(AE)システムも進化しており、被写体検知による高精度な露出制御に加え、フリッカー光源を検知して露出への影響を抑えた撮影も行なえる。ボディはマグネシウム外装を採用し、防塵・防滴仕様となっている。

 静止画/動画において、滑らかで追従性の高いAFを実現する「デュアルピクセルCMOS AF」を採用。1画素を独立した2つのフォトダイオードで構成し、各画素を位相差AFセンサーとして使用可能。このため、コントラストAFを使用せずに撮像面位相差AFだけで最終合焦まで行なえ、迷うことなく一発でピントを合わせられるという。1,920×1,080ドットのフルHDで60pの動画撮影が行なえ、従来のMOV記録に加えて新たにMP4形式での動画記録にも対応した。なお、MOV記録時は音声がリニアPCMだが、MP4記録時はAACとなる。

新開発のCMOSセンサーを搭載し、「デュアルピクセルCMOS AF」に対応
秒10コマの高速連写に対応

 動画撮影は、フルHDの60p/30p/24pのほか、1,280×720ドットの60p/30pなどに対応。動画サーボのAFカスタム設定機能を搭載し、AF速度と被写体追従特性(反応の敏感度)を表現意図に合わせて調整できる('09年以降に発売されたUSM搭載EFレンズ、STM搭載EFレンズ使用時)。

 さらに、動画撮影時にHDMIケーブル経由で大型ディスプレイでモニタリングしたり、非圧縮出力して外部レコーダへの記録も可能。音声も同時出力できる。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードとCFカードのデュアルスロット。GPSも備え、「GLONASS」や「準天頂衛星みちびき」にも対応する。

オールクロス65点AFや、AIサーボAF IIIを搭載
被写体の顔や色を検知して追尾する「EOS iTR AF」も備える
液晶モニタ側

 液晶モニタは3型/104万画素。光学ビューファインダを備え、視野率は100%。バッテリはLP-E6N/LP-E6を使用。別売ACアダプタキットにより、AC駆動も可能。バッテリ利用時の連続撮影枚数はファインダー使用時が約670枚、ライブビュー時が約250枚。 外形寸法は、約148.6×78.2×112.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約910g。

動画撮影時のメニュー画面
HDMIなどの端子部
SDとCFのデュアルスロットを装備
視野率100%の新光学ビューファインダーを採用
インテリジェントビューファインダーIIにより、様々な情報を表示
マグネシウムボディで、防塵防滴仕様
新レンズも発表。パンケーキの「EF-S24mm F2.8 STM」は11月下旬発売で23,000円
標準ズームの「EF24-105mm F3.5-5.6 IS STM」は12月下旬発売で7万円
独自の“DOレンズ”で蛍石を上回る色収差補正と非球面レンズの性質を併せ持つという超望遠レンズ「EF400mm F4 DO IS II USM」は899,000円で11月下旬発売

スマホユーザーも6割がステップアップ意向。4K動画対応は開発中

 キヤノンマーケティングジャパンの川崎正己社長は、レンズ交換式カメラの市場規模について、2014年は消費税増税の影響などで前年比マイナスに落ち込む見込みだが、2015年以降は再び拡大傾向にあると見ており、世帯普及率は現在の20%から、将来的には40%程度まで伸びると予測。外部の調査で、コンパクトデジカメからレンズ交換式へステップアップしたいという購入意向が56%、スマホユーザーの購入意向が60%という結果を紹介し、「スマホユーザーの増加がレンズ交換式デジタルカメラ市場の活性化につながる」との見方を示した。

中央がキヤノンマーケティングジャパンの川崎正己社長、右がキヤノン イメージコミュニケーション事業本部 副事業本部長 岡田正人氏、左がキヤノンマーケティングジャパン 常務執行役員 イメージングシステムカンパニープレジデントの八木耕一氏

 動画撮影に関して、4K記録への対応について質問が出ると、「EOS C500では4K動画に対応しているが、5D/7Dのクラスでも今後の発展性を見据えて、対応を考えなければいけないと認識している。将来的には常に考えて開発している」(キヤノン イメージコミュニケーション事業本部 副事業本部長 岡田正人氏)と回答した。

レンズ交換式カメラの市場規模
コンパクトデジカメやスマホからのステップアップ需要を見込む
ターゲットユーザー

 発表会では、高速連写やAFの進化などについて、写真家が使用感などを語るトークセッションも開催。野鳥を撮影した戸塚学氏、鉄道を撮影した長根広和氏、飛行機を撮影したルーク・オザワ氏、スポーツを撮影した中西祐介氏が、7D Mark IIが進化したポイントを、それぞれのジャンルならではの視点で解説した。

 なお、同日には1型CMOSセンサー搭載のコンパクトデジカメ「PowerShot G7 X」と、光学65倍の高倍率ズーム機「PowerShot SX60 HS」も発表。レンズ交換式に比べると厳しい市場環境のコンパクトデジカメについては「トップブランドとして、(IXYなどのスタンダードモデルを含む)フルラインナップで販売するスタンスに変わりは無いが、高級モデルと高倍率ズームモデルは成長が期待できる」とした。これら2機種については、別記事で掲載する。

左から、ルーク・オザワ氏、中西祐介氏、長根広和氏、戸塚学氏

(中林暁)