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中小型液晶パネルにシフトしたシャープ亀山第2工場

「中国スマホ」好調で稼働率100%。'17年に8割が中小型

 シャープは、亀山第2工場における中小型パネルの生産比率を2017年度に向けてさらに高め、将来的には80%以上とする計画を明らかにした。9月には、当初計画通り、中小型パネルの構成比は約5割となっており、中国向けスマートフォンパネルの生産が好調に推移しているという。また、同社では、亀山第2工場におけるIGZO液晶の生産ラインの写真を公開した。

シャープ亀山第2工場

 シャープの亀山第2工場は、2006年8月に稼働。第8世代マザーガラスによる生産体制を持ち、40型、50型のテレビ向けパネル生産でスタート。大型液晶テレビ向けの基幹工場となっていた。

 だが、液晶テレビの価格競争の激化に伴い、液晶事業の収益が悪化。収益改善に向けて、大型パネルの生産から中小型パネルの生産へと転換し、さらに、2012年3月からはIGZO技術を採用した中小型液晶パネルの生産を開始していた。

 現在、大型液晶テレビ向けパネルのほか、スマートフォンやタブレット、ウルトラブック向けのIGZO液晶を生産している。

 同社では、亀山第2工場における中小型パネルの生産比率を高める姿勢をみせており、2013年度第4四半期には28%だった中小型パネルの比率は、2014年度第1四半期は35%にまで上昇。9月には50%にまで高まったという。

 シャープ 代表取締役兼副社長執行役員の大西徹夫氏は、今年7月に開いた2014年度第1四半期決算発表の席上で、「テレビ向け液晶パネルは利益が出ていない。すべての利益が中小型液晶によるものである」としており、液晶パネル事業の収益改善においては、亀山第2工場における中小型パネル比率の上昇が鍵になる。

シャープ ディスプレイデバイス事業本部長の和田正一執行役員

 「亀山第2工場では、4型〜108型までの液晶パネルを生産している。大型から中小型への展開に向けた設備投資の主力は、1枚の大型マザーガラスから、中小型の液晶パネルを多面取りするためのものになっている」と、シャープ ディスプレイデバイス事業本部長の和田正一執行役員は語る。

 「加工精度を含めて、すべてにおいて、均一性を保つことが重要。中小型パネルでは、TFTを形成したガラスと、カラーフィルターを形成したガラスを貼り合わせる際の精度が、大型パネルの2倍以上求められる。シャープ以外では、第8世代のマザーガラスを用いて、高精細なスマートフォン向けパネルを生産している企業はない」と、オンリーワンの技術に自信をみせる。

小型液晶TFT基板

 ただ、中小型パネルの生産比率を高めるためには、一部機器やプロセス変更で済むため、投資規模は数10億円であり、しかも短期間で変更が完了するという。「工場を新設するのに比べて約10分の1の投資で済む」としている。

小型液晶TFT基板の製造工程
スパッタ装置
ドライエッチング装置
プラズマCVD装置

 中小型パネルの生産歩留まりも改善しており、「昨年末から今年初めには想定の1割減で改善。その後も着実に向上し、9月時点での歩留まりは、三重第3工場の4.5世代ラインと遜色ないレベルに到達している」という。

 同社では、2017年度向けてさらに中小型液晶パネルの構成比を高め、将来的には80%以上に高める計画だという。

 亀山第2工場では、リーマンショック後に稼働率は5割を切っていたが、現在は100%の稼働率を達成しているという。

 これも中小型パネルの需要が増大していることがベースにある。

 中小型パネルの拡大の原動力になっているのが、中国のスマホメーカー向けの出荷が増加している点だ。

 第1四半期には、中国スマホメーカー向けの出荷数量は前年同期比4倍になっており、下期はさらに増加すると見込んでいる。

 「現在、13社の中国スマホメーカーでデザインインが進んでいる。セットメーカーや代理店を対象に、9月3、4日に、中国・深センで商談会を開催した。当初は約300社800人の来場を見込んでいたが、2日間で約400社、1,100人を上回る来場があった。かつては、あるメーカーの製品に搭載されているあの部品を安く仕入れたいという要望ばかりだったが、いまでは、どこよりも早く、最新のデバイスが欲しいという声に変わってきた」と、シャープ ディスプレイデバイス事業本部長の和田正一執行役員は語る。

 「今後も、こうしたニーズに応え、IGZOを核とした技術進化によって、スマホ、タブレットをはじめとする様々なアプリや、最先端のパネルを供給していく」とした。

 一方で、ウェアラブル端末向けの有機ELの開発のほか、超低消費電力タイプのメモリ液晶を米国市場に向けて出荷していることなどを明らかにした。

(大河原 克行)