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Nothing第二章。ハイエンド「Phone(3)」と初のヘッドフォン「Headphone(1)」発表
2025年7月2日 03:30
Nothingは7月1日(イギリス時間)、同社のフラッグシップスマートフォンである「Phone(3)」と、初のオーバーヘッド型ヘッドフォン「Headphone(1)」の発表イベントを開催した。
Phone(3)は、グローバルでは7月4日より予約を開始し、7月15日より一般発売。価格は256GBモデルが799ポンド/799ドル/799ユーロ、512GBモデルが899ポンド/899ドル/899ユーロ。カラーはホワイトとブラックの2種類。
Headphone(1)も同様に、299ポンド/299ドル/299ユーロで、ホワイトとブラックの2種類。
現状、日本でこれらの製品の発売予定は公開されていない。ただしNothingは「夏には日本での続報をお伝えする」とコメントしており、製品化の意向があることを伺わせる。
ハンズオンで実機に触れたファーストインプレッションをお伝えする。
なお、「Headphone(1)」については別途製品レビュー記事を掲載しているので、そちらも併読していただければ幸いだ。
「次を示すもの」としてフラッグシップを発表
Nothingはイギリスをベースとするメーカーで、中心となる製品はスマートフォンだ。日本でも同社の「Nothing Phone」シリーズは熱心なファンを持つ。
デザインが特徴的ではあるがコストパフォーマンスがいい、というのが同社の特徴。特にこれまではスペックをミドルクラスに抑えることが特徴であった。
今回発表された「Phone(3)」について、同社のカール・ペイCEOは「当社として初の、真のフラッグシップスマートフォン」と説明する。
同社はスマートフォンとイヤホンを軸にビジネスをしているが、発想のもとにあるのは「過去のハードウエアにドキドキしたのはなぜだろう?」という発想だ。
これまでにハードウエアで10億ドルの収益を得ることに成功したが、「ハードウエアビジネスは簡単ではない」と笑う。日本でも地道なマーケティング活動を続けている最中だ。
同社は、ヘッドフォンと合わせ、今回の新製品群を「NothingとしてのChapter 2の本格的な始まり」(ペイCEO)とする。
カメラが強化されたこと、SoCとしてSnapdragon 8s Gen4を採用したことなど、スペック面での強化も大きいが、もちろんそれだけではない。
ペイCEOはフラッグシップ製品を「会社がどこへ向かっているのかを最も明確に示し、我々のビジョンを表現し、次に続くすべてのトーンを設定する製品」と定義する。デザインと機能両面で、Nothingの次の方向性を示す製品……ということなのだろう。
具体的には、AIとの連動や新しい背面ディスプレイである「Glyph Matrix」など、スマホをよりクリエイティブに活用できる方法を加えることで、「デザインで区別できず、AIも表層をなぞっただけ」(ペイCEO)である他社スマホとの差別化を狙う。
Glyph Matrixは、その名の通りマトリックス状の丸いディスプレイ。裏にあるタッチセンサーから表示を切り替えられる。本体を表にしなくても、時間や通知・ストップウォッチなどの表示が可能になっている。Glyph SDKが本日より公開され、コミュニティにもこの表示をカスタマイズ可能になる。
エッセンシャルキーを押すと会話が録音され、その内容を要約して記録する機能や、AIを使い、スマホ内にある写真やメッセージを検索したり、質問をしたりする機能も搭載されている。
現状はAndroid 15ベースの「Nothing OS 3.5」だが、今年中にAndroid 16ベースの「Nothing OS 4」にアップデート予定で、AI関連機能も強化される予定となっている。なお、OSのアップデートは5年間行なわれると明言されている。
製品ハンズオンからのファーストインプレッション
ハンズオンで実機に触れたインプレッションをお伝えしたい。なお、ヘッドフォンについてはより本格的な記事を別途用意しているので、詳しくはそちらに譲る。
スペックは以下の通り。
・SoC:Snapdragon 8s Gen4
・ディスプレイ:6.67インチAMOLED 460PPI、ピーク輝度4,500nits。解像度は1.5K(横のドット数が1,220ドット近傍)
・eSIM対応
・厚さ:1.87mm
・メインカメラ:50メガピクセルの1/1.3インチセンサー、光学手ぶれ補正付き
・望遠:50メガピクセルでペリスコプープ式/光学3倍/デジタルズーム60倍
・マクロ:10cmまでのクローズアップ可能
・超広角レンズ:114度の広い視野をサポート
・フロントカメラ:50メガピクセル
・バッテリー:5,150mAh、65W急速充電対応で0%から50%までを19分で充電可能。負極にシリコンとカーボンを組み合わせた素材を利用(シリコンカーボンバッテリー)
写真を見ればお分かりのように、デザインはかなり尖っている。ホワイトもブラックも悪くない。Headphone(1)との統一感も強い。
ディスプレイ面はエッジの細さが目立つが、やはりアプリを含めた部分が印象的。背面はブロックに分かれた独自のテイストになっている。
Nothingというと背面のライト、という印象を持っている人も多いと思うが、今回は前出の「Glyph Matrix」になって、少し落ち着いた印象だ。一方、実用性はより高まっている。
さらに、録画中には中央の赤い点が光るようになっていて、撮られている側からもわかりやすい。
AI機能などの詳しい使い勝手はこの環境で検証するのは難しいが、触れてみた限り、「機能と価値が紐づいたデザイン」がより追求されたもの、という印象を受ける。それはHeadphone(1)も同じで、音量操作や曲送りなどで指が戸惑うことはない。
まさに、そうした要素をどこまで評価するかが、Nothingを選ぶか否かを決める要素といえそうだ。