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ヤマハ、子会社化した「Line 6」製品を11月販売開始

Bluetooth搭載ギターアンプやマイク内蔵インターフェイスも

 ヤマハミュージックジャパンは、ヤマハが1月に完全子会社化した米Line 6(ラインシックス)製品の日本国内における取り扱いを、11月1日より開始する。

Line 6製品のギターアンプやエフェクター、ミキサーなど

 ヤマハは、2013年4月から3年間に渡る中期経営計画における戦略の一つとして、米国の楽器・音響機器メーカーであるLine 6を完全子会社化すると2013年12月に発表、2014年1月23日付で完全子会社化の手続きを完了した。11月1日からは、日本国内の販売において独Steinbergスタインバーグや、仏NEXO(ネキソ)、英マーシャル、米ジルジャンなどの30以上の輸入ブランドを扱っているヤマハミュージックジャパンのノウハウを活かし、販売力の強化を図る。

 1日に東京・銀座のヤマハ銀座スタジオで記者発表会が行なわれ、演奏を交えたデモなどを行なった。米Line 6から販売・事業開発担当副社長のサイモン・ジョーンズ氏が来日。「ヤマハは、日本市場でLine 6製品のメッセージを伝えていくための最高のパートナー」として、日本での今後の展開に改めて意欲を示した。

輸入製品のシナジーを強化。マイク内蔵でiOS対応のギター用インターフェイスも発売予定

 1996年設立のLine 6は、世界初のデジタルモデリング・ギターアンプ「AxSys212」の開発・発売から始まり、ギターアンプやPA機器、ギター用ワイヤレスシステム、ワイヤレスマイクなどを展開。iPhone/iPadをギターやアンプと接続するインターフェイスなどでも知られる。

 ヤマハは、日本国内の展開において、プロ向け音響機器を扱うPA分野では、ヤマハ、NEXO、Steinberg、Line 6の4ブランドのシナジーの最大化を図り、成長を加速。楽器を扱うLM分野では、ヤマハ、Marshall、EDEN、FISHMAN、Line 6の5ブランドによるシナジーで、アンプ/ギター周辺ビジネスの拡大を図る。

ヤマハミュージックジャパンが扱う輸入ブランドは30以上
Line 6子会社化の狙い
5つのアクションプラン
Line 6のPA/LM分野における主な最新製品
PA分野の5つの製品カテゴリ
PAではヤマハ、NEXO、Steinberg、Line 6の4ブランドでシナジーを図る

 発表会場には、国内でも販売予定のミキサーやPAスピーカー、ワイヤレスマイク、ギターアンプなどの製品を展示。ギターアンプながら、5スピーカー内蔵でスマートフォンなどのBluetoothスピーカーとしても使える「AMPLIFi」などもラインナップしている。さらに、ユニークな製品としてiOS/Windows/Mac対応のマイク内蔵オーディオインターフェイス「SONIC PORT VX」(価格未定)も今後発売予定であることを明らかにした。

 「SONIC PORT VX」は、48kHz/24bit対応のオーディオインターフェイス。ギター入力、TRS出力、ヘッドフォン出力などに加え、ステレオのコンデンサーマイクも内蔵。外出先などでもパソコンやiPhone/iPadでレコーディングできるのが特徴。USB-AC給電時に、iPadへ給電できる端子も備える

今後発売予定の製品として披露されたマイク内蔵オーディオインターフェイスの「SONIC PORT VX」。付属スタンドは着脱可能
ギター入力、TRS出力、ヘッドフォン出力などに加え、ステレオのコンデンサーマイクも内蔵
GaragebandなどのiPad録音に利用可能。USB-AC給電時に、iPadへ給電できる端子も備える
20入力のミキサー「StageScape M20d」
マイクのデジタルワイヤレスシステム「XD-V75」
モデリングギター「JTV-89F James Tyler Variax」
100種類以上のエフェクトを最大3つ同時に使えるストンプボックス「M9 Stompbox Modeler」
iOSとも連携可能なエフェクター「AMPLIFi FX100」
ギターアンプ。5スピーカー内蔵の「AMPLIFi 75」(左)と、20種類以上のエフェクトを備えた「Spider IV 75」(右)
ヤマハミュージックジャパンの土井好広社長

 ヤマハミュージックジャパンの土井好広社長は、Line 6について「30年に渡り、ギタリストのために革新的でユニークな製品を開発し、プロから一般ユーザーまで幅広く支持されている。また、音楽制作などのソリューションプロバイダとしてのポジションも築いている」と紹介。今回の子会社化により「販売力やマーケティング力を鍛え、ヤマハブランドとのシナジーも期待できると確信している」と述べた。

 Line 6のサイモン・ジョーンズ販売・事業開発担当副社長は、「イノベーションは我々のDNA。“Next big thing"の開発に情熱を燃やしている。ミュージシャンのインスピレーションやクリエイティビティを湧き上がらせ、手軽に使用できて、自信を持ってパフォーマンスできる製品を提供していきたい。そのために、製品のメッセージを本当の意味で理解し、日本の市場で伝えていくためにヤマハは最高のパートナー」とした。

Line 6のサイモン・ジョーンズ販売・事業開発担当副社長
Line 6創業者でCSO(最高戦略責任者)のマーカス・ライル氏からのビデオメッセージも寄せられた。「Line 6の歴史における次のチャプターへの一歩を踏み出した。様々な領域でシナジーや発見、チャンスがある」
CEOのポール・フェクラー氏からは「ヤマハとの連携で、新たな時代を迎える」とコメント

 発表会にはギタリストの阿部学さんも来場し、Line 6製品を使ったデモンストレーションも行なわれた。阿部さんは、Bluetoothスピーカーとしての利用や、iOS連携も可能なギターアンプ「AMPLIFi」などを紹介した。AMPLIFiのiOS連携機能は、iPadアプリで特定の楽曲を選ぶと、そのアーティストの演奏にマッチしたプリセットのトーン一覧が表示され、そこから選択すると、楽曲を再生しながらその音でユーザーがギターを演奏できるという機能。ユーザーがトーンを作成してクラウドにアップロードして他のユーザーと共有することも可能で、「とことんギターを楽しめるツール」だという。

阿部学さんが、iPadとAMPLIFiの連携などについて、演奏デモを行なった
左から、ヤマハミュージックジャパン PA営業部の武田信次郎部長、土井好広社長、Line 6のサイモン・ジョーンズ氏、ヤマハ執行役員事業開発部長の小林和徳氏、ヤマハミュージックジャパン LM営業部の小島高則部長
11月19日からのInter BEE(幕張メッセ)や、21日からの楽器フェア(東京ビッグサイト)でも展示予定

(中林暁)