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デジタルヘッドフォンや各社新ポータブルアンプに注目
MOMENTUM In-Earは1.2万円。青いAK240も
(2014/10/25 21:04)
東京・中野にあるAV機器専門店フジヤエービックが主催する「秋のヘッドフォン祭 2014」が、10月25日(土)と26日(日)の2日間、東京・中野の中野サンプラザで開催される。入場は無料。ここではオーディオテクニカやゼンハイザーの新製品が展示された6階と、パイオニアなど新製品が展示された15階の模様をお伝えする。
DnoteのUSBデジタルヘッドフォンをアピール
オーディオテクニカは、フルデジタルUSBヘッドフォン「ATH-DN1000USB」や、新ハイレゾヘッドフォン「ATH-MSR7」、ヘッドフォンアンプ「AT-PHA100」など、16日に発表した新製品群を多数展示している。
USBヘッドフォン「ATH-DN1000USB」は、デジタル信号をデジタルのまま、専用ユニットまでダイレクトに伝送して再生する「Dnote」技術を採用した世界初のフルデジタルUSBヘッドフォン。11月16日発売予定で、店頭予想価格は6万円前後。
Dnoteは、デジタル音源をアナログ変換せずに直接スピーカー駆動できるTrigence Semiconductorの技術。ATH-DN1000USBはDnoteチップを内蔵しながら、振動板やボイスコイルをオーディオテクニカが自社設計し、Dnoteならではのレスポンスの良さと、アナログ的な表現力の両立を目指したという。
入力信号は192kHz/24bit。DSDには対応していないが、Dnoteの処理に依存する部分で現時点ではDSD対応は難しいとのこと。ただし、会場のデモではコルグのAudio Gate Ver.3.0を使って、DSD音源も192kHz/24bitに自動変換して出力されていた。
入力はUSBのみで、電源はUSBバスパワーで供給する。今回はDnote採用第1弾として、まずしっかりとした音作りに注力したとのことだが、将来的にはポータブル用途を想定した光デジタル入力などの搭載も検討しているという。
また、ハイレゾ対応した“40周年の集大成”というヘッドフォン「ATH-MSR7」(実売27,000円)も重点的に展示。新ポータブルヘッドフォンアンプ「AT-PHA100」との組み合わせで提案している。
ATH-MSR7で新開発したドライバ「45mm "True Motion" Hi-Res Audio Driver」なども展示。限定カラーモデル「ATH-MSR7LTD」も視聴できる。同社ブースの多くの試聴機でAT-PHA100と組み合わせて訴求している。
「MOMENTUM In-Ear」は実売1.2万円
ゼンハイザーは24日に発表した「MOMENTUM In-Ear」や新「CXシリーズ」、オンイヤーヘッドフォンの「URBANITE」(アーバナイト)、アラウンドイヤー「URBANITE XL」などを展示。視聴も可能となっている。いずれも年内に発売の見込みという。
そのデザインが支持を集め、同社を代表するブランドとなった「MOMENTUM」のイヤフォンタイプとして注目の「MOMENTUM In-Ear」。ブースでも人気を集めていた。光沢感があり、赤と黒を使ったデザインが特徴で、人間工学に基づき、耳に対して15度の角度をつけたハウジングを採用している。iOS用のiモデルと、他のスマートフォン用のGモデルを用意し、店頭予想価格は12,000円前後。
デザインと低音再生能力が特徴の「URBANITE」シリーズは、オンイヤー型の「URBANITE」とアラウンドイヤー型の「URBANITE XL」を用意する。MOMENTUM In-Earと同様にiOS用のiモデルと、他のスマートフォン用のGモデルが選択できる。店頭予想価格はURBANITEが22,000円前後、URBANITE XLが28,000円前後。
CXシリーズの店頭予想価格は、CX 1.0が5,000円前後、CX 2.0/CX 3.0が6,000円前後、CX 5.0が1万円前後。
DTSはHeadphone:Xをアピール
ヘッドフォン祭初出展のDTSは、ヘッドフォンで最高11.1chの音場を再現する「DTS Headphone:X」の体験ブースを設置し、同技術をアピールしている。
体験ブースは、約15分間隔で毎回9名づつ。デモの内容は、まず11.1chシステム(フロント×2、センター、フロントハイト×2、サイド×2、リア×2、リアハイト×2)でまず音を聞かせる。その後にヘッドフォンを着用し、ヘッドフォンで各チャンネルから音を出すと、ヘッドフォンでもスピーカーと同様の11.1chの定位感が得られることが確認できる、というもの。
スピーカーの位置確認信号や、音楽、映画コンテンツでDTS Headphone:Xの効果を紹介している。DTS Headphone:Xでは、通常のヘッドフォンが利用でき、今回のデモではオンキヨーの製品を採用していた。ただし、コンテンツは専用のオーサリングが必要となる。対応アプリとしてモリックが「Music Live」を提供しており、同アプリ上で相川七瀬や岩崎宏美、倉木麻衣、globe、倖田來未、鈴木亜美、一青窈などの対応コンテンツが購入できる。
COWONはハイレゾプレーヤー
COWONは、DSD 5.6MHz対応のハイレゾポータブルプレーヤー「PLENUE 1」(128,000円)を中心に展示している。同社初のハイレゾ対応製品で9月に発売を開始し、音質の良さなどを訴求していく。今後もハイレゾ製品を強化していく方針という。
FORTEは、米国のイヤフォンメーカーで、ハウジング内部の反射やドライバの特性を最適化し、高調波の歪みなどを抑えるという独自のHIF(Harmonic Interfernce Free)技術を使ったイヤフォンを展開。ダイナミック型のドライバを採用し、IMPACTとLIFEの2モデルを米国で販売している。
いずれも強力な低域再生能力を持ち、IMPACTはメタルハウジングを、LIFEは樹脂製のハウジングを採用している。現在日本での販売パートナーを探しており、価格はIMPACTが8,000円前後、LIFEが6,000円前後を想定している。また、参考展示モデルとして木製ハウジングでクラシックに適しているという「CLARITY」も紹介している。
パイオニアのポタアン「XPA-700」が人気
15階のパイオニアブースでは、17日に発表したポータブルヘッドホンアンプ「XPA-700」が注目を集めていた。11月下旬発売予定で、店頭予想価格は57,000円前後。
ESSのDAC「ES9018K2M」の搭載や、5万円台でのフルバランス対応、音質カスタマイズ対応などのマニアックな仕様もあり、注目度は高いようで試聴や質問に多くの来場者が訪れていた。展示機の音質は最終版ではなく、まだ良くなるとのこと。
新日本無線は新オペアンプやオーディオ向けパワーIC
新日本無線は、同社の新オペアンプ「MUSES 8832」をアピールするため、デモ用に開発したポータブルアンプを参考出展している。
従来のMUSESシリーズは、音質評価は高かったものの、消費電力が課題で、ポータブル用途での普及が進んでいなかったという。MUSES 8832はポータブル向けに新設計したため、電池3個(4.7V)で駆動可能で、音質もポータブルに最適化しているという。すでに、オーディオテクニカの新ポータブルアンプ「AT-PHA100」などの採用事例があるが、MUSES 8832の良さをアピールし、ポータブル領域で同社オペアンプ採用を増やしていきたいとする。
また、デンソーと共同開発したSiC(シリコンカーバイド)MOSFETを搭載したヘッドフォンアンプも参考展示。デンソーのパワーIC「REVOSIC」に新日本無線のMUSEで培ったデバイスチューニングを施し、音質向上を図ったもので、2015年下期のデバイス量産を目指している。
パワーICとして広範な応用事例が考えられるが、新日本無線のノウハウを組み込むことで、オーディオ機器に展開した際にオーディオに適した特性を得られるよう共同で開発。出力容量の小ささに起因する応答性の良さが音質面の特徴という。
オーディオ用の新型インシュレータも開発。木でも金属でも無く、樹脂製のインシュレータとなっており、フット材料の複合化により理想的なバランスを導き出したという。今回ヘッドフォン祭に持ってきたものは、最も音質が良いサンプルとのことで、金属インシュレータとの比較試聴も行なえる。材料の選択によりコストも大幅に異なるため、価格や実用化時期は未定とのこと。今後事業化に向けた検討を進めるとしている。
青い「AK240」も展示。マランツ/デノンのヘッドフォンアンプも
アユート/iriverと、Orbは共同で15階にブース展開(アユートは13階にも展示中)。24日に発表したハイレゾプレーヤー「AK240」のBLUE NOTEコラボモデル「Astell&Kern AK240ブルーノート75周年記念エディション」(税込77万7,600円)はここでのみ披露している。付属のmicroSDカード収納用スタンドなども展示されている。
また、両社コラボレーションによる試聴イベントやアニソンイベントなども行なわれている。
マランツは発売開始したばかりのヘッドフォンアンプ「HD-DAC1」を訴求。デノンもポータブルヘッドホンアンプ「DA-10」や最新ヘッドフォンなどをアピールしている。