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ソニー、PS4+ネットサービスでゲーム事業の収益強化へ
テレビと融合する「PS Vue」も強化。モバイルは構造改革
(2014/11/25 11:45)
ソニーは25日、投資家やアナリスト、報道向けにエンターテイメントやエレクトロニクス事業の今後について説明する「Sony IR Day 2014」を開催。ゲーム事業やモバイル事業の今後について説明を行なった。
2017年度の経営数値目標は、売上高が1兆4,000億円~1兆6,000億円、営業利益率は5~6%、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野が6,500億円~7,000億円、7~9%、ホームエンタテインメント&サウンド分野は1兆~1兆1,000億円、2~4%。デバイス分野は売上高1兆3,000億~1兆5,000億円で、営業利益率10%~12%。
PSの魅力を進化させ、ユーザー拡大。PS Vueも強化
午前中のセッションでは、ゲームとモバイル事業について説明。ソニー・コンピュータエンタテインメントのアンドリュー・ハウス代表取締役 社長 兼 グループCEOは、2014年度の業績予想について、売上高1兆2,900億円、営業利益350億円と予測し、PS4による増益とともに、有料会員向けサービスのPlayStation Plus(PS Plus)の強化などについて説明した。
中期事業方針については、「進化したゲームとネットワークサービスの統合体験の提供によるプレイステーションエコシステムの発展」を掲げる。具体的には「プレイステーションユーザーの維持と拡大」と、「ARPPU(購買ユーザー一人あたりの売上)の向上と関連売上増大」を狙う。
5,000万人を越えるPlayStation Networkの会員数と、PlayStationの大きなインストールベース、コンテンツやサービスとの連携を軸に、それぞれの領域での競争力を強化。ゲームコンソールとしては、シェアプレイやVRヘッドマウントディスプレイ「Project Morpheus」(プロジェクト モーフィアス)などの新しい体験を提供。また、ハードウェアの継続的なコストダウンにより利益確保を図る。
また、ハウスCEOは「コンテンツポートフォリオの強化」も訴求。「PS4はまずコアゲーマーに訴求して成功した。タイトルを継続拡充し、コア層を拡大するとともに、カジュアル層向けの展開も強化する」と説明。そのために新しいクラウドベースのゲームサービス「PlayStation Now」なども導入し、サブスクリプションやレンタルなどの柔軟な課金方法を用意。また、米国で2015年第1四半期からスタート予定のクラウドベースのテレビサービス「PlayStation Vue(PS Vue)」の提供により、PSプラットフォームにおけるテレビ視聴も強化する方針。
なお、Vueの収益貢献のために必要な会員数については、「数字は言えないが、先行投資のコストとしては、他のパートナーと組むことでバランスが取れたものにしている。かなり低い会員数で黒字化する」とした。また、Netflixのような既存サービスとの競合については、「私の見方ではお互いに補完的。PS Vueのターゲットはヘビーにコンテンツに接触し、あらゆるエンタテインメントを使っている人。PS3はNetflixにおいて、リビングルームのナンバーワンのデバイスで、同じユーザーベースだが、有料テレビも使っている。PS Vueでは、ペイ(有料)テレビも(SVOD/ビデオ配信と)統合された視聴体験をしていただくことが重要と考える。今のテレビのEPGで探せない、みえない映像にチャンスがある。スムーズなサーチで、フィルタを使ってすぐに探せる。それが消費者にとってはメリット」とした。
PS Vueについては、「コアプラットフォーム以上に広げたい。iPadでもなんでも見られる形にしたい」とし、2015年の第1四半期時に価格などを発表する予定。
ソニーモバイルは'15年度に構造改革
モバイル・コミュニケーション分野については16日からにソニーモバイルコミュニケーションズ 代表取締役社長 兼 CEOに就任した十時裕樹氏が説明した。
モバイル事業は、新興国市場の変化などにより、9月に営業権の減損1,760億円を発表するなど失速しているが、十時氏はその立て直しに着手する。2014年度の売上高は1兆3,500億円で、営業利益はマイナス2,040億円を見込む。営業利益の減少要因は、米ドル高や、低中価格モデルの販売減など。
十時氏は、2015年度に目指すものとして「安定的に利益を計上できる構造」を掲げ、損益分岐点の引き下げや粗利率の改善などに取り組む。
そのために'15年度は構造改革を推進。地域ごとに最適なセールスマーケティング戦略の構築するなどの「地域の集中と選択」、ハードウェア/ソフトウェアの開発効率を高め、価格競争力強化のための商品モデル数厳選など「商品の集中と選択」、広告宣伝費の費用対効果の向上を目的とし、データベース・マーケティングの比重強化などの広告における「集中と選択」、本社機能や間接組織などの再編など「組織の集中と選択」の4つの集中と選択を実施する予定。
絞り込む/強化する地域は、現時点では決まっていない。「利益は日本で出ているので、日本では引き続きマージンを確保していく」という。
価格帯別では、引き続き高付加価値領域に注力。ただし、十時氏が言及したのは、市場環境の変化。「グローバルな潮流では、オペレータ(いわゆるキャリア向け)マーケットより、オープンマーケット(キャリアフリー)が大きくなる流れ。そこはきちんと対応していく」という。ただし、「オープンマーケットでは、価格競争が厳しく、また、低価格帯の伸長が著しい。また、BtoB的なオペレータ向け市場は、オープン向けで起きたことが遅れてついてくる。だから業績が悪化する前に準備しておく必要がある」と、構造改革の必要性を説明した。
また、台数が伸び悩んでいるタブレットについては、「収益重視でビジネス展開するという点では、タブレットも例外ではない。スマホの製品数と同様に集中する必要はある。ただし、タブレットがあることがプロダクトの世界観を作っているともいえるので、そこは考えて準備していく」とした。
ホームエンタテインメントなどのエレクトロニクス事業の他の事業については、別記事でレポートする。