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ソニー、カメラ事業は「小型ボディに圧倒的機能」。センサーをウェアラブル/車載にも

 ソニーは25日に開催した事業説明会「Sony IR Day 2014」で、デジタルカメラなどを含むイメージング・プロダクツ&ソリューション分野において、2017年度の売上高で6,500〜7,500億円、営業利益率で7〜9%を目指す方針を明らかにした。

 コンパクトデジカメ市場の縮小などが見込まれることから、2014年度の売上高見通しの7,100億円に対して、ほぼ同等規模の売上高を見込む計画となる。営業利益率でも2014年度の7.3%と比べても、ほぼ横ばいという見通しだ。

イメージング・プロダクツ&ソリューション分野における、2014年度の見通しと中期事業方針

 また、デバイス分野では、2017年度に売上高1兆3,000億円〜1兆5,000億円、営業利益率で10〜12%を目指す方針を示した。2014年度見通しの売上高の8,600億円、営業利益で630億円の見通しに比べると、大幅な成長を遂げることになる。

デバイス分野の2017年度の経営数値目標

レンズ交換式カメラ事業では、「小型ボディに圧倒的機能」で差別化

 業務執行役員 SVP デジタルイメージング事業本部長の石塚茂樹氏は、2017年度に向けた中期事業方針のポイントとして、「高付加価値領域および成長領域への集中と、オペレーションの効率化による高収益性の維持と継続を目指す」とし、「αレンズ交換式カメラ事業の強化」、「αレンズ事業の拡大」、「デジタルスチルカメラおよびカムコーダーの高付加価値シフトの加速」、「カメラ技術のB2B市場への応用加速」、「オペレーションの効率化追求」の5つのポイントを掲げる。

業務執行役員 SVP デジタルイメージング事業本部長の石塚茂樹氏

 「レンズ交換式カメラ事業においては、ハイエンドユーザー向けとして、2013年11月に発売したα7およびα7Rによるフルサイズミラーレス市場の創造、今年6月には世界最高感度のISO 409600を実現したα7Sを投入、さらに先頃、5軸の手ぶれ補正機能を搭載したα7 IIを発表した。αレンズ交換式カメラ事業においては、小型ボディに圧倒的機能を搭載し、イメージセンサー、レンズ、制御ソフトウェアという3つのイメージング技術を用いて、徹底的な差別化を図ることになる」。

中期事業方針では、高収益性の維持と継続を目指す
超高感度、超高解像、スピード、4K、手ブレ、AFなどの技術を軸に差異化を徹底する

 「一方で、ミドルおよびエントリーユーザー向けには、α6000およびα5100による世界最速の超高速AF機能の搭載によって、高い評価を得ている。これを“4D FOCUS”として今年秋から全世界で積極的に訴求している」と、昨今の取り組みについて説明した。

 α交換レンズ事業については、2013年度までに3,000万本の累計出荷を達成したことをに触れながら、「そのうちの約半分が、2006年のコニカミノルタ買収以降のものになる」とした。また、Eマウントレンズについては、「これまでラインアップが少ないという指摘を多くいただいていた。2014年度は13本にまで拡張し、さらに近い将来には20本以上のラインアップへと拡大したい。ソニーらしい高性能レンズをラインアップしたい」と述べた。

カメラ技術のB2B市場への応用も加速

 石塚業務執行役員SVPは、「ソニーは電機メーカーといわれながらも、1992年の8mmハンディカムのCCD-TR1から、レンズの内製を開始しており、光学技術やアクチュエータなどは、20年以上に渡り、取り組んできた経緯がある。この分野における技術とエンジニアの資産を蓄積している。今後は売り上げ成長をもちろん、ユーザーから信頼されるブランドを築き上げ、真のカメラメーカー、レンズメーカーになるべく、継続的な事業強化を行なう」とした。

 またコンパクトデジカメについては、これまでの製品戦略とは異なり、毎年モデルを切り替えることなく、価格帯を分けながら継続的に併売している手法について言及。「モデルライフが長くなり、経営効率の改善にもつながっている」という。

 さらに、世界初のコンシューマ向け4Kカムコーダーとなる「ハンディカム FDR-AX100」には、コンパクトデジカメである「RX100M3」で採用したイメージセンサー、画像プロセッサなどのキーパーツをそのまま採用。さらに、XDCAMの「PXW-FS7」では、αマウントシステムを採用し、「製品カテゴリーを超えて、標準化、共通化が行なわれている。ソニーならではの製品力強化と、徹底したコストコントロールの両立につながっている」などと述べた。

 車載用カメラ、半導体検査装置用カメラ、監視用カメラブロックなど、カメラ技術のB2B市場への応用も加速するとした。「売り上げ規模は大きくないが、この市場では高いシェアを持っている。これらの分野ではパートナーを慎重に選びながら、着実な成長を見込みたい」という。

カメラ技術のB2B市場への応用も加速

 さらにオペレーションの効率の追求では、開発部門における「創」、製造部門における「造」、販売部門における「販」という3つの観点から取り組む姿勢を示し、「過去2年間に渡って、3つの領域において徹底したコストコントロールを行なってきた。最も厳しい環境を想定し、それでも利益が出るような体質への構造改革に取り組んできた」とした。

 「創」においては、設計開発のプラットフォーム化による開発の効率化と、商品力強化の両立によるこだわりとわりきり、「造」ではビジネス状況に応じた固定費マネジメント、「販」では全社戦略と連動した販売機能改革の推進を行なったという。

SXRDや3LCDで、ハイエンドホームプロジェクタのシェア拡大へ

 一方、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野においては、デジカメを担当するデジタルイメージング・プロダクツ事業のほかに、プロフェッショナル・ソリューション事業がもうひとつの柱を構成する。

 ここでは、放送局を中心としたコンテンツ制作会社の基幹業務に対するソリューションを提供する「コンテンツクリエーション」、高輝度プロジェクタや上映システムなどの提供事業を中心とする「プロジェクター」、医療分野の映像利活用に対する製品、システム提供を行う「メディカル」の3分野の事業がある。

プロジェクタ事業の状況
プロジェクタ事業の中期事業方針

 コンテンツクリエーションでは、テープ時代から放送局に関与した実績と、カメラシステム領域では世界ナンバーワンシェアを獲得している実績を背景に、世界中の放送局に対するシステム提案を加速。「今後は4K化や、IP化といったところで差異化を図っていくことになる」(執行役 EVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター長兼プロフェッショナル・ソリューション事業本部長の根本章二氏)とした。

執行役 EVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター長兼プロフェッショナル・ソリューション事業本部長の根本章二氏

 この分野では安定な収益を既に確保しており、4Kを活用したHDソリューションがスポーツ中継などに活用されているほか、複数のケーブルで行なっていた機器間の伝送を1本で行なうIPライブプロダクション、映像資産の効率的な保管、運用、活用を提案するMedia Life Serviceを提供するといった取り組みも開始している。

 プロジェクターでは、キーデバイスの内製化による技術的な差異化と、高画質化の実現、蛍光体と青色レーザーの組み合わせによる蛍光体レーザー光源モデルの投入、4K SXRDパネルを使ったハイエンドホームプロジェクタのシェア拡大などに言及。「4,000〜5,000ルーメンのプロジェクタではトップシェアとなっている。今後は投資が先行するため、2017年度までの利益貢献は少ないが、成長が見込まれる領域になる」と位置づけた。対象市場の2017年度までの年成長率は11〜13%を見込んでいるという。

 SXRDや3LCDなどの「ワン&オンリー」の差異化技術とともに、幅広い光源に対応することで事業成長に取り組む考えだ。

イメージセンサーはスマートフォン、ウェアラブル、車載に注力

 メディカル事業領域においては、これまでの外科用プリンターおよびメディアを中心としたビジネスから、モニタ、カメラ、レコーダといった領域へも事業を拡大。内視鏡分野で有用性が認知されているヘッドマウントモニタへの取り組みも本格化させる。「ヘッドマウントモニタは内視鏡を操作する際に自由な姿勢で映像を見ることができる点、3Dで鮮明に画像が表示される点が評価されている」とし、「今後、4K化や3D、IP化といった点で特徴を打ち出し、メディカル事業をプロフェッショナル・ソリューション事業の第3の柱に育てたい」という。

 執行役 EVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター長兼プロフェッショナル・ソリューション事業本部長の根本章二氏は、「プロフェッショナル・ソリューション事業においては、こうした基幹3事業の強みをベースとして、競争力、収益性を強化。エレクトロニクス事業に対して、安定的で、継続的な収益貢献を目指す」とした。

 一方、デバイス事業においては、中期事業方針を、軸となる事業へ経営資源を集約し、成熟領域の収益性を強化する「高収益体質を強化する」、デバイス競争力を高め、技術開発や新規技術の商品導入で先行する「市場の先駆者であり続ける」、システムソリューションで顧客価値を高め、デバイスイノベーションに取り組む「セットの競争力の源泉となる」という3点を挙げた。

 また、2017年度に向けてはイメージセンサーおよびカメラモジュール、エナジー事業において、事業を拡大。とくに、イメージセンサーおよびカメラモジュールは、2013年度には47%だった売上高構成比を、2017年度には63%にまで拡大する。

 「イメージセンサーは、モバイル市場、IP監視市場、車載市場において成長が見込まれる。ソニーは、人間の目の限界を超えて、見えないものまで見えるという画像技術によるイメージングの深化、モジュールとシステムソリューションによって顧客ニーズに対応するセンシングの深化という2つの観点から特徴を発揮できる。センシングの深化によるシステムソリューションの提案では自動車の安全にも寄与できるものになる」(執行役 EVP デバイスソリューション事業本部長の鈴木智行氏)とした。

執行役 EVP デバイスソリューション事業本部長の鈴木智行氏
センシングの深化によるシステムソリューションの提案
2017年度に向けた事業構成の変化として、イメージセンサーとエナジー事業を、技術の差異化として拡大させていくという

 イメージセンサーについては、今後積極的に国内生産拠点への投資を実行し、ウェハーの生産能力を増強。「イメージセンターは、スマートフォンに加えて、ウェアラブルと車載に注力する」とした。

 さらにエナジーについては、AV/IT向けビジネスとしては、ゲルポリマー電池により、スマートフォンやウェアラブルデバイス向けに、ソニーのコアビジネスと連動したビジネスを展開。高容量化、長寿命、高安全性を特徴に提案していくという。また、それ以外の領域に向けては、パワーツールやESS(蓄電)、車載といった領域に向けて、オリビン電池による安全、長寿命、安定した放電特性、急速充電といった特徴を生かしながら、市場創造型のビジネスを推進するという。

(大河原 克行)