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マランツ、Atmosに柔軟対応、DTS:Xもサポート予定のフラッグシップAVプリ

 ディーアンドエムホールディングスは、マランツブランドのAVプリアンプ・フラッグシップモデル「AV8802A」を6月下旬に発売する。Dolby Atmosに対応するほか、DTSが新たに発表したオブジェクトベースのサラウンドフォーマット「DTS:X」にも対応予定。価格は455,000円。カラーはブラックのみ。

AVプリアンプ・フラッグシップモデル「AV8802A」

 2月に発売したAVプリ「AV8802」(45万円)をベースに、8入力/3出力すべてのHDMI端子を、HDCP 2.2に対応させ、4K放送/配信のパススルーを可能にしたモデル。4K/60p/4:4:4/24bit、4K/60p/4:2:0/30bit、4K/60p/4:2:2/36bitなどの映像に対応(フロント入力は4K/30p/4:4:4/24bitまで)。SD/HD映像を4Kにアップスケーリングする事もできる。

 「DTS:X」への対応も予定しているが、対応時期や方法は「決定し次第発表する」としている。

 なお、「AV8802」のユーザーは、「AV8802A」と同仕様に無償アップグレードサービスが利用可能。6月4日から受付を開始し、サービスの実施期間は2015年6月18日~12月17日まで。マランツのWebサイトから申込用紙(5月28日掲載予定)をダウンロードし、必要事項を書込、FAXで申し込む。アップグレードに必要な期間は約2週間。詳細はマランツのサイトを参照のこと。

32bit DSP 4基でDolby Atmosを処理

 最大11.2chの同時出力が可能なAVプリアンプ。端子数は、XLRバランス、RCAアンバランスのどちらも13.2ch分用意している。接続するスピーカーや、再生するDolby Atmosなどの音声に合わせ、フレキシブルなスピーカー設定が行なえる。

 これを実現するため、アナログ・デバイセズの第4世代、32bitフローティングポイントのSHARC DSPを4基搭載。後述する音場補正技術「Audyssey MultEQ XT32」などを利用しながら、Dolby Atmosを使うことができる。

 Dolby Atmosが推奨するスピーカー配置、全ての組み合わせに対応。5.1.2、5.1.4、7.1.2、7.1.4、9.1.2chの配置に対応。天井に用意したトップスピーカー×4(6カ所)、もしくはハイトスピーカー×4、ドルビースピーカー×4をAtmos用のスピーカーとして認識・利用可能。例えば、フロントハイト、リアハイトをトップスピーカーとして使うこともできる。

 また、Atmos非対応のコンテンツを再生するときには、Dolby Surroundのアップミックス機能を使い、オーバーヘッドスピーカーを使った再生もできる。

筐体内部

 DACは、32bitタイプの「AK4490」を採用。D/A変換回路を映像回路やネットワーク回路から独立させた専用基板にマウント。相互干渉を排除し、「透明感が高く空間表現力と躍動感にあふれるサウンドを実現している」という。

 音場補正技術「Audyssey MultEQ XT32」は、Audyssey技術のコンシューマ向けとしては最高グレードとなり、Atmosに完全対応。マイクを使った測定は最大8カ所まで対応、512倍のフィルタ解像度も使い、スピーカーの距離、レベル、サブウーファのクロスオーバー周波数を自動的に設定してくれる。サブウーファ×2台環境で、個別にサブウーファを測定・補正する「Sub EQ HT」も搭載。マイクで測定する際のスタンドも付属する。

 無線LAN機能を搭載しており、背面に2本のロッドアンテナを接続するダイバーシティ方式を採用。Bluetooth受信機能(A2DP)も備え、AirPlayやインターネットラジオの受信にも対応する。

 DLNA 1.5に準拠したネットワークプレーヤー機能と、USB端子も装備。USBメモリ内の楽曲を再生する事もできる。再生対応ファイルは、WMA/MP3/WAV/AAC/FLAC/AppleLossless/AIFF/DSD。WAV/FLAC/AIFFは192kHz/24bit、Apple Losslessは96kHz/24bitまでに対応。DSDは2.8MHzまでサポートするが、ネイティブ再生ではなく、PCM変換再生となる。

 プリアンプ部にはオペアンプを使わず、HDAM-SAのフルディスクリート電流帰還型アンプを採用。これにより、スルーレートは従来モデルの6V/μsecから、100V/μsecに約16倍の高速化を実現している。

 スマートフォンやタブレットで利用できる「Marantz Remote App」も用意。iOS/Androidで利用でき、電源のON/OFF、入力やサラウンドモードの切り替え、ボリューム調整、ネットワーク音楽再生の制御などが可能。

 その他の入力端子は、コンポーネント×3、コンポジット×5(フロント1)、音声入力がアナログXLR×1、アナログRCA×7(フロント×1)、Phono(MM)×1、7.1ch入力×1、光デジタル入力×2、同軸デジタル入力×2を搭載。

 HDMI以外の出力は13.2chプリアウト(XLR/RCA)、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン出力×1を装備。Ethernet×1、USB×2も搭載する。外形寸法は440×389×185mm(幅×奥行き×高さ/ロッドアンテナ含む)、重量は13.6kg。消費電力は90W、待機時消費電力は0.2W。

背面

(山崎健太郎)