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ソニーのテレビ事業がついに通期黒字化。'14年度決算発表

PS4/CMOS好調で営業利益685億円。Morpheusなど積極投資へ

 ソニーは30日、2014年度(2014年4月1日〜2015年3月31日)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比5.8%増の8兆2,159億円。営業利益は同158.7%増の685億円。税引前利益は同54.3%増の397億円。純損益は1,260億円の赤字で、前年度の1,284億円の損失から若干改善した。また、赤字を続けていたテレビ事業は、11年ぶりに通期黒字化を達成した。

連結決算業績

 売上高の増加は、主に、為替の影響や、PlayStation 4(PS4)が好調なゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の大幅な増収、イメージセンサーが好調なデバイス分野の大幅な増収によるもの。一方で、PC事業を収束したことなどで、その他分野の売上高は大幅に減少している。前年度の為替レートを適用した場合、売上高はほぼ前年度並みとなる。

 営業利益は、前年度比421億円増加となる685億円。主にデバイス分野とG&NS分野、ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野の大幅な損益改善による。一方で、モバイル・コミュニケーション(MC)分野は営業権の減損1,760億円を計上したことなどで大幅に損益が悪化した。

 税引前利益は前年度から140億円増加し、397億円。当期純損失は、前年度に比べ24億円縮小となる1,260億円。

 '15年度の連結業績予想は、売上高が'14年度比でマイナス3.8%の7兆9,000億円、営業利益は'14年度から2,515億円改善となる、3,200億円の黒字、当期純利益は、同2,660億円の改善で1,400億円の黒字に転換すると見ている。

テレビは高付加価値モデルへのシフトなどで'03年ぶりの通期黒字化

 ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野は、売上高が前年度比3.3%増の1兆2,073億円と増加。オーディオ・ビデオは減収となったが、主に、為替の影響やテレビの増収により、分野全体では増収となったり。液晶テレビの販売台数は、中南米と中国において大幅に減少したが、北米や日本、欧州において大幅に増加したことで、全体でも増加となった。

 HE&S分野の営業利益は201億円で、前年度の255億円の赤字から回復。主に、コスト削減及び高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善などで、大幅に損益が改善したという。

ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野

 HE&Sに含まれるテレビ事業は、売上高が前年比10.7%増の8,351億円、営業利益は83億円の黒字となった。ソニーのテレビ事業は、2013年度まで10年連続の赤字となっていたが、11年ぶりに通期黒字化を達成したこととなる。液晶テレビの'14年度販売台数は1,460万台。

 テレビ事業の増収は、主に販売台数の増加と為替の影響によるもの。営業損益の黒字化は、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響があったものの、コスト削減と高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックス改善などによるもの。

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野

 G&NS分野の売上高は前年比33%増の1兆3,880億円、営業利益は481億円の黒字。PS4ハードウェア増加やネットワークサービス収入の増加、為替の影響などで大幅増収を達成した。PS4の'14年度販売台数は1,480万台。PlayStation 3(PS3)を含めると1,790万台。PS TV/PS Vita/PSPを合わせた携帯型は330万台、ソフトウェアは4,600億円、ネットワークは3,510億円の売上。

 PS3のハードウェア/ソフトウェアは減収となったが、PS4ハードの販売台数増加や、ネットワークサービスの大幅な増収、為替の影響、PS4ソフトの増収により、分野全体では大幅な増収となった。

 営業損益は、前年度は188億円の損失だったが、'14年度は481億円の利益に回復。PS3ソフトの減収や、為替の悪影響、PS VitaやPS TV用の部品に対する評価減112億円を計上したが、増収の影響で分野全体では大幅な損益改善となった。

 イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野は、売上高が2.9%減の7,200億円、営業利益は107.7%増の547億円。市場縮小の影響でデジタルカメラ/ビデオカメラの販売台数が大幅に減少したが、高付加価値モデルへのシフトを進め、増益となった。デジタルカメラの'14年度販売台数は850万台(前年度は1,150万台)。

 モバイル・コミュニケーション(MC)分野は、売上高が前年度比11%増の1兆3,233億円となったが、営業損益は大幅に悪化。前年度の126億円の黒字から、'14年度は2,204億円の赤字に転落した。スマートフォンの'14年度販売台数は3,910万台で前年度から横ばい。高付加価値モデルへの注力による製品ミックスの改善などがあった一方で、営業権の減損1,760億円を計上したことや、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響などで損益が悪化した。

イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野
モバイル・コミュニケーション(MC)分野
セグメント別の実績

 デバイス分野の売上高は前年度比23.9%増加となる9,578億円。モバイル機器向けの需要増加によるイメージセンサーの大幅な増収や為替の影響、カメラモジュールの大幅な増収が主な要因。営業損益は、前年度の124億円の損失に対し、'14年度は931億円の利益に回復した。これは、イメージセンサーの増収や、前年度に電池事業で321億円の長期性資産の減損を計上したこと、為替の好影響などによるもの。

デバイス分野
半導体の設備投資

 映画分野の売上高は、前年度比5.9%増加の8,787億円。映画製作は、前年度に比べ劇場公開作品数が少なく、劇場興行収入の減少などで減収となった。メディアネットワークは、事業買収にともなうデジタルゲーム収入と広告収入の増加により増収となった。営業利益は、米ドルに対する円安の好影響により、前年度比69億円増加し、585億円となった。

 音楽分野は、円安の影響により、売上が前年度比8.2%増加となる5,446億円。世界的なパッケージメディアとデジタルダウンロードの売上の減少があった一方で、デジタルストリーミング配信売上の増加などで、分野全体の売上高はほぼ前年度並みだった。営業利益は、前年度比88億円増加となる590億円。これは、円安の好影響、EMI Music Publishingを中心とした持分法による投資利益の増加、広告宣伝費の減少などによるもの。

映画分野
音楽分野

 なお、既報の通りソニーは4月22日に2014年度の連結業績見通しを上方修正。売上高は8兆2,100億円、営業利益は680億円の黒字に改善し、当期純損失も1,260億円の赤字(修正前は1,700億円の赤字)に圧縮すると見ていた。

「テレビとスマホは一旦しゃがむ」。Project MorpheusなどPS事業は“投資の年”

代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏

 代表執行役副社長兼CFOの吉田憲一郎氏は、構造改革の進捗について「予定通り。販売会社、本社での削減目標は達成し、'15年度の見通しにおいて、約1,100億円のコスト削減効果」とした。

 構造改革費用は、前年度に比べ174億円増加となる980億円。また、PC事業収束に伴う費用は、前年度に比べ187億円減少し、396億円(内、構造改革費用は196億円)となった。'15年度の構造改革費用は、グループ全体で約350億円。

 配当については、中間配当を10円とする予定。期末は「現時点では未定。今後の業績動向などを踏まえ、適切な時期に判断する」とした。

 2015年度の連結売上高見通しは、デバイス分野と映画分野の増収、それ以外の分野で減収すると見ており、前年度比で減少を見込む。連結営業利益については、'14年度のMC分野の減損や、'15年度のPC事業収束にともなう費用や構造改革費用の減少、デバイス分野での増益などを理由に、前年度比で大幅な増益になるとの見通し。

'15年度連結業績見通し

 '15年度から、一部セグメントの変更も実施した。前年度までは「その他」事業に含まれていたソネットとその子会社は、モバイルコミュニケーション(MC)分野に統合する。

 また、前年度はデバイス事業に含まれていた純正車載オーディオ機器は、'15年度からはホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野に移管となる。「その他」事業だった日本国内のディスク製造事業は、音楽分野(ソニー・ミュージックエンタテインメントジャパン傘下)に統合される。吉田CFOは「国内のディスク事業は利益を計上している一方、海外事業では2年間合計で約500億円の損失を計上しており、CFOとして大変反省している」と陳謝した。

 '15年度からのセグメント別の見通しは、ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)の売上高が1兆1,600億円で、前年度比6.3%のマイナス、営業利益は同21億円減となる220億円。モバイル・コミュニケーション(MC)は売上高が同7.1%減の1兆3,100億円、営業損益は1,786億円改善となる390億円の赤字。

 これらの2分野について吉田氏は、平井一夫社長兼CEOがこれまで述べてきた「いたずらに規模を追わず、違いや、顧客価値を追う」という考えに沿った形の予算となっていることを強調。「特にスマホとテレビは、一旦しゃがむしかない。ボリュームを落とすことから始め、次の戦略を考える」とした。

セグメントの変更
セグメント別の見通し

 主要エレクトロニクス製品の'15年度販売台数は、スマートフォンが3,000万台、デジタルカメラが570万台、液晶テレビが1,150万台で、いずれも'14年度から減少する見込み。ゲームはPS4販売台数を、1,600万台に増加すると見ている。半導体の売上高は7,500億円(内、イメージセンサー5,500億円)、設備投資額は2,900億円(同2,100億円)を見込む。

 特にPlayStationについて'15年度は“投資の年”と位置付ける。ネットワークサービスのアクティブユーザー数は6,500万人、有料のPS Plusは1,000万人を突破。今後もPS4売上増加やユーザー数拡大を目指し、海外で展開している見逃し配信サービスの「PS Vue」のサービスラインナップ拡充や、開発中の「Project Morpheus」のような新しいハード、「ソニー・ピクチャーズと連携して制作する連続ドラマ」などのオリジナルコンテンツ強化に向け、投資を進める方針。

PS関連に積極投資

 2月に発表した、'15〜17年にかけての分社化については、ウォークマンやオーディオ、Blu-ray関連製品などを手がけるビデオ&サウンド事業は、「10月の分社化に向けて予定通り進捗している」とした。その他の事業については現時点では明らかにしていない。

 近年、特に業績に大きく影響している為替感応度を修正することも説明。'14年度は、1円の円安に対して米ドルで30億円のマイナス、ユーロで60億円のプラスと見ていたが、'15年度は米ドルで70億円のマイナス、ユーロで55億円のプラスとする。米ドルの修正幅が大きくなった理由は、「これまで米ドルとの連動通貨として、米ドルに含めて計算していた新興国通貨の変動による影響を除いたこと」と、「ドルコストの比率が大きくなっていること」を挙げている。

 これを元に、為替の影響を試算すると、14年度の実績レートから、事業計画レートで約850億円のマイナス、事業計画レートから連結全体の前提レートで約650億円のマイナスの影響があるという。

 吉田氏は、'14年度を総括する言葉として「止血」を挙げた。エレクトロニクスが過去数年、大きな赤字を出したことから、「PC撤退もあったが、本社/販売会社を含めた構造改革で、止血のためのアクションを地道に実行した年」と述べた。

 また、過去の赤字や下方修正などを踏まえ、「事業を仕分けし、今後3年の事業ポートフォリオを決めた。(中期経営計画で発表した)営業利益5,000億円以上という新しいチャレンジをするために、投資をしようと腹決めした年だった。今期はそれを実行する年」と述べた。

為替感応度
営業利益に対する為替の影響
1963年度からの連結営業利益の推移。'17年度は5,000億円以上が目標

(中林暁)