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シャープ、北米テレビ事業撤退。Hisenseにブランド供与へ

“AQUOS”や“クアトロン”ブランドなど

 シャープは31日、北米の液晶テレビ事業の構造改革を発表した。自社生産/販売を終了し、中国の家電大手Hisense(ハイセンス)の子会社の米国液晶テレビ事業へシャープブランドを供与する。また、メキシコの生産子会社Sharp Electronica MexicoもHisense子会社に譲渡する。新体制でのビジネス開始は、2016年1月を予定している。

シャープ高橋興三社長

 供与するブランドは、「SHARP」、「AQUOS」に加えて、独自の4原色技術である「Quattron(クアトロン)」の3つ。

 独自技術であるクアトロンが含まれている理由については、「技術を供与するという話ではない。これから北米でシャープブランドを展開するにあたって、いきなり全てがあちら(Hisense)の商品に切り替わるわけではない。我々の在庫の販売もあるし、流通の関係も途切れないよう、これまで注力していたAQUOSとクアトロンが入っている。詳細はこれから。ただ、シャープの営業拠点もなくなりますから、例えば、新たな可能性のあるテレビをシャープが開発し、代理店のような形で導入してもらう、ということもあるかもしれない」と説明した。

米国テレビ事業撤退で、中期経営計画を進める

 シャープは、2001年に北米市場で液晶テレビに参入し、液晶テレビ市場創出に努めてきたが、近年は市場競争の激化に対応できず、昨年度は当初予測を大幅に下回る厳しい収益状況になった。5月の2014年度通期決算発表時にも、「米州のTV事業アライアンスを検討中」と表明していたが、今回Hisenseとの契約を締結。米国の液晶テレビ事業の自社展開終了を決めた。

 譲渡金額は未定だが、米国。メキシコ子会社の売却に伴い、23億3,700万円の特別損失が発生。「まだサインしたという最初の段階で、金額についてはこれから精査する」(高橋社長)とした。

 なお、法人向けの液晶テレビ販売は継続。また、オーブンなどの白物家電や複写機、インフォーメーションディスプレイなどのビジネスソリューション、太陽電池などのエネルギーソリューション事業、デバイス事業などは継続する。

 中国市場においても、市場低迷によりテレビ事業が苦戦しているが、「今現在、中国のテレビ生産、販売から撤退する予定はない(高橋興三社長)」とし、流通在庫の整理などに着手する。

 31日に発表した2015年度第1四半期決算については、別記事でレポートする。

(臼田勤哉)