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「ケーブル4K」開局、4Kで地域の魅力を全国放送。鉄道やスポーツ、コンサートも
(2015/12/1 12:05)
日本ケーブルテレビ連盟は、2015年12月1日11時から、ケーブルテレビ(CATV)業界共通の4K専門チャンネル「ケーブル4K」を開局した。これを記念したセレモニーが同日に東京スカイツリータウン内のJ:COM Wonder Studioで行なわれた。
「ケーブル 4K」は、地域の文化や魅力を高画質な4K映像で発信する、初の全国統一編成による4K放送のコミュニティチャンネル。チャンネルの運営は日本デジタル配信。
4K受信用のセットトップボックス(STB)を使って視聴可能。既報の通り、KDDIがSTB「Smart TV Box」に追加することでケーブル4Kなども視聴可能になる「パワーアップユニット」をCATV事業者へ提供開始しているほか、パナソニックもCATV事業者などへ対応STBのサンプル出荷を始めている。
開局日の12月1日、J:COM Wonder Studioにおいてオープニングセレモニーを開催。松下新平総務副大臣や、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)の須藤修理事長、NHKの堂本光副会長、衛星放送協会の和崎信哉会長らが来場し、11時の開局に合わせてテープカットを行なった
また、東京・二子玉川ライズ内のiTSCOM STUDIO & HALLでは、開局記念イベントを実施。ケーブル4K放送番組の「西部警察 全国キャラバン!! ロケ聖地巡礼」にちなんだ西部警察関連の展示や上映会、トークショーなどを行なう。
日本各地の美や歴史、祭りなど。「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」も
ケーブル4Kの放送内容は、CATV事業者が制作する地域に密着した番組のほか、ケーブルテレビ連盟が地域CATV事業者と共同で制作している「けーぶるにっぽん」シリーズも用意。チャンネル銀河、ファミリー劇場、ヒストリーチャンネルなどの専門チャンネルからの趣味、スポーツ等、エンターテインメント性の高い番組もあわせて放送する。
12月の放送予定番組は、「けーぶるにっぽん」のほか、「まるごと動物ウォッチ」、「西部警察 全国キャラバン!! ロケ聖地巡礼」の北海道/山形/宮城/静岡篇、全国各地の鉄道や、祭り、花火大会など。土日のみの番組として、「J:COM presents 2015ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」や、「被爆70周年平和祈念大島ミチルスペシャルコンサート」も放送する。
開局前の11月30日には、歴史的背景のある遺産を4K映像で記録して全国に発信する「麗しき日本の神社仏閣」シリーズを、「ヒストリーチャンネル」を運営するヒストリーチャンネル・ジャパンと日本ケーブルテレビ連盟が共同で展開することを発表。
「神社・仏閣」をテーマに、ヒストリーチャンネルがパイロット版番組「麗しき日本の神社仏閣『江戸の守り神~東京・日枝神社~』」を製作。これに合わせて、全国のCATV事業者から企画案の応募を受け付け、選出された12作品が4Kで撮影される予定。ただし、最終的に4Kで制作するか2Kで制作するかは各局が選択する。ヒストリーチャンネルはCATV 12局が撮影した映像を使用して特別総集編番組も製作する。
ヒストリーチャンネルのパイロット版番組と特別総集編番組は、ケーブル4Kにおいて4K画質で放送。制作される全14番組はヒストリーチャンネルではHD画質で全国放送する予定。なお、CATV制作番組のうち4Kで制作されたものもケーブル4Kで放送予定。12番組中10番組程度となる見込み。
松下総務副大臣「コンテンツによる安全保障にCATVが貢献」
ケーブル4Kは、日本のCATVが始まってから60周年を迎えた節目の年のスタートとなった。日本ケーブルテレビ連盟の西條温理事長は、「総務省のロードマップで'15年にCATVで4K実用放送が開始すると発表され、1年半に渡って事業を検討してきた。技術、コンテンツ調達、編成の課題をクリアしながら、コスト負担をできるだけ軽くして4Kの素晴らしい映像を届けたいという思いから、全国統一のチャンネルを立ち上げることに至った」と説明。
ケーブル4KはCATV事業者39社が加入してのスタートとなり、今後の予定については「年末には45社に増え、総接続世帯は1,400万世帯、連盟会員の54%をカバーする。来年にはもっとスピードが上がるだろう。CATVは60年前にテレビの難視聴対策として始まり、電話やネットと合わせて地域のインフラとなっているが、これからもサービスの幅を広げ、地域の総合サービス提供事業者にならなければならない」とした。地域密着のCATVならではの優位性として「HD放送の付加サービスとして、視聴者の要望に応えやすい位置にいる」とアピールした。
松下新平総務副大臣は、無事放送が開始されたケーブル4Kの映像を観ながら「ケーブルテレビファンの一人として待ち望んでいた」とコメント。日本各地の魅力を発信することについて「海外にも日本を理解していただき、興味を持っていただく、誤解があった場合はそれを解消するといった意味合いがある。国防が一つの安全保障であり、青年海外協力隊は人的な安全保障、そしてもう一つ、コンテンツによる安全保障に(ケーブルテレビから)多大な力添えをいただいている。引き続き、よろしくお願いしたい」と述べた。
また、2020年の東京オリンピックまで5年を切ったことに触れ、「東京を中心とした日本で、素晴らしい画質で、躍動感あふれる番組を世界に発信できることにワクワクしている」とした。
次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)の須藤修理事長は、番組を多様化するために、各CATV局が制作した番組をオンラインで共有して積極的に運用するという、日本ケーブルテレビ連盟の進めている取り組みを評価。今後のCATVの役割としては、高齢者の見守りサービスなど、テレビを使った新しいコミュニケーション推進などに触れ、「在宅でも行政手続きをできるようにするなど、テレビを新しい次元に引き上げることを積極的に行なっていただきたい。今後、魅力的なサービスがCATVというシステムを使って発展することは、日本にとってもイノベーティブな試みになる。今回のケーブル4K放送開始は1つのエポック」と述べた。