ミニレビュー
INZONE新ヘッドセット「H9 II/E9」、初代ユーザーが触った。装着感が“まったくの別モノ”
2025年8月20日 10:10
ソニーのゲーミングブランド・INZONEから8月20日に発表されたゲーミングヘッドセット最上位モデル「INZONE H9 II」と有線ゲーミングイヤフォン「INZONE E9」。発売に先駆けて実機を試聴してきたので、その使用感をレポートする。特にヘッドセットは前モデルユーザーである編集部・酒井が“即買い替えたい!”と頭を抱えてしまうほどの進化を遂げていた。
新たにINZONEから発表されたヘッドセット/イヤフォンは、どちらも世界的なプロeスポーツチームであるFnaticと共同開発したモデル。ヘッドセットのH9 IIは、2022年発売のヘッドセット「INZONE H9」の後継機種となる。
ユーザーから好評だった音楽用ヘッドフォン譲りのノイズキャンセリングなどはそのままに、不満の声が多かったというマイクの通話品質や装着感、各種ボタン・ダイヤルの操作感などが改善された。
音質面では、音楽用ヘッドフォン「WH-1000XM6」と同じドライバーを採用しつつ、FPSゲームに特化したサウンドチューニングを施すことで「敵の動きを正確に察知できるプロ仕様の音」に仕上げたという。
マイクは従来のヘッドセット一体型から着脱式に変更。口元まで曲げやすいブームマイク構造を採用した単一指向性で、広帯域のスーパーワイドバンド対応マイクに進化。前モデルにはなかったウィンドスクリーン(風防)も標準装備となった。
装着性の面では、ヘッドバンドのデザインを刷新したほか、イヤーパッドも合皮からナイロンに素材を変更することで快適性と遮音性を両立している。
接続方式は2.4GHzワイヤレスとBluetooth Classicのほか、新たにBluetooth LE Audio、3.5mmステレオミニでの有線接続にも対応した。バッテリー駆動時間はノイズキャンセリングOFF時で約30時間。
いちユーザーとして感じていたINZONE H9の不満点
編集部・酒井は、2022年に発売されたINZONE H9を予約して購入したユーザーのひとり。FPSゲームはほとんどプレイせず、PS5で黙々とレベル上げや素材集めができるオフラインゲームを主に遊ぶので、そのお供として購入した形だ。
購入から3年が経つが、残念ながらINZONE H9はほとんど使わなくなってしまった。その最大の要因は装着感の悪さ。
筆者所有のH9ホワイトモデルは重さ約330gでゲーミングヘッドセットとしては、やや重め。また側圧も強く感じられ、装着していると頭を締め付けられているような感覚がある。特に筆者は偏頭痛持ちなので、場合によっては頭痛が出てしまうこともあった。
またイヤーパッドも装着感を悪く感じる要因のひとつ。初代H9では合皮製イヤーパッドが使われていて高級感はあるのだが、装着していると熱がこもって強烈なムレ感に襲われる。冬場はまだしも、今のような夏場はエアコンを効かせた室内でも、あっという間に耳周りが蒸れてきて、30分着けているのがやっとというほど。
マイク品質については、普段H9を使ってボイスチャットをすることはないものの、過去に2~3回試した印象としては、のっぺりとした音になっていて、あまり高音質は言えないサウンドだった。またH9のマイクにはウィンドスクリーンが付いていないので、マイクに息が当たる「吹かれ」によるノイズも大きかった印象だ。
新モデルに触れてみた。これは“まったくの別モノ”
そんな初代ユーザーな筆者が短時間ながら新モデルのINZONE H9 IIに触れてみた。その使用感は「これはまったくの別モノに進化している!」と驚かされるものだった。
最大のネックだった装着感の悪さは、ナイロン製になったイヤーパッドや、新構造のヘッドバンド、そして本体の軽量化により大きく改善。短時間の使用だったものの、イヤーパッドによるムレ感は一切感じなかった。
「ソニーでは初採用」というワイヤーフレームなどを使ったヘッドバンドも頭部にしっかりフィット。側圧も前モデルよりは弱まっているものの程よいホールド感だった。また本体が軽くなったことで、単純に頭部にかかる負担が減っているのも大きなポイントだった。
マイク品質はPCとドングル経由で接続し、Discordでの通話でチェックしてみると、こちらも大きく進化。前モデルは解像感が低く、のっぺりとした音声品質だったが、新モデルのINZONE H9 IIではクリアな音声で、誰が、何を話しているのかが明瞭で聞き取りやすい。
ブームマイクは口元にも簡単に曲げられる構造だが、手を放しても位置がズレることなく、しっかりと口元に留まってくれる。また前モデルにはなかったウィンドスクリーンが標準装備となったことで、息による「吹かれ」ノイズもほぼ解消されていた。
肝心の音質はFPSゲーム「Apex Legends」のデモ映像を使ってチェック。敵が自身の周囲をぐるりと一周する場面では、足音の定位感がハッキリしているため、敵が背後に回っても音だけで相手の位置を把握できる。
定位感の良さは上下方向でも発揮されるため、例えば敵が建物の上階に居て、階段に向かってスライディング、そのまま下の階に飛び降りてくるといったシチュエーションでも、上方向からの足音やスライディングの音だけで、相手の動きを把握できるので、対抗策を練りやすい。
また遠くを歩いている足音のような微細な音もしっかりと再生される。Apex Legendsでは戦闘中、効果音や戦況を知らせるアナウンスなど、さまざまな環境音が流れるが、「ザッザッ」という遠くを歩く足音がそういった環境音に紛れないので、まず耳からの情報で「敵が近くにいるな」というのが把握しやすい印象だった。
音質やマイク品質はもちろんだが、個人的には装着感の進化が特に印象的だったINZONE H9 II。スピーカーなどと違い、周囲への音漏れを気にせずゲームに没頭できるのはヘッドセットの大きな魅力なので、装着感が大幅に改善した新モデルは、オンラインゲームを楽しむ人はもちろん、筆者のようなゆったりオフラインゲームを楽しむユーザーにも最適な1台となりそうだ。
有線イヤフォン「INZONE E9」も聴いてみた
また今回はINZONE H9 IIと同時発表された有線イヤフォン「INZONE E9」も試聴。同じくApex Legendsのデモ映像を使い、こちらはeスポーツの大会で多く使われているというShureの定番イヤフォン「SE215 SE」と聴き比べてみた。
SE215 SEと比べると、INZONE E9のほうが音場が広く感じられ、敵の位置はもちろん、自キャラとの距離感もより把握しやすい。また銃声や足音などを強調するチューニングが施されていることもあり、INZONE E9のほうが足音をより明確に聞き取りやすい。
特に印象的だったのは、敵が遠くに離れていくときの足音。SE215 SEは敵との距離が離れるにつれて、足音が環境音と混ざってしまい把握しにくくなる印象だったが、INZONE E9では距離が離れていても「ザッザッ」という足音がしっかり耳に届くため、周囲に敵がいることをより把握しやすい印象だった。