ニュース

デノンサウンドが大胆に進化。USB DAC搭載プリメインやSACDなど、新2500NEシリーズ

 ディーアンドエムホールディングスは、デノンシリーズの新単品コンポシリーズ「2500NE」を発表。USB DAC搭載のプリメインアンプ「PMA-2500NE」と、SACDプレーヤー「DCD-2500NE」、USB DACとネットワークプレーヤー、ヘッドフォンアンプ機能を搭載した「DNP-2500NE」を2月中旬に発売する。価格は「PMA-2500NE」が23万円、「DCD-2500NE」が18万円、「DNP-2500NE」は20万円。DNP-2500NEについては、別記事で紹介する。

左からUSB DAC搭載のプリメインアンプ「PMA-2500NE」、SACDプレーヤー「DCD-2500NE」、USB DACとネットワークプレーヤー、ヘッドフォンアンプ機能を搭載した「DNP-2500NE」

 1990年に登場したCDプレーヤーの「DCD-1650」、1996年の「PMA-2000」。どちらも世代を重ね、現行モデルは2012年発売の9世代目「DCD-1650RE」、7世代目の「PMA-2000RE」となり、デノンの中級コンポの代名詞的な存在になっているが、その後継かつワンランク上のサウンドを目標にしながら、現在のデジタルオーディオやPCとの親和性を高める機能追加も行なっているのが「2500NE」シリーズの特徴。

サウンドマネージャーの山内慎一氏

 プリメインアンプ「PMA-2500NE」は、USB DAC機能を搭載してPCと接続してシンプルなシステムを構築可能。SACDプレーヤーの「DCD-2500NE」はシンプルなディスクプレーヤーとして音質を追求、ネットワークプレーヤーの「DNP-2500NE」はUSB DAC機能を備え、フルデジタルのヘッドフォンアンプも搭載。様々なデジタルソースに対応しつつ、ヘッドフォンリスニングにも適したコンポとして展開する。

 また、デノン製品の音を監督するサウンドマネージャーに新たに就任した山内慎一氏が、初めてゼロから監修したシリーズともなる。いずれのモデルも福島県白河市にあるデノンの工場で生産されている。

新しい「2500NE」シリーズ

USB DAC搭載のプリメインアンプ「PMA-2500NE」

 これまでのシリーズを超えるパフォーマンスを実現するため、フラッグシップモデルの「PMA-SX1」や、プレミアムモデル「PMA-SX11」で新たに打ち立てられた「シンプル&ストレート」の設計思想を徹底。パワーアンプの回路構成、高速熱帰還回路、パワーアンプ用電源ラインなど、アンプにおける回路のほぼ全てを見直している。

USB DAC搭載のプリメインアンプ「PMA-2500NE」

 USB DAC機能は、上位モデルの「SX11」シリーズなどで使われたものを採用。対応データはPCMが384kHz/32bitまで。DSDは11.2MHzまでサポート。DSDの伝送方式は、ASIO 2.0ドライバによるネイティブ再生と、DoP伝送での再生に対応。アシンクロナス伝送もサポートする。

「シンプル&ストレート」の設計思想を徹底
開発を担当した、GPD エンジニアリングの村上匠氏

 PCから供給されるデータに混入するノイズを完全にカットするデジタルアイソレータも搭載。ICチップ上に組み込まれたトランス・コイルを介して磁気によりデータ転送を行なうもので、入力側と出力側を電気的に絶縁。DACとデジタルオーディオ回路の信号ラインを絶縁する事で、DAC以降のアナログオーディオ回路に与える高周波ノイズの影響をカットしている。PC側電源からのノイズの回り込みを防ぐために、デジタル回路専用電源トランスも搭載している。

 デジタル入力回路は、1.6mm厚の鋼板3枚で構成するトランスベースの下に配置。デジタル入力回路からの不要輻射が、アナログオーディオ回路へ悪影響を及ぼさないようにしている。

デジタル入力基板
中央に5個並んでいつ小さな黒いパーツがデジタルアイソレータ
1.6mm厚の鋼板3枚で構成するトランスベースの下に、デジタル入力回路を配置。アナログ回路への影響を及ぼさないようにしている

 DACをマスターとしてクロック供給を行ない、デジタル回路を正確に同期させる「DACマスター・クロック・デザイン」も導入。マスタークロックをDACの直近に配置する事で、ジッタの発生を抑え、忠実な再生ができるという。クロックは44.1kHz系、48kHz系で個別に搭載。ジッタの発生を最小化している。

FLディスプレイもOFFにできる「アナログモード」

 デジタル入力用に、PCM 384kHz/32bitまでの信号に対応した、独自のデータ補間アルゴリズムによるアナログ波形再現技術の最新版「Advanced AL32 Processing Plus」も搭載。補間ポイントの前後に存在する多数のデータからあるべき点を導き出し、原音に近い理想的な補間処理を行なうというもので、デジタル録音時に失われたデータを復元できるという。ここで補間処理を行ない、後段のアンプブロックに信号が送り出される。

 デジタル入力はUSB-Bに加え、同軸デジタル×2、光デジタル×2も装備する。

 なお、デジタル専用トランスへの給電を断ち、デジタル入力回路の動作を完全に停止させる「アナログモード」も用意。前面にソースなどを表示するFLディスプレイを備えているが、その表示も消灯させる事ができる。

アンプ部

 アンプの出力段には、微小領域から大電流領域までのリニアリティに優れ、大電流を流せるUHC-MOS(Ultra High Current MOS)FETをシングルプッシュプルで採用。他のアンプでは多数の素子を並列駆動して大電流を得る手法が多いが、その場合は素子の性能のバラツキによる音の濁りが問題となるため、あえて1ペアという最小単位の素子による増幅にこだわっている。高耐圧、大容量(ピーク電流210A)のUHC-MOS FETを採用している。

 定格出力は80W×2ch(8Ω)、160W×2ch(4Ω)。全高調波歪率0.01%。

 増幅回路は、従来フラットアンプ+パワーアンプの2段構成だったが、ハイゲインパワーアンプによる1段構成に変更。音声信号が通過する素子の数を減らし、信号経路を限りなく短くする事で、純度の高いサウンドを実現したという。

内部構造

 パワーアンプ出力段の保護回路も刷新。電流リミッターを取り除き、パワートランジスタの温度変化をリアルタイムでモニターする方式に変更した。ドライバ段のトランジスタの電流容量も1.5Aから2Aに強化。瞬時電流供給能力は従来の2倍以上(110A)となり、スピーカー駆動力が飛躍的に向上したという(ダンピングファクター 700以上/20Hz〜20kHz)。

 パワーアンプのUHC-MOS、温度補償トランジスタに加え、新たにパワーアンプのドライバ段のトランジスタもラジエータ(銅プレート)に熱結合。アイドリング電流に関わる全ての素子が熱結合されることで、アイドリング電流の安定度が増し、ぶれない安定した音を実現したという。

 回路のシンプル&ストレートを徹底するため、入力から出力まで、アクティブサーボ回路とカップリングコンデンサーを完全に排除。DC安定度の高いアンプ回路を実現するため、DCサーボ回路にはコンデンサと抵抗によるシンプルなパッシブ回路を使っている。また、Dual FET+カスコードブートストラップ接続によるFET差動入力アンプ回路を見直すことでDC特性を改善し、従来モデルよりも安定した低域再生を実現しました。

 2つのトランスを逆向きに配置し、お互いの漏洩磁束をキャンセルする「L.C.マウント・ツイン・トランス」を搭載。整流用のコンデンサには、デノン専用のカスタム大容量電解コンデンサを、整流素子には低損失、低ノイズ、ハイスピードなショットキーバリアダイオードを採用している。

 従来ダイオードユニットとブロックコンデンサの間に設けられていたコネクションユニットも取り除き、パワーアンプへの電源供給ラインを極限まで短くした。

ボリュームノブ

 27型のボリュームは、多接点ワイヤブラシを採用したオーディオグレードのモーター式を採用。アナログ式は入力バッファ回路が不要であるため、デジタルと較べて回路がシンプルにできる。

 MM/MCの両方に対応するフォノイコライザを搭載。パターン上のループによる音質への悪影響を受けやすいため、シンプル&ストレート化により音質を大幅に向上できたという。MM/MCの切替スイッチをプッシュ式からリレーに変更、基板上のパターンはより短く、信号ループはより小さくなった。

 フォノイコライザーおよび入力回路、ボリュームコントロール回路、USB DAC回路、増幅回路、電源部、コントロール部を独立配置した6ブロック構成シャーシを採用。1.6mm厚の鋼板によるシャーシで、外部からの振動や、各回路間の干渉の影響を排除した。

 電源部は、1.6mm厚の鋼板を3枚重ねた堅牢なサブシャーシに設置。その両側にヒートシンクを配置している。脚部には、高剛性で内部損失が大きい無垢のBMC(Bulk Molding Compound)を使っている。

付属のリモコン

 アナログ入力はアンバランス×4、Phono×1、外部プリ入力×1を装備。アナログ出力はアンバランス×1を備えている。外形寸法は434×431×182mm(幅×奥行き×高さ)、重量は25kg。消費電力は380W。

 DCD-2500NEなど、デノン製CDプレーヤーを操作できるアルミトップリモコンが付属。DNP-2500NEとリモートコントロールケーブルで接続すると、アプリの「Denon Hi-Fi Remote」から操作する事もできる。

背面

SACDプレーヤー「DCD-2500NE」

 フラッグシップモデルの「DCD-SX1」や、プレミアムモデル「DCD-SX11」の設計思想、技術、ノウハウを活用。同時に、USB DAC機能などは搭載せず、シンプルなSACDプレーヤーとしている。

SACDプレーヤー「DCD-2500NE」

 CDやSACDに加え、DVD-R/-RWやDVD+R/+RWに記録したDSDの5.6MHzファイルや、最大192kHz/24bitまでのPCMデータも再生可能。

 ディスクドライブには、DCD-SX11と同一の「Advanced S.V.H. Mechanism」を採用。ピックアップの制御とデコードを担う回路を新たに開発し、回路を最短・最小化し、余分な電流やノイズを発生させない設計としている。

構成パーツ
ディスクドライブはDCD-SX11と同一の「Advanced S.V.H. Mechanism」
内部構造
開発を手がけた、グローバル プロダクト ディベロップメント プロダクト エンジニアリングの出口昌利氏。「ヘッドフォン出力端子すら持たないシンプルな構成で、いかに高音質なアナログ出力ができるかを追求した。究極のディスクプレーヤーを開発するつもりで開発した」という

 ステンレスと銅板を組み合わせて剛性を強化したトップパネル、アルミダイカストトレイ、2mm厚のスチールメカブラケットなど、メカニズムの各パーツを異なる素材で構成。高質量による制振性の向上と共振点の分散化によって、高いレベルの制振性も実現したという。メカを低重心化することでディスクの回転により内部から生じる振動も低減。外部からの振動にも強い構造としている。

 アンプと同様に、「DACマスター・クロック・デザイン」を採用。マスタークロックをDACの直近に配置し、余分なジッタの発生を低減。クロック電源の根元には、高周波インピーダンス特性に特に優れたデノンカスタムの音質用導電性高分子コンデンサを配置し、クロックの近傍には積層セラミックコンデンサとは異なる、超小型フィルムコンデンサを新たに配置。「これまでにないクリアで澄み渡る空間表現やSN比の向上を実現した」という。44.1kHz系、48kHz系、それぞれに個別のクロック発振器を搭載している。

「DACマスター・クロック・デザイン」を採用

 デジタル録音時に失われたデータを復元するという、独自のデータ補間アルゴリズムによるアナログ波形再現技術の最新版「Advanced AL32 Processing Plus」も搭載する。

 デジタル・アナログ独立電源トランスを採用。相互干渉とノイズの回り込みを排除している。スチール製のトランスベースの下には、アルミプレートを組み合わせて、剛性も強化。D/A変換回路以降のアナログオーディオ回路の電源部には、新開発のオリジナル大容量3,300μFブロックコンデンサを採用。SX1/SX11にも搭載した高音質電解コンデンサや、高音質ポニフェニレンスルファイドフィルムコンデンサなども投入した。

上がSACDプレーヤー「DCD-2500NE」、下がプリメインの「PMA-2500NE」

 ディスクの回転や電源トランスにより内部で発生する振動や、スピーカーの音圧による空気振動が再生機器に伝わることで起こる音楽信号の劣化を防ぐため、振動抑止構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」を導入。振動体でもある電源トランスをフットの間近に配置し、振動を直接グラウンドへと逃がし、周辺回路への不要な振動の伝搬を防止した。

背面

 最も重いドライブ・メカをシャーシ中央の低い位置に配置することで低重心化。ディスクの回転による内部的な振動や外部から受ける振動にも強い構造を実現している。1.2mm厚のメインシャーシに1.6mm厚スチールプレートを2枚追加した3層構造とすることで、シャーシ剛性と質量をアップ。外部からの振動エネルギーも遮断している。インシュレータはBMC製。PMA-2500NEなどが操作できるアルミ製のリモコンが付属。DNP-2500NEとリモートコントロールケーブルで接続する事で、スマホアプリからの操作にも対応する。

 外形寸法は434×335×138mm(幅×奥行き×高さ)。重量は13.7kg。消費電力は25W。

“Vivid”と“Spacious”を実現するサウンド

 2500NEシリーズのサウンドについてサウンドマネージャーの山内慎一氏は、「中級機として手軽に楽しめる製品という側面もあるが、サウンドはハイエンドで、現代的なオーディオのスリリングな部分、面白い部分を十分に感じられるようなサウンドになっている」と紹介。

 サウンドマネージャーに就任して約1年、自身がゼロから携わった初のシリーズであり、「サウンドも(従来と比べ)多少変わっていく。デノンファン、ユーザーの皆さんはデノンサウンドに“繊細さと力強さ”、“正確さと安定感”というイメージを持たれている人も多いと考えている。そこから新たに追加・発展させたい」として、Vivid(ビビッド)とSpacious(スペーシャス)という2つのキーワードを掲示。

2つのキーワードと、それを実現するための取り組み

 繊細さと力強さには、音楽に含まれるパッション、心震わせる“何か”であるVividを追加。生き生きとした、鮮明な、クリアでハイスピードなサウンドを追求。正確さと安定感は、Spaciousへと発展させ、広大なサウンドステージ、スケール感を得る。そのためには、分解能やディテールの再現といった、再生クオリティをより高める事が重要だったという。

 山内氏は、こうした要素を実現する事で、音楽ジャンルを選ばない再生能力が実現できるほか、オーディオ的な枠にとどまらない、ミュージシャンや音楽がその場に存在し、それが、「自発的に語り始めるような、より音楽に没頭できる、そういう境地を出したいと開発に取り組み、それが出てきたという手応えを感じている。かなり良い仕上がりになっている」と、新製品のサウンドに自信を覗かせた。

新しいデノンサウンド

 山内氏の試聴室で、2500NEシリーズのサウンドを聴かせてもらった。楽曲はビヨークの「Virus」や、「Katsuhiro Chiba/ “Kicoel”」というアルバムの「i run slowly」など。アンビエント系がメイン。スピーカーはB&Wの804Diamondだ。

 音が出た瞬間に驚くのは、非常にクリアでシャープな音像と、ハイスピードなサウンドである事だ。PMA-2000シリーズと言えば、デノンの“顔”と言っていいプリメインアンプであり、そのサウンドにはドッシリとした安定感と、豊かな低域のイメージを持っていたが、PMA-2500NEでそのサウンドは大きく変化し、進化している。

 低域がボワッと膨らんだり、もたつくような印象は一切ない。非常に現代的で明瞭なサウンドになっており、目がさめるような鮮度の良さに、2500NEシリーズ全モデルで貫かれている「シンプル&ストレート」な設計の効果が出ていると感じる。

 かといって、低域が薄くなったり、弱くなっているわけではない。瞬時電流供給能力が大幅にアップしたアンプによる音圧の豊かさは、肺を圧迫されるような迫力を実現している。同時に、その音圧がスッと出て、スッと消えるトランジェントの良さに驚かされる。スピーカーを完全に制御できているからこそ得られるハイスピードな描写だ。同時に、低域のドッシリとした安定感に今までのデノンらしさも感じられる。

 CDの再生でも、ネットワークプレーヤーでのUSB DAC再生でも、鮮度の良さは変わらない。ハイレゾソースでは、迫力ある低域の中の分解能が呆れるほどに細かい。「五嶋みどり/バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲」から、「ソナタ第3番ハ長調 BWV.1005」を再生しても、弦が震える様子や、細かな音の抑揚がしっかりと感じとれる。

 また、音場の広大さも特筆すべきレベルだ。“中級モデルだからこのくらい”というようなサウンドステージの枠が一切感じられず、広がる音の響きが全身を包み込み、真横や遥か奥など、音像は3次元的なポジションで明瞭に定位する。

 本格的なオーディオ機器を初めて買ってみるという入門者はもちろん、デノン製品のサウンドを良く知っているというオーディオファンこそ聴いて欲しい。デノンらしさを残しつつも、大胆に進化した新しいデノンサウンドに驚く新シリーズだ。

(山崎健太郎)