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NHK、1億3,300万画素センサーの小型8Kカメラ。従来の1/7以下に軽量化
(2016/4/7 20:02)
NHKは、小型でフル解像度の8K映像に対応した8Kスーパーハイビジョンカメラを開発。1億3,300万画素のCMOSセンサー1枚で8K解像度に対応するため、本体は従来の1/7以下に軽量化している。この8Kカメラを含むフルスペック8K機器を、米国で4月18日~21日に行なわれる「NAB SHOW 2016」に出展する。
従来の8Kカメラでは、3,300万画素のイメージセンサーに赤(R)、青(B)、緑(G)の3枚を用いるため、入射した光を3色に分けるプリズムが必要で、カメラの小型化が困難だったという。今回開発したカメラは、従来の4倍の画素数となる1億3,300万画素のCMOSセンサーを採用し、プリズムを使わずに1枚のセンサーでフル解像度(7,680×4,320ドット/RGB 4:4:4)の8K映像を撮影可能。本体を小型化し、従来の1/7以下となる約6kgまで軽量化(レンズ/ビューファインダを除く)し、「高画質なフル解像度8K映像に対応した世界初の小型8Kカメラ」としている。
センサーサイズは35mmフルサイズと同等(対角43.2mm)で、画素数は15,360×8,640ドット。フレームレートは60fps、限界解像度は4,320 TV本。
NABにフルスペック8K機器や最新8Kコンテンツなど出展
BSで8月1日からNHKが開始する8K試験放送に向け、「NAB SHOW 2016」では最新8Kスーパーハイビジョン制作機材などをアピール。特に、8K/HDR/120Hz/12bit/広色域に対応する“フルスペック8K機器”の開発などを紹介する。
NAB会場に350型のシアターを設置。JVCと共同開発した8Kレーザープロジェクタで上映を行なう。また、この8Kプロジェクタで上映するコンテンツの撮影に使ったフルスペック8Kカメラも展示する。
最新8Kコンテンツとして、アメリカンフットボールの最高峰「スーパーボウル」や、小澤征爾とサイトウキネンオーケストラによる「ベートーヴェン交響曲第2番」、日本の夏祭り「青森ねぶた」などを上映する。
また、8K/HDR技術として、NHKが英BBCと共に連携して開発を進めるHybrid Log-Gamma(HLG)方式のHDRに対応した85型8Kディスプレイを展示。これまでの8K技術を結集させ、NHKがシャープと共同開発したという。画面の周囲に22.2chの枠型スピーカーを備え、映像だけでなく音声でも臨場感を追求している。
HDR映像としては、北海道の雪と氷が描く情景や、西表島の緑に包まれた情景をHDRカメラで撮影したコンテンツを会場で体験できる。
このほか、世界初となる8K中継車「SHC-2」も紹介。海外での運用も考慮した電源系や、輸送に対応しやすい車両の構造などを採用。IPインターフェイスで8K信号に対応したスイッチャーなどを装備。カメラは最大10台、圧縮収録再生機、スロー装置はそれぞれ最大4式を接続できる。リオ五輪での8K制作にも活用される。
NHK技研公開は5月26日~29日
NHK放送技術研究所(NHK技研)の「技研公開2016」は、5月26日~29日の4日間開催。70回目となる今回は、「スーパーハイビジョン」、「インターネット活用技術」、「スマートプロダクション」、「立体テレビ」、「次世代デバイス」の5つの技術を中心に、27項目の研究開発成果を展示する。入場は無料。
スーパーハイビジョン関連では、「シート型の大画面ディスプレー」などを用意。また、裸眼立体テレビの実現に向けて、8Kパネルを用いて立体映像が観られる範囲が従来よりも広い「インテグラル立体テレビ」を展示する。