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パナソニック、3,000ドル以下の4Kカメラ「UX」などをNABで発表

 パナソニックは、米ラスベガスで開催されている放送機器展「NAB (National Association of Broadcasters)ショー」において、1型のMOSセンサーを搭載した業務用4Kカメラ「UXシリーズ」の開発を発表。さらに、4Kカメラの「VARICAM」シリーズで使える「expressP2」メモリーカードの新ラインナップや、4K/60p映像をIP伝送する実証実験なども発表している。

左から「UXプレミアムモデル AG-UX180」、「UXスタンダードモデルAG-UX90」

業務用4Kカメラ「UXシリーズ」

 4KカメラUXシリーズは、「UXプレミアムモデル AG-UX180」、「UXスタンダードモデルAG-UX90」の2機種を2016年秋に発売予定。価格は未定だが、AG-UX180は北米地域で4,000ドル以下、AG-UX90は3,000ドル以下で発売する予定。

 「AVCCAMシリーズ」の後継として開発されているもので、4Kコンテンツの需要の高まりを受け、プロの映像制作者の4K撮影機材の導入をより容易にすると共に、従来のレンズ一体型による業務用ハンドヘルドビデオカメラ同様の高機動撮影や操作性、ワークフローを踏襲できるシリーズとして企画されている。

 従来シリーズは1,920×1,080ドットまでのフルHD対応だったが、新モデルでは4,096×2,160/24pの4K、UHD(3,840×2,160ドット)での記録に対応。記録メディアは従来同様、SDメモリーカードを採用している。100Mbps以上の撮影ではUHSスピードクラス3(U3)対応のSDメモリーカードが必要。

 「UXプレミアムモデル AG-UX180」は、高倍率光学20倍ズーム、4K/24pとUHD/60p記録、デュアルコーデック記録(UHDとフルHD)、IR暗所撮影、3G SDI/HDMI出力に対応している。

 「UXスタンダードモデル AG-UX90」は、光学15倍ズーム、UHD/30p記録に対応。どちらの製品も、有効サイズ1型MOSセンサーを搭載し、従来のハンドヘルドカメラ同等の感度を実現するとしている。

 パナソニックでは、4/3型大判センサーを搭載したレンズ一体型4K/60pカメラ「AG-DVX200」も発売しているが、このモデルはハンドヘルドカメラ「DVX 4K」シリーズとして、UXシリーズの上位シリーズに位置づけられる。フラッグシップシリーズは、4K、HDR映像制作に他王できる「CINEMA VARICAM」シリーズ。

expressP2カード・Bシリーズ

 4Kデジタルシネマカメラ「VARICAMシリーズ」用記録メディア「expressP2カード」の新ラインナップとして、「expressP2カード・Bシリーズ」2機種が5月に発売される。512GBの「AU-XP0512BG」が252,000円、256GBの「AU-XP0256BG」が14万円。

左から256GBの「AU-XP0256BG」、512GBの「AU-XP0512BG」

 映画・ドラマ・CMなどハイエンドの映像コンテンツ制作のためのカメラ「VARICAMシリーズ」。4K/120fps収録に対応する「VARICAM 35」、HD/240fps収録に対応する「VARICAM HS」、より小型軽量で4K/60fps収録が可能な「VARICAM LT」が2016年3月末から出荷されている。

 expressP2カードは、これらVARICAMシリーズ用の記録メディアとして、AVC-Intraコーデックでの4K/最大120fpsと、HD/最大240fpsのハイフレームレート映像の書き込みを保証。一般的なフラッシュメモリの誤り訂正では訂正できないセクター/ページの誤りデータを復活させるRAIDシステム同等の誤り訂正能力や、抜差回数30,000回の耐久性などを備えている。

 新製品のBシリーズは、現行品Aシリーズの約4倍のデータ転送速度となる最大10Gbpsに対応可能。ただしこれは、将来的に高速インターフェイスを持つカードリーダーと組み合わせた場合で、USB 3.0インターフェイスのexpressP2ドライブ「AU-XPD1」使用時は、Aシリーズと同じ最大2.4Gbpsとなる。

 Bシリーズでは512GBの大容量モデルもラインナップ。4KのAVC-Intra4K422 23.98p収録時で約180分の長時間録画が可能で、ドキュメンタリー用途などにも対応できるという。

新開発Video over IP Gatewayで実証実験開始

 「映像制作分野におけるIP技術は、オープン&フレキシブルな考え方こそが業界全体への貢献、また新たな価値の提供に不可欠」として、新開発のVideo over IP Gatewayを用いて、キヤノンなどの放送映像機器会社との連携展示をNAB2016会場内で行なう。

 4K映像などをVideo over IPで伝送するものだが、映像圧縮技術が不可欠となるため、アライアンスが広がっているintoPIXが開発した「TICO(ティーコ)」コーデックを採用している。

 TICOは、ビジュアル・ロスレスを実現できる軽圧縮技術で、繰り返し圧縮での安定性も高く、最小遅延が1ラインの固定遅延であり、「IP伝送に非常に適している」という。この超軽量コーデックにより、リーズナブルで現実的な4K Video over IPを実現し、様々な用途での応用が可能としている。

 そこで、4K/60pのベースバンド信号をIPパケットに変換し、TICOで圧縮し、最大3chの4K/60p映像を100GigabitのEthernetケーブル1本での伝送を可能にしたVoIP対応ゲートウェイを開発。SMPTE 2022、SMPTE 2059、SMPTE RDD 35に準拠し、1Uサイズで2系統の4K/60p信号又は8系統のHD信号や、ネットワーク経由での時刻同期を可能にした。

 NABの会場では、パナソニックブースとキヤノンブース間を10GbitのEthernetケーブルで結び、新開発ゲートウェイを使い、両ブースに設置された4Kカメラ、パナソニックブースに設置の4K映像サーバからの映像をスイッチングソフトウェアで自由な選択・表示が行なえるデモをしている。パナソニックでは将来的に、このゲートウェイ機能を製品単体に搭載していくという。

(山崎健太郎)