Rovi、DLNA対応機器向けのコンテンツ管理ソフトをデモ

-メタデータを正規化、検索性を向上。iTunes連携も


Personal Media Managerの画面の例。実際の製品では個別にカスタマイズ可能

3月30日提供開始


 Roviは、ネット接続対応メディアプレーヤーやサーバーなどにおいて、音楽/動画/静止画のメタデータ更新/書き換えなどを可能にするコンテンツ管理ツール「Personal Media Manager」の説明会を開催。特徴や利用シーンなどについて解説した。

 LAN HDDなどネットワーク対応ストレージやデジタルメディアプレーヤー、Blu-rayプレーヤー、STBなどの機器メーカーや、オンラインショップなどWebサービス事業者向けに3月30日より評価版の提供を開始。各製品/サービスに合わせてスキンや機能がカスタマイズされ、今後各メーカーなどから発売される製品に搭載される。なお、コンシューマ向けに単品ソフトなどの形で直接販売される予定は無い。



■ データベースの正規化で検索性を向上、DLNAで共有可能に

 Roviは、音楽などのメタデータを扱うMuseやAll Media Guide(AMG)、EPG技術のGemsterなどを買収し、さまざまなデジタルコンテンツ管理技術を取得。これを活かして、動画/音楽/静止画などの検索性向上や、宅内の機器の連携機能などを、各メーカーの機器やサービスが持つ機能としてコンシューマに提供している。採用事例としては、オンキヨーのDLNA対応AVアンプ「TX-NA807/SA707」や、バッファローのネットワークメディアプレーヤー「LinkTheater」(LT-H90WNなど)といった機器が挙げられる。

Roviの提供するソリューションDLNA対応AVアンプやネットワークメディアプレーヤー、カーナビ、オーディオ機器などでの採用例

 3月30日に発表された「Personal Media Manager」は、こうしたネットワーク接続対応機器などで楽曲名/アーティスト名/ジャンルといったメタデータに統一性をもたせた形で管理し、DLNAなどを利用して様々な機器間で快適に操作できるようにするもの。特に大量のファイルを持つユーザーにとって、コンテンツを扱う際の使い勝手を左右する重要な機能といえる。

 主な特徴は、CDなどを取りこんでPCに保存したメタデータを、インターネット経由でRoviのデータベースにある内容と照合して更新できること。情報の欠落や表記のブレなどを防ぎ、検索性を向上できる。楽曲の場合はファイルからフィンガープリントを取って認識し、メタデータを付加する技術「Lasso」を採用している。データベースには1,600万以上の楽曲、180万以上のアルバム、43万以上の映画作品の詳細データ、あらすじなどが収められている。

 動画のデータベースについては、作品名や制作年、ジャンルなどのほかに、あらすじなどの情報も付加可能。静止画では、メタデータ管理のほかに、リサイズや色補正、赤目補正などの簡易編集も行なえる。

 説明会では、実際にCDから取り込んだ楽曲のメタデータをクリーニング(データベースと照合して正規化)するというデモを行なった。同じアーティストのCDを取り込んだ場合でも、アルバムなどによってデータに欠落や表記ゆれがあることは多いが、例として「曲名」が入るべき箇所に「アーティスト名」と「曲名」が合わせて入力されているという場合に、クリーニングで正しい情報が入力されることなどを実証した。

「Personal Media Manager」の機能概要Roviのデータベースを元にしたメタデータの正規化と管理を可能にするDLNA 1.5に準拠し、機器間の連携が可能
左下の「Scan Computer」でHDD内の楽曲を読み込み、「Clean Tags」でメタデータをクリーニング「Title」の欄に「EVERY LITTLE THING - NO LIMIT」とアーティスト名/曲名の両方が入ってしまっているデータの例データベースとの照合/クリーニングにより修正できた
複数の楽曲をまとめてクリーニングブランク部分のみ埋めるということも可能映画のデータベースをクリーニングすると、あらすじなどの情報も入力される
静止画のメタデータ管理画面。リサイズなどの簡易編集も行なえる
PC/MacなどにあるiTunesのプレイリストを表示可能。画面は開発中のものだが、実装すると一覧で表示できるようになる

 こうしたメタデータの書き換えは、検出された部分の全てに適用するという方法のほか、“データがブランク(空白)になっている場合のみ埋める”という方法も選べるため、誤った更新がなされるのを防ぐこともできるという。

 もう1つの特徴は、DLNA 1.5に対応し、他のDLNA対応機器とコンテンツを共有できる点。Digital Media Server(DMS)とDigital Media Controller(DMC)の各機能に対応し、搭載機器をサーバーとすることで、機器のHDDやLAN HDDなどに収めたコンテンツを他のプレーヤーでストリーミング再生できるようになる。Windows以外にMacやLinux搭載機器との間でも連携できるとしている。なお、このソフトにDLNAクライアント機能は搭載しない。

 さらに、iTunesのプレイリストとの連携機能も実装可能。PCやMacなどに収められたプレイリストを読み込んで、他の機器でリモート再生することも、メーカー側の要望次第では可能になるという。そのほか、機器のメニュー内から直接オンラインショップへユーザーを誘導するといった機能も実装できるとしている。


DLNA連携のデモ。PCやMacにある動画や音楽、静止画を、DLNAクライアント対応テレビで再生
ロヴィの出口雄一郎氏

 なお、LAN HDDなどに収めたコンテンツのメタデータをDLNA経由で更新するという機能もこのソフトウェアには搭載。対応するLAN HDDは市販されていないが、今後メーカーから対応品が登場した場合、この機能が利用できるようになるという。

 そのほかの特徴として、動画/静止画などをYouTubeやFlickr、Facebook、MySpaceといった共有サイトやSNSサービスにアップロードできる機能も搭載している。

 ロヴィのアジア太平洋地区における販売を統括する出口雄一郎氏は製品の販売にあたり、「コンテンツが溢れかえっているため、今後はメタデータが無いとユーザーが管理しにくくなってきている。これを助け、さらにDLNAを活用することで音楽などを共有できる環境を作るPersonal Media Managerを、今後日本のメーカーにライセンスしていきたい」と述べた。



(2010年 4月 9日)

[AV Watch編集部 中林暁]