ヤマハ、3DやDLNA対応の7.1ch中級AVアンプ3モデル

-11.2ch拡張対応。ネットワークプレーヤー機能強化


左から「RX-V1067」、「RX-V2067」、「RX-V3067」

10月上旬発売

標準価格:120,750円~233,100円


 ヤマハは、中級クラスの7.1ch AVアンプ3機種を10月上旬に発売する。価格は「RX-V1067」が120,750円、「RX-V2067」が178,500円、「RX-V3067」が233,100円。3モデルとも、カラーはブラック(B)、ゴールド(N)の2色を用意する。

 フラッグシップモデル「DSP-Z11」の設計思想を受け継いだ3モデルで、進化したシネマDSPを搭載。筐体のデザインは共通。主な違いは定格出力や拡張性で、「RX-V1067」は最大出力145W×7ch(6Ω)。「RX-V2067」は175W×7ch(6Ω)で、プリアウトに別途パワーアンプを追加接続することで最大9.2chに拡張可能。RX-V3067は185W×7ch(6Ω)で、「DSP-Z11」と同様の11.2chまで拡張できる。

RX-V1067RX-V2067RX-V3067

 3機種とも基本機能として、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master AudioなどのHDオーディオのデコードが可能。同社AVアンプの特徴である「シネマDSP」もHDオーディオに対応。マルチチャンネルリニアPCMだけでなく、ドルビー TrueHDやDTS-HD Master Audioなどの音声フォーマットに対し、シネマDSPをかけて再生できる。

 シネマDSPは、従来の「シネマDSP-plus」に、“高さ”方向の音場データを加え、立体的なサラウンド空間を実現する「シネマDSP <3Dモード>」に対応。音楽再生プログラムでは天井や床の反響音まで計算することで、ホールの空間を再生可能。映画用プログラムでは、映像とサラウンド音場の一体感を高め、「画面に引き込まれるような立体的な表現」を実現するという。総サラウンドプログラム数はV1067が38個、上位2機種が44個(シネマDSPは17個と23個)。V3067を11chに拡張した場合は、リアプレゼンススピーカーを使い、よりリアルな三次元音場を再現するという「シネマDSP3(キュービック)モードが利用できる。

RX-V3067のゴールドモデルRX-V3067のオンスクリーンメニューで11.2chのスピーカー配置を表示したところ

 さらに、VPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)機能も装備。前方上方に設置するプレゼンス・スピーカー(フロントハイ)を仮想的に創成するもので、フロント・プレゼンス・スピーカーの設置が必須だったシネマDSP <3Dモード>を、7.1chや5.1ch構成のシステムでも手軽に利用できる。さらに、サラウンドバック・スピーカーと仮想フロント・プレゼンス・スピーカーの同時出力もでき、9.1ch相当のシネマDSP <3Dモード>が、外部アンプの追加をせず、手軽に利用できるようになっている。

RX-V3067拡張時のスピーカーセッティングは、様々なパターンが用意されている

 視聴環境最適化機能の「YPAO」も進化。「DSP-Z11」と同等のマルチポイント計測(最大8カ所)を採用するほか、上位2機種では、「YPAO-R.S.C」(Reflected Sound Control)と呼ばれる新機能が利用できる。これは、部屋の壁や床から発生する不規則な初期反射音を、デジタル音場処理技術で補正するもので、左右のスピーカーの設置環境が異なるような環境でも、バランスの整った視聴空間を作り出せるという。さらに、残響特性に合わせてシネマDSP効果を最適化する「DSPエフェクトレベルノーマライズ」も備え、補正され、整ったバランスの中で、DSP独自の音場が楽しめるという。

 PCなどに蓄積した楽曲を、DLNA(1.5準拠)で再生するネットワークオーディオ機能も強化。MP3/WAV/FLAC/WMA/AAC(MPEG-4)の豊富なフォーマットをサポートし、FLACは24bit/96kHzまで対応する。Windows 7にも準拠USB端子も備えており、USBメモリ内の楽曲再生も可能。インターネットラジオも聴取できる。DLNAサーバー内へのアクセスや、楽曲選択などはAVアンプのGUIとリモコンを使って行なえる。

 いずれのモデルも筐体に、DSP-Z11の設計を踏襲した、新規設計の制振・高剛性シャーシを採用。最も重いトランスをシャーシ中央に据え、底部をリジッド・ボトム・フレームと呼ばれる2本の梁で支える構造になっている。さらに、上位2機種にはH型のクロスフレームも投入。V3067にはそれに加え、底部がダブルボトム構造となっており、メタルレッグも採用している。

 高音質回路設計として、DACのグラウンドをアナログ基板と共通化することで、電位差をなくし、ノイズの流入を防止する「D.O.P.G.」(DAC on Pure Ground)や、全てのデジタル入力に含まれるジッタ成分をリクロック回路で除去する「Ultra Low Jitter PLL」などを投入。さらに、高速温度検出タイプのパワートランジスタや、制振・放熱特性を改善したヒートシンクも装備する。

 アナログ入力をHDMIから出力するビデオアップコンバージョン機能に対応。IP変換も可能で、1080pへのアップスケーリングもサポート。上位2機種は、処理回路としてHQVの「IDT HQV Vida」ビデオプロセッサの最新版「VHD1900」を使用。マルチケイデンス検出やオートコントラスト強調、ディテール強調、エッジ強調、オートレゾリューションエンハンス、オートノイズリダクション機能を備えている。V3067では、ユーザーの好みに合わせた微調整も行なえる。

 オンスクリーンメニューはグラフィカルなカラー表示。入力ソースに応じてあらかじめ設定された音場/音質設定やパワーアンプアサインなどの各種設定を自動的に切り替えられる「SCENE PLUS」も装備。HDMIは1.4aで、Deep Color 36bitやx.v.Colorに対応。HDMI CECもサポートする。また、3D映像にも対応し、ARC(オーディオリターンチャンネル)も利用できる。

上位2機種は新しいリモコンを採用。V3067は全てのボタンが自照するフルLEDバックライトキーとなる

 iPod用Dock接続端子も備え、YDS-10/11/12、YBA-10、YID-W10のDockが接続可能。iPod内のコンテンツをGUIで表示したり、アルバムアート表示も可能。iPodのサウンドにシネマDSPをかけて楽しむこともできる。上位2機種は新デザインのリモコンを同梱。V3067は全てのボタンが自照するフルLEDバックライトキーを採用する。

 入力端子は、HDMI×8、D4端子×1、コンポーネント×4、コンポジット×5、S映像×5、光デジタル×4、同軸デジタル×3、アナログ音声×11、7.1chアナログ入力×1。出力はHDMI×2、コンポーネント×1、コンポジット×2、S映像×2、光デジタル音声×1、アナログ音声×1、ヘッドフォン、Ethernet、RS-232C、IR端子、トリガー出力も備えている。プリアウトは7.2chで、V3067のみ9.2ch。なお、端子はV3067のみ、金メッキ仕上げとなる。

 外形寸法は435×430×182mm(幅×奥行き×高さ)で共通。重量はV1067が14.7kg、V2067が16kg、V3067が18.5kg。


RX-V1067の背面RX-V2067の背面RX-V3067の背面


 ■ 3機種を比較試聴

2chで3機種の比較試聴を行なった

 筐体デザインは共通する3機種、基本的な音の傾向も共通しているが、シャーシ構造や投入する各種高音質パーツや音質チューニングにより、総合的な音質には違いがある。その違いをステレオ再生で体験してみた。

 V1067は開放感のあるストレートなサウンドで、個々の音の解像度が高く、レスポンスの良さが好印象。低域の沈み込みがもう一歩欲しいと感じる面もあるが、価格を考えるとバランスが良く、十分ワイドレンジなサウンドと言える。

 V2067は個性があり、中低域の量感が豊か。ヴォーカルを活動的に再生するバランスで、グイグイと前に張り出してくる中域のアタック感が心地良い。低域のスケール感もアップする。

 V3067は極めてワイドレンジ。傾向としてはV1067に近く、V1067の上下のレンジをグッと伸ばしたイメージ。低域の量感と解像度も向上し、音場の奥行きもよくわかるようになる。ピュアオーディオライクな音作りの傾向と表現できそうだ。


(2010年 8月 25日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]