BS朝日、日本初の3D音楽レギュラー番組を開始

-第一回はSPEED。パナソニック制作。月~金放送


番組ロゴ

 ビーエス朝日(BS朝日)とパナソニックは1日、音楽レギュラー番組として日本初となる3D放送番組「Panasonic 3D MUSIC STUDIO」を制作、放送すると発表。パナソニックセンター東京で発表会を開催した。パナソニックが番組の制作・著作を、BS朝日が放送を行ない、パナソニック1社提供番組となる。

 Panasonic 3D MUSIC STUDIOは、11月1日より3カ月間、毎週月~金曜日の23時50分から10分間、映像はサイドバイサイド方式の3Dで、音声も5.1chで放送される。アーティストが週替りで毎週月~金曜日の計5日間、1日の番組内で1曲または2曲を披露する。企画制作はパナソニック映像/P&D CO.,LTD.、番組演出は疋田拓プロデューサー。

坂本冬美さんの収録風景

 単発やスペシャル番組ではなく、レギュラー番組として3D制作の音楽番組は日本で初めて。また、民放キー局系列のBS局としても初めての3D番組放送、さらにテレビ朝日・朝日放送系列の放送局として初めての3D番組放送となる。

 Panasonic 3D MUSIC STUDIOは、当初から3Dで放送されることを前提に企画されており、収録からすべてフルハイビジョン3Dで制作。「パナソニックの業務用3D機器を含めて3Dシステムを構築するだけでなく、アーティストのパフォーマンス、美術、セット、照明など3D用のオリジナルの演出により、より臨場感あふれる3D映像を視聴いただけるように番組制作を行なっている」としている。なお、すべて3Dカメラで撮影され、2D-3D変換は使用していないという。

 番組コンセプトは「大人が毎晩リビングでじっくり楽しむプライベート・コンサート」。「平日の23時台に40代以上の世代にじっくりと音楽を楽しめる番組を目指し、実力派のアーティストが3Dならではの演出とともに、『ご家庭のリビングルームに毎日プライベート・コンサートをお届けする大人のための音楽番組』」としている。

 今後の放送予定は以下のとおりで、青山テルマさんの出演も決定している。

  • 11月 1日~11月 5日SPEED
  • 11月 8日~11月12日稲垣潤一
  • 11月15日~11月19日南こうせつ
  • 11月22日~11月26日坂本冬美
  • 11月29日~12月 3日DA PUMP
  • 12月 6日~12月10日岩崎宏美
  • 12月13日~12月17日谷村新司
第一回はSPEED
第ニ回は稲垣潤一さん
第四回は坂本冬美さん

左から疋田拓プロデューサー、BS朝日の風間建治代表取締役社長、パナソニックのデジタルAVCマーケティング本部 西口史郎本部長、稲垣潤一さん
 発表会には、BS朝日の風間建治代表取締役社長、パナソニックのデジタルAVCマーケティング本部 西口史郎本部長、疋田拓プロデューサーに加え、出演アーティスト代表として、稲垣潤一さんが出席し、番組概要などを解説した。

 BS朝日の風間建治代表取締役社長は今回の番組企画意図について、「今年は3D元年と言われており、3D対応型番組を視聴者にとどけるのは、テレビの新たな可能性を広げるという意味で、時代の要請。きわめて意義深いと認識している。そんな中、パナソニックから3D番組の放送の提案をいただいた。3D放送のノウハウを蓄積し、映像サービスのポテンシャルを把握するという観点から絶好の機会と受け止めている」と説明。

 また、3D放送の開始にあたり、「安全性の確保を最優先にした」という。具体的には、「視差範囲の基準値とカメラワーク」とし、「まだ、民放連でのガイドラインはできてないが、総務省の3Dテレビに関する検討会のメンバーでもある、北里大学の半田知也氏を監修として、製作ガイドラインを策定。収録後は測定器にかけて、確認も行なっている」という。なお、視聴は7歳以下を制限するとしている。

左から疋田拓プロデューサー、BS朝日の風間建治代表取締役社長稲垣潤一さん、パナソニックのデジタルAVCマーケティング本部 西口史郎本部長

 パナソニックの西口史郎本部長は、3D市場について「パナソニックは4月23日に国内初の3D VIERAとDIGAを発売するなど、他社に先駆けて3D製品を発表しており、3Dのリーダーとして、業界を牽引していくという覚悟。販売も、当初を計画を上回るペースで好調に推移している。これから、年末商戦にむけて、加速していきたい」語った。

 また、今回の番組については「3D導入当初より、3Dコンテンツへの問い合わせが多くあった。その中で、3Dでぜひ見たいというコンテンツには、映画、スポーツと並んで、音楽番組という要望が強くあった。今回、縁があって、3D音楽番組にかかわれたことは、ハードメーカーとして、大変光栄に思う。また、番組内容も、トップアーティストも参加していただいて、嬉しく思っている。今年2010年を家庭での3D元年として、家庭に居ながら、収録スタジオにいるような臨場感、アーティストが自分のために歌っているような臨場感。まさに、音楽番組の新しい世界を見ていただける」と喜んだ。

発表会の司会は、伊藤聡子さんが務めた
 今後の展開については、「今後発売する新モデルについては、ごく一部の普及価格帯のものを除いて、45型以上は3Dを標準搭載すると考えている。今回の3D番組で、ハードとソフトの両面で3Dが標準化の道を歩んでいくと期待している」と話し、さらに「映像の一部をVIERAを販売している店頭で、番組宣伝の一環として、高画質の3D映像を上映させていただけることになった」と今回の番組を、販促にもつなげることも説明した。

 疋田拓プロデューサーは今回の番組製作について、「40数年テレビの製作にたずさわってきた。モノクロからカラー、カラーからハイビジョン、ハイビジョンから3Dと。まさか、3Dを、日本初となる音楽番組をスタートできるとは思ってなかった。今まで番組を撮るという表現をしてきましたが、実際にやってみると、今回は撮るんではない、創るんだなという感覚でした。今まで、収録した3人のアーティストの方々が試写を見た様子を見ていただければ、納得いただけるかなと思う」と語った。

SPEEDの4人(左から上原多香子さん、島袋寛子さん、今井絵理子さん、新垣仁絵さん)は、試写を見ながら「うぁー、すごい。奥行き感が出て、すごい。ちゃんと距離感がわかる、フォーメーションがわかる」と興奮して、画面に手を伸ばしたりしていた。「わくわく、ドキドキしました。ライブを見に来ているぐらい、手が届きそうで、一緒にステージにいるみたい。すごいです、感動です。ありがとうとございました」と喜んでいた
坂本冬美さんも、試写を見て「おーぅー。おーっと」と驚きの声を上げていた

 「長年音楽番組をやってきていますが、アーティストの皆さんに試写すると、こんなに驚かれ、拍手をされたのは初めて。とにかく、アーティストの皆さんが、もう一人の私がそこにいる、ということで、手を伸ばして触られる、そんな仕草を皆さんされます」と語った。

 「リビングさながらライブコンサートのステージになる、本当にそういう感覚の映像。自分自身が、キャメロン監督になったのではないかと錯覚するぐらいの映像が作れたのではないかと思う。アーティストの方が興味をもたれまして、ぜひひとつ参加したいということで、大変協力をいただいいている」と今回の番組内容に自信をみせた。

稲垣潤一さん

 実際に収録した、稲垣潤一さんは「まずは、びっくりした。驚いたのは立体感、スケール感がでちゃうわけで、音までもが立体的に聴こえてくる。衣装の素材感もわかる。雪のようなものを降らせるという演出がされたんですが、その雪が手で触れることができるような感じを受ける映像になるんですね。ですから、ミュージッククリップとかPVが3Dになったら、かなり変わるのではないかと思う」とかなり驚いていた。

 さらに、「僕もデビューからいろんな映像を作ってきましたが、そういうものが3Dになっていて、スケール感がかなりアップする。今までの2Dとは、まったく違うコンセプトで作らなくてはならないし、可能性というのはたくさんあると思う。今回は、アルバム『男と女2』の中から、寺田恵子さんとデュエットもささせていただいているので、スケール感を見てほしい」と見どころを語った。

稲垣潤一さんは、3D映像のミュージッククリップのあたらな可能性を見出していた
発表会はパナソニックセンター東京で行なわれた
ブルーレイシアターで、3Dによる試写も行なわれた


(2010年 10月 1日)

[AV Watch編集部 古川 敦]