世界初のプロ野球公式戦3Dライブ中継に成功
-阪神×ヤクルト。パナソニック製3Dカメラ2台
世界初のプロ野球3Dライブ中継となった阪神対ヤクルト戦 | 球場にはひかりTVの旗も設置されていた |
阪神タイガースが制作するコンテンツ「タイガースアイ」の映像を活用し、3D技術統括プロデュースをパナソニックの子会社であるパナソニック ネットワーク サービシズが担当。3D撮影機材をパナソニック AVCネットワークス社が提供した。また、この日、地上波で2Dによる中継放送を行なう毎日放送が、3D制作について技術協力。サイドバイサイド方式で配信した。放送は約5秒程度遅延するという。
そのほかにも、2D-3D変換技術はビデオテック、サイドバイサイドエンコード技術をアスナ、3Dスポーツコーダーおよび3Dテロッパ技術をテクノネット、3D中継技術はネットワークピープルおよびテイクワン、企画にはエイデックが協力している。
中継設備は既存のものを活用する | 下の機器が2D-3D変換装置。その上にあるのがサイドバイサイドへの変換装置 |
パナソニック製の3Dカメラ |
3Dカメラは一塁側および三塁側のベンチ横に配置され、投手や打者の映像を中心に撮影。「ベンチの監督、コーチ、選手の視線と同じ位置から、臨場感のある3D映像を楽しむことができる」(パナソニック)。そのほか、タイガース アイのピッチャー・キャッチャー間映像、外野席に設置されたボール追い用カメラの2D映像を、3D変換して配信。さらに、毎日放送が地上デジタル放送用に収録したスーパースローの再生映像を、ワイプで2D表示した。
中継車の横では関係者が3D映像をモニターできるようにしていた |
撮影に際しては、細かくカットを割らないことや、カメラを速く動かさない、急なズームを行なわないといった点で、3D映像の特性に配慮。「ボールを追うよりも、選手を追うカメラワークを心がけた」という。なお、ワイプ映像を2Dとしたのは、「実際に球場に足を運んだ際にも、再生映像はオーロラビジョンで視聴するのと同じ雰囲気を持たせたもの」としている。
3回裏、5回裏、7回裏の終了後には、3D視聴者向けにメッセージを表示し、視聴環境の設定や視聴の際の注意などを呼びかけた。
3Dカメラで撮影した映像 | ピッチャー・キャッチャー間映像は2D-3D変換したもの | 3回裏、5回裏、7回裏終了後に表示されるメッセージ |
NTTぷららの板東浩二社長も3Dライブ中継を自ら体感 | 中継された3D映像の様子。スコアやスターティグメンバーの部分が浮き出て見える |
今後は、ライブ中継した3D映像をダイジェスト版として再編集。ひかりTVのビデオサービスとして、7月下旬から配信する。パナソニックでは、「既存の中継設備を利用しながら、2D-3D変換装置と3Dモニターを持ち込むだけで3Dライブ中継が可能なことを実証した。今後、放送局に対して、3D映像サービスが簡単に提供できることを訴求していきたい」としている。
7月11日には、メジャーリーグのシアトルマリナーズ対ニューヨークヤンキースの試合(シアトル・セーフコフィールド)を、ディレクTVが3D中継する予定で、ここでもパナソニックの3Dカメラが撮影に使用されることになっている。
アニメを使った3D映像はきれいにみえる。外野に行くに従って守備位置ごとに4段階で立体表示されている | 甲子園球場名物の水撒きも3Dでは臨場感がある | ワイプの映像は2Dで表示している |
3D放送に関する説明も行なっていた |
(2010年 7月 8日)
[Reported by 大河原 克行]