個性派オーディオが集う「Hi-End Show Tokyo 2010」開幕

-オンキヨーがUSB DAC機能内蔵プリ。PC接続管球アンプも


秋の「HI-END SHOW TOKYO 2010」

 オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント、秋の「HI-END SHOW TOKYO 2010」が8日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は10月8日~10月10日までの3日間。入場は無料。春(5月)と秋(10月)の年2回開催されている

 交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なうのが特徴。


■ オンキヨー

 オンキヨーブースには、IFA 2010にも展示されたセパレートのピュアオーディオ用システムが参考展示されている。12月頃の発売を目指して開発されているもので、CDプレーヤー「C7000R」とDAC内蔵のプリアンプ「P3000R」、パワーアンプ「M5000R」をラインナップする。

オンキヨーブースの模様上からCDプレーヤー「C7000R」とDAC内蔵のプリアンプ「P3000R」

パワーアンプ「M5000R」

 CDやレコードだけでなく、同社が実施しているような高音質の楽曲データ配信にも対応できる新しいピュアオーディオをコンセプトとしたモデル群で、プリアンプに特徴がある。DACも内蔵しており、現在の予定では32bit/192kHz対応の高機能なDACを内蔵する計画だという。

 このプリアンプに光デジタル、同軸デジタルの入力に加え、AES/EBUの入力も装備。さらにUSB端子も備え、PCと接続してUSBオーディオとしても動作する。さらに、PCではなくオーディオ専用クロックを使用したアシンクロナスモードでコントローラを動作させ、ジッタの少ない高音質処理も実現する予定。なお、CDプレーヤー側にもDACを内蔵するが、こちらは24bit/192kHz対応のものになる予定。

 価格はCDプレーヤーとプリアンプが、各20万円程度、パワーアンプが30万円程度を想定。パワーアンプはアナログアンプで、前面にアナログメーターを備えているのが特徴。

CDプレーヤーの背面プリアンプの背面パワーアンプの背面
中央にあるのがフロア型スピーカーの試作機

 ブースではこのシステムでドライブするスピーカーとして、30cm径のウーファを搭載した3ウェイのフロア型も参考展示。同社フラッグシップスピーカーと位置付けて開発を進めているものだが、現在のところ具体的な商品化の段階にはないという。


■ スペック

 第1弾のデジタルプリメインアンプ「RAS-F1」を9月から発売しているスペックは、同じくデジタルプリメインアンプの新モデルとして、「RSA-V1」を参考展示している。

 高精度PWMスイッチングデバイスによるパワーアンプ部や、ボリュームノブ、セレクタなど、多くの部分を「RSA-V1」から受け継ぎつつ、コストを削減したというモデルで、予定価格は472,500円と、半額以下になっている。

 「RSA-V1」の筐体は、アルミボディの下部にスプルース材を使ったベース板を配置しているが、「RSA-V1」でも下部に木製のベース板を搭載予定。実際の製品は写真よりさらに木製板が前方に張り出し、見えやすいデザインになるという。

デジタルプリメインアンプ「RSA-V1」。同社は製品カテゴリとして「リアルサウンドアンプ」を呼んでいる左が第1弾モデルの「RAS-F1」「RSA-V1」の底面。木製ベース板が装着されているのがわかる

「RSA-V1」の背面

「RSA-V1」の内部も見ることができる

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【2010年7月7日】スペック、第1弾のデジタルアンプ「RAS-F1」を9月発売
-予価123万円。「管球アンプの音色と半導体の駆動力」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100906_391989.html


■ トライオード

 トライオードブースでは、12月から来年初頭の発売を目指しているという、USB入力対応の管球プリメイン「TRX-PM84」を参考展示している。PCと接続し、USBオーディオとしても動作するのが特徴で、10万円程度の価格を想定。天面にもUSB端子を備え、USBメモリ内の音楽ファイルも再生できる。

USB入力対応の管球プリメイン「TRX-PM84」PCと接続し、USBオーディオとしても動作するのが特徴

 ほかにも、EL34/KT88差し替え可能なプリメインアンプキット「TRK-3488」(84,000円)や、スピーカーもセットにしたキットセット(126,000円)などの新モデルを展示。

 さらに、「緊急発売決定」という張り紙とともに紹介されているのが「TRV-88SER」。TRV-88SEにリモコン、フォノイコライザを搭載し、トランスを三分割したモデル。回路構成はTRV-88SEと共通で、価格は157,500円を予定。12月末~1月の発売を予定しているという。

 また、真空管アンプ用電源ユニットのプロトタイプも展示。真空管アンプに欠かせない電源トランスを省いたというもので、光城精工と協力で開発。プロトタイプは単体だが、実用化の際はアンプに内蔵するサイズまで小型化するという。プロトタイプはTRV-88SE用。

EL34/KT88差し替え可能なプリメインアンプキット「TRK-3488」TRV-88SEにリモコン、フォノイコライザを搭載し、トランスを三分割した「TRV-88SER」真空管アンプ用電源ユニットのプロトタイプ

 ほかにも、Qinpuの「オーディオパレット」というモデルが参考展示されている。一見すると超高級トランスポートのようなデザインだが、実際は手のひらにのるほど小さい。本体にUSB端子やSDカードスロットを備え、USBメモリ内の楽曲再生が可能。デジタルアンプも内蔵し、スピーカーターミナルも装備。そのままスピーカーもドライブできる。FMチューナやライン入力も備えた一体型オーディオシステムとなっている。発売するかどうかを検討中とのことで、価格なども未定。

Qinpuの「オーディオパレット」USBメモリやSDカードを接続できるデジタルアンプも内蔵し、スピーカーターミナルも用意

■ 音元出版

 音元出版のブースでは今回も様々なイベントが予定。8日にはハイエンドプレーヤーの比較試聴や、フォステクスのGX250など、発表されたばかりの最新スピーカーの試聴などが行なわれた。9日は「アクセサリーDAY」と名付けてケーブルやオーディオボード、インシュレータ、ルームチューニング用品の体験ができるようになっているほか、サントリーのウイスキー特別試飲会も開催。耳も舌も楽しめるブースとなっている。

 また、10日にはPCオーディオ入門者向けイベントや、「最高峰のPCオーディオを聴く」と題したハイビット/ハイサンプリングソースの体験イベントなども予定されている。

音元出版ブースの試聴イベントコーナー。各社最新機種が揃っているブースイベントのスケジュールフォステクスの「GX250」は1台349,650円のフロア型スピーカー。GXシリーズトップモデルで、25cm HR形状ウーファや13cmマグネシウム合金HR形状ミッドレンジ、25mm純マグネシウムリッジドームツイータを採用する

 さらにブースでは、ヘッドフォンとUSB DAC、ヘッドフォンアンプなどの試聴コーナーも用意。フェーズテックのUSB DAC「HD-7A」や、同モデルとベストマッチする外部クロックとして、10月下旬に発売される新製品のルビジウムクロックジェネレーター「HD-7Rb」(714,000円)も用意。高精度なルビジウムクロックユニットを搭載しており、超低ノイズスイッチング電源、パッシブフィルタを採用しているという。

 さらに、TRNが輸入・販売するイースタン・エレクトリックのDAC「MiniMax DAC」も展示。ESS 9010 32bit DACを搭載するDACだが、それだけではなく、真空管の12AU7/ECC82も装備。DACでアナログに変換した後、真空管増幅と半導体増幅が選択でき、音色の違いを楽しむことができるのが特徴。

 入力はUSB、AES/EBU、同軸デジタル、BNC、光デジタルを装備し、USBオーディオとしても動作。サンプリングレートは192kHzまで対応する(USBは96kHzまで)。価格は99,750円。現在予約受付中だという。

PCオーディオ関連の試聴コーナーも設けられているイースタン・エレクトリックのDAC「MiniMax DAC」左側の端に見えるのが真空管
フェーズテックのUSB DAC「HD-7A」(左)と、同モデルとベストマッチする外部クロック「HD-7Rb」(右)9日の18時45分からは、サントリーの協賛で恒例の特別試飲イベントが開催される。ウイスキー「バランタイン」のプレミアムクラス「バランタイン17年」が味わえるとのこと

■ その他

前回もレポートしたスフォルツァートブースのネットワークプレーヤー「DST-01」の発売が11月、価格が63万円に決定した。DLNAのDMRに対応し、Windows 7のWindows Media Playerを使い、ネットワーク経由で楽曲を再生できるほか、iPhone/iPod touch用DLNAソフト「MLPlayer」からも同様の制御が可能。24bit/192kHzに対応し、2倍、4倍のアップサンプリングにも対応。OCXOによりジッタを排除し、外部クロック入力にも対応。電源も別筐体で用意。大型トロイダルトランスによるアナログ電源を搭載し、デジタルデータ制御部、クロック発信部、デジタルデータ出力部にそれぞれ別電源を用意している


(2010年 10月 8日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]