音展'10 レポート【富士ソフトアキバプラザ編】

-TAD/SPECが新アンプ。Olasonicも新SPをデモ


富士ソフトアキバプラザビルの入口

 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 in TOKYO 2010」(音展)が21日、東京秋葉原で開幕した。会期は11月21日~23日までの3日間。入場料は無料だが、Webで事前登録、もしくは当日会場での登録が必要。

 音展はパシフィコ横浜で開催されていた「A&Vフェスタ」が名称変更し、東京・秋葉原に場所を変え、ユーザー、メーカー、販売店、地域が一同に参画する形態へと進化させた回遊型の大型イベント。今回が2回目となる。主催は社団法人日本オーディオ協会(JAS)。来場者数は4万人を目標としている。

 メイン会場は秋葉原UDXと、富士ソフトアキバプラザの2箇所に用意。各メーカーがブース展開し、新製品が体験できるイベントとなっている。ここでは富士ソフトアキバプラザでの展示をレポートする。



■ソニー

 ソニーは富士ソフトアキバプラザにおいて、シアタールームとオーディオルームの2つの体験ブースを用意している。シアタールームでは11月20日に発売されたばかりの、3D投写対応のSXRDプロジェクタ「VPL-VW90ES」(724,500円)を中心としたシステムを構築。スクリーンは120型。

 AVアンプは「TA-DA5600ES」(273,000円)を使用。スピーカーは「SS-AR2」(1台630,000円)、「SS-K30ED」(57,750円)、サブウーファの「SA-W3000」(26,250円)を組み合わせている。ほかにも、BDレコーダの「BDZ-AX2000」、BD/DVDプレーヤー「BDP-S5000ES」などを用意。新製品が一気に体験できる。

ソニーのシアタールーム3D投写対応のSXRDプロジェクタ「VPL-VW90ES」3ウェイ4スピーカーの「SS-AR2」

 注目は国内の家庭用プロジェクタとして、業界で初めて1系統の光学エンジンによるフルハイビジョン3D映像投射を実現した「VPL-VW90ES」。新開発の0.61型/1,920×1,080ドットSXRDパネルを搭載し、垂直配向技術による2.0ms以下の高速応答性能を活かし、240Hzの高フレームレート駆動にも対応。クロストークを抑えた3D映像を実現している。

 また、AVアンプの「TA-DA5600ES」は、世界初というスピーカー再配置技術「スピーカーリロケーション with A.P.M.(オートフェイズマッチング)」を搭載。スピーカーの位置や角度を電子的に修正するもので、設置環境によりスピーカーを理想的な場所に設置できない場合でも、仮想的な音源を再配置したり、存在しないサラウンドバックなどのスピーカーをファントム生成する事も可能。ほかにも、センタースピーカーからのセリフを上昇させてスクリーンの映像部分に定位させるといった効果なども体験できる。

AVアンプの「TA-DA5600ES」「VPL-VW90ES」の3D映像も体験できる3D BRAVIA購入特典として提供されている、Blu-ray 3D版「THIS IS IT」もデモとして使われた

 オーディオルームでは、12月8日に発売予定の「ESシリーズ」のスピーカー新製品「SS-NA2ES」(Natural Acoustic Speaker System/1台199,500円)を聴く事ができる。上位モデル「SS-AR1」(1台892,500円)、「SS-AR2」(630,000円)といった高級モデルの技術を取り入れつつ、大幅な低価格化を実現。さらに、25㎜径のメインツイータと、それをアシストする19㎜径のツイータ2個をメインの上下に搭載した「I-ARRAY System」を採用しているのが特徴。これにより、全体では3ウェイ6スピーカー構成となる。

 ソニーではほかにも、UDXビルにてヘッドフォンやイヤフォンを出展しているほか、PCMやICレコーダの展示・体験コーナーなども用意している。

「ESシリーズ」のスピーカー新製品「SS-NA2ES」25㎜径のメインツイータと、それをアシストする19㎜径のツイータ2個をメインの上下に搭載した「I-ARRAY System」UDXビルにてヘッドフォンやイヤフォンも体験できる

【2010年10月28日】初のフルHD 3Dプロジェクタ「VPL-VW90ES」を体験
-プロジェクタならではの「大画面3D」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20101028_403078.html
【2010年8月25日】ソニー、スピーカー再配置技術搭載の新AVアンプ
-TA-DA5600ES。3D対応で4ポートHub搭載2モデル
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100825_389188.html
【2010年8月23日】ソニー、ESシリーズの3ウェイフロア型スピーカー
-「I-ARRAY」ツイータで広指向再生。1台約20万円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20100823_388833.html



■TAD

 テクニカルオーディオ デバイセズ ラボラトリーズ(TAD)のブースでは、2011年1月中旬に発売を予定している、USB入力を備えたプリアンプ「TAD-C2000」(199万5,000円)と、2010年10月中旬発売予定のパワーアンプ「TAD-M4300」(199万5,000円)、「TAD-M2500」(168万円)を出展。フラッグシップスピーカーの「TAD Reference One」(1台315万円)と組み合わせたサウンドが体験できる。

TADの試聴ブース。スピーカーはフラッグシップの「TAD Reference One」最上段にあるのがプリの「TAD-C2000」。床に置かれているのがパワーで、手前が「TAD-M4300」、奥が「TAD-M2500」

 「TAD-C2000」の特徴は、アナログ回路が入力から出力まで正負のフルバランス増幅方式を採用している事。DACも搭載しており、バーブラウンの「PCM1794A」を左右に独立配置し、並列型バランス回路を構成している。また、PCとのUSB接続にも対応し、ノイズ源となるPCのクロックジッタを除去したアシンクロナス転送方式を採用。さらに、独自開発のUSB転送エンジンにより転送制御を行ない、音質向上を図った多機能モデルとなっている。

 パワーアンプ「TAD-M2500」は、対称性やバランス増幅などのコンセプトを継承しつつ、シンプルな構成でステレオを実現したモデル。「TAD-M4300」は同一回路を4ch内蔵し、バイアンプ駆動や4chの独立した駆動も可能にしている。 定格出力はTAD-M4300が300W×4ch、M2500が500W×2ch。パワーMOS FETを採用したクラスD出力段で電力利用効率90%以上を達成している。


【2010年10月20日】TAD、USB入力にも対応したDAC搭載プリアンプ
-199万5,000円。パワーアンプ2モデルも
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20101020_401290.html



■東和電子(Olasonic)

 「Olasonic」(オラソニック)ブランドで、卵型のUSBスピーカー「TW-S7」(オープンプライス/実売10,800円前後)を発売している東和電子のブースでは、個室で同スピーカーの再生能力の高さをアピールするデモを実施。さらに、2011年春頃の発売を予定しているという、ウォークマン用Dockスピーカーも参考展示している。

発売中の卵型USBスピーカー「TW-S7」「TW-S7」のスピーカーをベースにした、ウォークマン用Dockスピーカー試作機

 スピーカー部分は「TW-S7」とほぼ同じだが、最大の特徴はウォークマンを搭載できるアンプ内蔵のDockユニットを用意している事。「TW-S7」はエンクロージャ内にアンプなどの回路を搭載していたが、新モデルはスピーカーがパッシブとなり、Dockユニットにアンプを搭載。ウォークマンのサウンドをWM-PORTから取り出し、アンプで増幅し、卵型スピーカーを鳴らすという構成になっている。

 PC用USBスピーカー機能も踏襲。USBバスパワーで動作するというシンプルな接続の特徴も引き継いでおり、DockユニットはUSBバスパワーで動作し、スピーカーのドライブも可能。ただし、搭載したウォークマンの充電はできない。ACアダプタからの給電も可能で、その場合はウォークマンの充電も可能。

ウォークマンを搭載するDockユニット部分。背後にアンプが入っており、前面に操作ボタンを用意リモコンも新たに付属するユニットの側面にアナログ音声入力、ヘッドフォン出力を備えている

 USBバスパワー対応ながら、大音量にも対応する独自回路「Super Charged Drive System」(SCDS)も引き続き採用。音楽出力の小さいところでは電源部の大容量コンデンサに充電し、出力が大きいところではその蓄えたパワーを取り出すことで、最大瞬間出力10W+10W(ダイナミックパワー)を実現する。ほかにも、アナログ音声入力、ヘッドフォン出力も装備。リモコンも新たに付属。Dockユニットには音量調整ボタン、ミュートボタン、バスブースト機能のON/OFFなども用意した、多機能モデルになっている。価格は未定だが、「低価格なTW-S7の少し上のモデルとイメージして欲しい」としており、購入しやすい価格帯になりそうだ。また、iPod対応モデルも予定されている。


【2010年6月29日】気になるアクティブスピーカーを聴く【東和電子:TW-S7】
-音場と定位に優れた実売1万円の“卵型”
http://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/20100629_377416.html



■スペック

 “リアルサウンド・アンプ”を展開しているスペックのブースでは、先日発表したばかりの第2弾製品「RSA-V1」の音を聴く事ができる。高性能なPWM方式デジタルアンプ「RSA-F1」(123万9,000円)と同一のデジタルパワーアンプユニットを採用しながら、より購入しやすい価格を実現したのが特徴。最大出力は50W×2ch(8Ω)、75W×2ch(6Ω)、100W×2ch(4Ω)。

左が「RSA-V1」、右が第1弾モデル「RSA-F1」「RSA-F1」の内部も見られるようになっている

 筐体下部の木製のアンダープレートとインシュレータを採用しているのも「RSA-V1」譲りのポイント。アンダープレートには、響きの美しいカナダ産シトカスプルースのソリッド積層パネルと、しなやかな北海道産シナ材の合板を使用。インシュレータは堅い北海道産のイタヤカエデの無垢材をラウンド加工して採用。3点支持としている。


【2010年11月19日】スペック、約47万円のデジタルプリメイン「RSA-V1」
-価格抑えながら最上位と同じ回路搭載。音展に出展
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20101119_408145.html



■サエクコマース

 サエクのブースでは、リボンツイータを採用し、コンパクトながら高品位な再生が行なえる米MICRO HOME INSTALLATION製「mhi(musical heart instruments)」のブックシェルフ型「Evidence MM01A」(黒モデル・ペア84,000円)を使った、PCオーディオシステムを構築。ニアフィールドで高品位な再生音が楽しめるようになっている。DACにはUSB接続の「HRT Music Streamer II+」を使用。

 さらに、2011年春頃の発売を予定しているという、「Evidence」のトールボーイ型「MM07A」も参考展示。ペア16万円程度を予定している。「MM01A」と同様にピュアアルミ製のTrueリボンツイータと、4.5インチのウーファを使いつつ、ツイータを上下に挟むようにダブルウーファ構成としているのが特徴。さらにウーファの振動板に柿渋を塗り、音質を高める工夫をしている。ただし、この仕様のまま製品化されるかは未定だという。

ブックシェルフ型「Evidence MM01A」を使ったPCオーディオ環境電源からのノイズを除去するというDCパワーサプライ「SDP-0512」も参考展示。PCオーディオでの使用も訴求するという左にあるのが「Evidence」のトールボーイ型「MM07A」


■オヤイデ

 小柳出電気商会(オヤイデ)は、ポータブルヘッドフォンアンプとの接続を想定した、FiiOの低価格Dockケーブルとして、長さ8cmのiPod用「L3」、ウォークマンのWM-PORT用「L5」(各1,890円)を発売しているが、そのケーブルの長さを1mにした「L30」、「L50」も新たにラインナップする。「iPadと接続する際に、もう少し長いケーブルが欲しい」というユーザーからの要望に応えたモデルで、価格はどちらも2,625円になるという。

長さを1mのiPod/ウォークマン用ケーブル「L30」、「L50」FiiOのヘッドフォンアンプ新モデル「E9」。同社のポータブルヘッドフォンアンプ「FiiO E7」(写真上)と組み合わせることで、USB DAC機能が追加できる

 ほかにも、ベスタクスとコラボしたUSB 2.0ケーブル「Vestax-neo」や、デジタル伝送専用に設計された、中空構造の同軸ケーブル「DST-75 R」(70cmで4,620円)や、純銀製「AZ-910」(70cmで58,800円/ペア)などの新製品を展示している。

オヤイデが自社開発したオーディオ用USBケーブル「d+USB」なども展示されているベスタクスとコラボしたUSB 2.0ケーブル「Vestax-neo」デジタル伝送専用に設計された、中空構造の同軸ケーブル「DST-75 R」なども展示されている


■その他

 パナソニックブースでは3D表示対応のプラズマ「VIERA」と、5.1chサラウンドシステム「SC-HT7000」を組み合わせたシアターなどを用意。3D対応のVIERAやDIGAの購入者にプレゼントするBlu-ray 3D版「アバター」を楽しむ事ができる。

パナソニックブースのシアタールームアバターのBlu-ray 3D版も体験できる

 タイムロードのブースでは、MK Soundのスピーカー新製品「MK 950 THX-Select2」シリーズを初公開。フロントの「LCR950」、サラウンド用の「SUR95T」トライポール・スピーカー、サブウーファの「MX-350Mk2」で構成されるシアタースピーカーセットとなっており、5.1chセットの価格が702,870円、7.1chセットが867,720円。

 なお、フロントとサラウンドの単品販売も実施。「LCR950」が1台83,790円、「SUR 95T」がペアで164,850円となる。どちらも、シルクドームを鋳物成型したリジッドなフロントプレートに搭載した新開発ツイータ「MK Pro Tweeter」を採用。マグネットにはフェライト二重磁石などを使っている。

タイムロードブースのMK Soundのスピーカー新製品タイムロードブースでアピールされているFocal ProfessionalのスタジオモニターCMSシリーズ。中でもコンパクトな「CMS40」が人気だという。パワーアンプ内蔵で、4インチウーファ、1インチツイータを搭載独ULTRASONEのハイエンドヘッドフォン「Edition 10」も試聴可能だ

 ナスペックのブースでは、MORDAUNT-SHORTのフロア型スピーカー「Performance 6 Limited Edition」(ペア84万円)が注目を集めている。Limited Editionではなく、10万円ほど低価格な通常モデルも展開予定とのこと。

 注目は10月1日に発売された、イタリア・north star designの32bit/192kHz対応のUSB DAC「Essensio」(157,500円)。アシンクロナスモードで動作し、ジッタを低減。さらに、USB 2.0のハイスピードモードをサポートし、32bit/192kHzまでの入力をサポートすると言う。同軸デジタルは24bit/192kHz、光デジタルは24bit/96kHzまで。デジタルアップサンプラーはシーラスロジックの「CS8421」、DACはTIの「PCM1795」を採用する。

外側にあるのがMORDAUNT-SHORTのフロア型スピーカー「Performance 6 Limited Edition」横から見たところnorth star designの32bit/192kHz対応のUSB DAC「Essensio」

 さらに、Cambridge Audioの新製品も多数展示。エントリーモデルで3万円~4万円程度を予定しているCDプレーヤー「TOPAZ CD10」や、国内投入は未定というミュージックサーバー「SONATA NP30」などが展示されている。「SONATA NP30」は24bit/96kHzまでの楽曲データに対応し、ストレージを備えないネットワークプレーヤーで、Bluetoothにも対応する。発売する場合の価格は10万円程度になるという。

Cambridge Audioのミュージックサーバー「SONATA NP30」Cambridge AudioのCDプレーヤー「TOPAZ CD10」
ワイズエポックが展開している「TRINI★STAR mini」(20万円/写真下)は、ステレオ用のセンタースピーカー。通常のスピーカーと共にアンプに接続し、左右スピーカーの中心から、若干前に設置することで、ステレオサウンドのリニアリティを向上させるというもの。写真上はスーパーエディションで各種パーツやコンデンサをグレードアップ。11月1日から248,000円(直販サイト価格)で販売している同じくワイズエポックの「TRONI★STAR ND」(ノン・ディレクショナル)。シアターシステムでも使えるというモデルで、リスナー方向に50%、部屋全体に50%の音を拡散することで、サウンドステージを創成するというもの。2011年2月25日の発売を予定している。価格は未定

(2010年 11月 22日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]