「オーディオ&ホームシアター展」が11月21日に秋葉原で開催

-セミナーや参加型イベントの強化で利用シーンを提案


11月21日~23日に開催。今年は前回より約1週間遅い日曜日からスタートする

 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 in TOKYO」(音展)が11月21日(日)~23日(火・祝)に東京・秋葉原で開催される。入場料は無料だが、一部のイベントは有料となる。主催は日本オーディオ協会。14日に都内で開催概要の記者説明会が行なわれた。

 このイベントは、'09年2月までパシフィコ横浜で行なわれていた「A&Vフェスタ」が、東京・秋葉原に場所を変え、ユーザー、メーカー、販売店、地域が一同に参画する形態へと変わったもの。'09年11月に第1回が行なわれた。


開催概要

 秋葉原に会場を移してから2回目となる今回のキャッチコピーは「魅せます“良い音と映像”のある快適空間」。特に出展社などによるセミナーの数を増やし、新技術や新製品、ノウハウといった情報発信を強化。単に製品の展示や試聴などに留まらず、日本の住居や生活シーンに合った提案などでコンシューマの理解を深め、業界全体の盛り上げにつなげることを目指している。

 JR秋葉原駅前の秋葉原UDX・アキバスクエア(2F)・UDXマルチスペース(4F)・UDXシアター(4F)と、富士ソフトのアキバプラザ(5F~7F)をメイン会場とし、それ以外にも近隣の販売店や、都内にあるメーカーのショールームなどでも関連イベントなどを実施予定。


開催テーマと、4つの基本展開

 9月13日現在の出展者数は63社・団体。来場者数は前回が公表25,300人/推計3万人だったが、今回は4万人を目標とする。

 基本展開として、以下の4つのカテゴリで会場を構成する。



    ●「探そう! 本物のスピーカーサウンドの世界」

     オーディオ館(富士ソフトアキバプラザ会場)と、総合館(秋葉原UDX)に視聴室を用意。ピュアオーディオ機器を設置して、ヘッドフォンでは味わえない迫力の音を体験。

    ●「最新映像(3D)技術と音場新体験」(進化する、音と映像の立体化)

     オーディオ館と総合館の視聴室で、3Dをはじめとするホームシアターの世界を音響機器のセッティングと合わせて体験。映像を中心としたホームオーディオを体感。

    ●「見えてきた! 高音質音源の新技術」(高音質配信音源の全て)

     総合館の展示と、オーディオ館のセミナーにより、パッケージから配信音楽へと進化する音源を、より良い音で聴く技術を紹介。

    ●録ってみよう! 生の音源(体験できる生録の全て)

     総合館の展示や、ライブ演奏の生録体験(後述)、オーディオ館でのセミナーなどで、聴くだけの音楽から、自分での録音や、ライブラリづくりの楽しさを学ぶ

メインビジュアルは、写楽の浮世絵のキャラクターが、3Dメガネとヘッドフォンを着けているというもの。大人も子供も知っているキャラクターを使用し、メインカラーはブラック、ポイントカラーにブルーを採用メイン会場となるUDX 2Fのイメージパース前回の反省も踏まえ、駅から会場への誘導もスムーズに行なえるようにするという

 セミナーは、日本オーディオ協会が主催するものでは、番組制作者が語る放送番組制作の解説や、音楽配信に関する内容、生録の楽しみ方、ホームシアターの作り方や楽しみ方といった内容が予定されている。また、オーディオ評論家などを招いた出版社主催のセミナーも実施。

 さらに、今回は出展企業が自社の技術や商品の特徴を解説するセミナーも実施。パイオニアの「HVT方式スピーカー」や、NTTエレクトロニクスのサラウンド技術、スタート・ラボのパソコン用音楽再生ソフト「Amarra」などのセミナーが行なわれる予定。

主催者セミナーの内容出版社によるセミナー出展社による技術説明などのセミナーも

 昨年も行なわれた生録イベントは、今回、「CHECKMATE JAZZ ORCHESTRA」を招いて実施。ポータブルPCMレコーダでライブの音声を実際に録音できるというもので、録音参加者は1,000円、リスナーは500円の参加費が必要となる。日時は21日の13時~14時と、15:30~16:30の2回で、会場は秋葉原UDX 4FのUDFシアター。

 さらに、新たな試みとして、音楽を聴きながら著名なゲストのトークと、食事、アルコールを楽しめるイベント「音のサロン」(入場料1,000円/ワンドリンク付き)も期間内の18:00~23:00に開催。アキュフェーズとラックスマンがこのイベントの再生機器に協力する。

 このほかにも、これまでと同様にスピーカーなどの親子工作教室(一部は有料)や、自作オーディオ向けのパーツを販売する「AKIBAジャンク市」、ソフト販売、専門誌販売などを開催。

 来場者プレゼントとして、初日限定で先着200組にコットンバッグを、22日と23日に来場したカップルの先着100組にスイーツタオルパラソル(1組1本)を配布する。そのほか、会場での申し込みや官製はがきでの応募によるプレゼント抽選も行なわれる。

 秋葉原と近隣の協賛店が参加する「回遊型イベント」も実施。昨年はスタンプラリーだったが、今年は開催が昨年より1週間遅くなり、年末商戦の繁忙期とも重なるため、スタンプラリーではない方法で、各店への訪問につなげる何らかの企画を用意するという。

生録イベントの内容新企画の「音のサロン」親子で楽しむ工作教室
AKIBAジャンク市の会場は前回よりも広くなった「秋葉原ならではの品ぞろえ」を謳うソフト販売コーナーも屋外でも映像アートのパフォーマンスなどを実施予定(雨天中止)


■ 消費者の感覚に即した、生活提案のできるイベントへ

日本オーディオ協会の校條亮治会長

 日本オーディオ協会の校條亮治会長は、国内のオーディオ市場動向について「ハイクラスオーディオは悪化しているのが現状で憂慮すべきだが、ミドルクラス以下を見ると2桁成長しているカテゴリも多い。(JEITAの)統計でも、長年悪かったアンプが2桁成長だったり、CDプレーヤーが全ての単月で103%をクリアしている。特筆すべきは、スピーカーの売上が大型テレビに引っ張られながら伸びていること」と述べた。

 一方で業界全体の課題としては「消費者に、新しい生活提案ができておらず、単品ものの紹介のみになってしまっていること」や、「オーディオ機器を単品ではなく複合的につないだ試聴体験の場が少ないこと」、「映像とオーディオを合わせて説明できる人材が不足していること」、「産業側がエンターテインメントに消費する金額の認識と、消費者の感覚のレベルにフィットしていないこと」を指摘。これらに対し「このフェスタが何らかのフックになれば」とした。

 今回の展示については、配信音楽の利用拡大に応じたネットワークオーディオ機器の利用提案や、3Dを軸にした映像/オーディオを融合した提案に加え、セミナーを増やしたことなどを強調。「公益法人としては単一企業の名前で出すのははばかれるという面もあるが、勇気をもって、個別のメーカーや企業のセミナーを開催し、新技術の情報などを発信したい」と語った。

 協会が重視している新規来場者の開拓については「昨年の音展では、45%が(A&Vフェスタを含め)『初めて来た』と回答したが、これはまだ少ない。“初めて見る”という方が過半になってほしい。何回も来たことがあるマニアな方々に来ていただくのはもちろんありがたいが、その方々には自ら行動いただいて(他の人に)伝搬いただき、我々は秋葉原に留まらず千葉、茨城、埼玉などを含め新規顧客を開拓したい」と述べた。

イベントに協賛する電波新聞社の平山哲生社長がゲストとして登壇。「“音楽配信とホームオーディオの融合”が大きな流れ。伝統ある業界の中に、iPodなど新しいものを取り入れ、新しい音質、美しいホームシアターの世界が日本に広がってほしい」と述べた特別協賛の秋葉原電気街振興会から、小野一志会長も来場。「生活者のレベルに立って、各メーカーとともに具体的な提案を行ない、イベントを盛り上げたい。この時期には秋の電気街まつりもスタートする。“AKB48だけ”ではなく、イベントもできるし、学ぶ場でもあり、買い物の楽しめる秋葉原をアピールしたい」とした


■ 「デジタルホームシアター取り扱い技術者」資格認定制度を開始

 日本オーディオ協会では、'09年6月に「デジタルホームシアター普及委員会」を設立し、翌2010年9月4日~5日に第1回の資格認定講座を実施。経済産業省の支援と、社団法人インテリア産業協会の協力で実現している。

 この資格認定制度は、日本のホームシアターにおいて、映像製品に比べて音響製品の普及が進まないという現状から、日本特有の狭い家屋や、周囲への音漏れの不安、接続機器の煩雑さなどの問題に対応できるノウハウを持った人材の育成を目的としている。ホームシアターに関わるAV機器メーカーのほか、流通関連、建築関連、電気工事関連、インテリア関連など幅広い業界の人材を対象としている。

DHTデジタルホームシアター普及委員会の鈴木弘明委員長

 受講コースは3種類用意。「DHT(デジタルホームシアター)インストラクターコース」(JDPC 3級取得)、「DHTスペシャリストコース」(JDPC 2級取得)、「DHTカスタムインストーラーコース」(JDPC 1級)で、18歳以上であればどのコースでも受講可能。各コースに応じた講座を受講後、資格認定試験に合格すれば認定が得られる。

 受講料はインストラクターコースが5万円、スペシャリストコースが7万円、カスタムインストーラーコースが9万円。年会費は8,000円、入会金は4,000円。資格取得後は3年で更新し、更新料は2万円。

 今後は2011年1月~3月末までにインストラクターコースの講座を2回、スペシャリストコースの講座を1回実施予定。詳細は協会のホームページで案内している。

 説明を行なったDHTデジタルホームシアター普及委員会の鈴木弘明委員長は、「IECやITUの基準でスピーカーを置ける家庭は日本ではほとんどないだろう。今後は、日本の家屋に合ったスピーカーのセッティングを想定して試聴実験を行ない、基準を作って行こうと思う」と述べた。今後は室内の音響測定を行なうソフトの開発も行なうという。



(2010年 9月 14日)

[AV Watch編集部 中林暁]