三洋、ラジオから楽曲のみを抽出できる音声処理LSI

-ICレコーダを省電力化。24bit/96kHz対応品も予定


LC823425

 三洋半導体は13日、ICレコーダなどのポータブルオーディオ向けの、MP3エンコーダ/デコーダやDSPを内蔵した音声処理LSI「LC823425」を発売したと発表した。サンプル出荷(1,000円)は既に行なっており、量産出荷は7月より開始。1万個注文時の価格は7ドル。

 ハードワイヤード方式のMP3エンコーダ/デコーダ内蔵で業界最小レベルという低消費電力の5mWと、DSP内蔵による高機能化を両立させた製品。1V動作が可能な90nmプロセスの採用で、MP3録音/再生時の消費電力も業界最小レベルの約5mWとした。また、ヘッドフォン用のクラスDアンプを内蔵し、再生時の消費電力も低減。これらによって、同社従来品に比べ約30%省電力化しており、ICレコーダなどの電池の小型化や長時間駆動に寄与するという。

 オリジナルの24bit処理DSPを搭載。ICレコーダのノイズキャンセル機能や、集音器機能(低遅延のノイズ低減処理と高ゲインアンプにより音声を聞き取りやすくする機能)、話速変換機能(無音部分の音声を引き伸ばすことで全体の再生時間は同じままで音声をゆっくり再生する)などが実現できる。

 さらに、MP3デコーダの高速化と新アルゴリズムの採用により、可変速再生機能(音程を変えずに高速/低速再生)は、従来製品と比べ最大2倍の高速化(0.5倍~4倍速。1.2V動作時)を実現した。WMAやAACファイルのデコードも行なえる。また、音声データの中から楽曲のみを抽出する「ミュージック抽出技術」も搭載。例えば、FMラジオから楽曲部分だけを抜き出して録音することも可能となっている。

 CPUはARM7TDMI-S、メモリはワーク用SRAMが512KB/ブート用ROMが128KB。パッケージはFBGA221J(11×11mm)とTQFP128L(14×14mm)の2種類を用意する。

 なお、今後はプロフェッショナル用途の製品にも使用できる24bit/96kHz リニアPCM対応の製品もラインナップ予定としている。



(2011年 6月 13日)

[AV Watch編集部 中林暁]