アイ・オーのルータ+チューナでiPad地デジ視聴可能に

-iPad/iPhoneアプリ無償提供。iVDR関連新製品も


無線LANルータ+USB地デジチューナから、無線LAN経由で、地デジをiPadで視聴しているところ

 アイ・オー・データ機器は13日、マスコミ向けの新年会を開催し、今年春にかけて発売を予定している開発中の製品を参考展示。その中で、同社製ルータとUSB地デジチューナを組み合わせ、iPadでテレビ視聴が可能になるソリューションを開発している事を明らかにした。

 なお、いずれも開発中であるため、製品のデザインや仕様は変更になる可能性がある。




■アイ・オー製ルータ+地デジチューナでiPad視聴

無線LANルータ「WN-AG450DGR」。その背面に接続されているのが、フルセグ対応のPC用USB地上デジタルチューナ「GV-MVP/FZ」
システムの概要図

 既に発売している無線LANルータ「WN-AG450DGR」(14,280円)と、フルセグ対応のPC用USB地上デジタルチューナ「GV-MVP/FZ」(11,130円)、さらにiOS用アプリ「テレキングmobile」(無償提供予定)を組み合わせる事で、iPadやiPhone、iPod touchでフルセグの地上デジタル放送が視聴できるようになる。

 開発が進められているのは、アプリの「テレキングmobile」で、ルータとUSB地デジチューナは、既に発売中のモデルがそのまま使用できる。ルータの背面にあるUSB端子に「GV-MVP/FZ」を接続。受信した12セグの放送を、トランスコードし、暗号化した上で無線LANでルータから送信する。

 そのデータをiPadやiPhoneの無線LANで受信。専用のアプリ「テレキングmobile」を使ってテレビを視聴するという仕組み。時期は未定だが、アプリは無償で提供予定で、ルータ/USB地デジチューナそれぞれの商品力を向上させつつ、セットでの利用もユーザーに訴求できるアプリと位置付けられている。

 利用できる組み合わせは現時点で「WN-AG450DGR」+「GV-MVP/FZ」のみ。「GV-MVP/FZ」は地上デジタルチューナであるため、BS/CSは受信できない。

 アプリはピンチ操作による画面ズーム機能や、フリック操作によるチャンネル切り替えなど、iPad/iPhoneならではの操作感を取り入れているのが特徴。横置き、縦置きのどちらでも利用できるという。iPadやiPhone側の対応機器は、アプリの正式発表時に改めて案内するとしている。

 EPGには対応しておらず、テレビを見ながらブラウザを表示する機能は備えていない。


アプリの「テレキングmobile」で視聴する画質調整は3段階用意チャンネル一覧を表示したところ

 なお、iPadやiPhoneでフルセグのデジタル放送を視聴する製品として、ソフトバンクBBから昨年末に「デジタルTVチューナ」(15,800円)が発売されている。無線LANでデジタル放送の映像を受信するという仕組みは同じでだが、「デジタルTVチューナ」では既報の通り、チャンネル切り替えに約22秒かかるなど、レスポンスの面で難点がある。

 アイ・オー・データの「テレキングmobile」でも、iPad/iPhone側からチャンネルを指定し、ルータ+チューナ側でチャンネルを変更し、その映像を受信するというプロセスが必要であるため、高速な切り替えは難しいが、開発中の現段階では「15秒程度でチャンネル切り替えができている」という。アプリの正式公開時にどのようなレスポンスになるかはわからないが、「アプリ起動から表示するまでの時間も含め、出来る限り高速なレスポンスを実現すべく、開発を進めている」とのこと。

 その他にも、録画機能の追加や、Android OS用アプリの開発も検討しているという。



■iVDR関連の新製品も開発中

iVDRプレーヤー「IV-P1」

 iVDR関連の参考展示として、デジタル放送などを録画したiVDR-Sカートリッジを挿入し、内部のコンテンツを再生できるiVDRプレーヤー「IV-P1」が紹介された。春頃の発売を予定しているもので、価格は未定だが、「13,000円程度をイメージしている」とのこと。

 再生機能のみのシンプルなプレーヤーで、iVDR-Sカートリッジ内の番組を削除したり、編集する機能は備えていない。

 再生に特化し、大容量のiVDR-S内のコンテンツを快適に視聴するため、「洋画」や「邦画」など、ジャンル別にコンテンツを表示する事が可能。レスポンスなども高速化し、目的のコンテンツが見つけやすいプレーヤーを実現するべく、開発が進められているという。

 出力はHDMIと、コンポジット/アナログ音声を各1系統用意している。


付属のリモコンメニュー画面。ジャンル別などのコンテンツ表示が行なえる背面もシンプル

 さらに、iVDR-S対応のDLNAレコーダー「HVL-AVS」も春の発売に向けて開発中。価格は2万円程度を想定。2TBのHDDを内蔵したネットワークHDDで、著作権保護技術「SAFIA」に対応し、DTCP-IPに対応。チューナは搭載していないが、録画対応のテレビなどと組み合わせて、ネットワーク経由でデジタル放送をHDDに録画できる。スカパー! HD録画、スカパー!HDダビングの、録画先・ダビング先としても使用できる。

iVDR-S対応のDLNAレコーダー「HVL-AVS」基本的にはネットワークHDDであるため、背面にAV系出力は無い

 DTCP-IPダビングに対応したBDレコーダと組み合わせて、BDレコーダに録画番組をダビングし、BDに書き出す事もできる。HDDに録画した番組をDLNAサーバーとして配信し、テレビなど、対応DLNAクライアントで表示する事も可能。

 また、iVDR-Sスロットも前面に備え、iVDR-Sに番組を保存し、前述のiVDRプレーヤー「IV-P1」で再生する事もできる。

 さらに、iVDR-Sを使った新しい試みも展示。既発売の、PC向けiVDRアダプタ「RHDM-US/EX」向けに、新しいソフトウェアを開発中。これは、「HVL-AVS」などでデジタル放送を録画したiVDR-SカートリッジをPCで読み込み、中の番組の削除などの管理ができるアプリ。春頃に提供予定。既に「RHDM-US/EX」を利用しているユーザーにも無償バージョンアップで提供するという。

 管理だけでなく、PCを使い、iVDR-Sカートリッジ内の番組をBDに書き出す機能も用意。既発売の、ネットワークダビング対応のBDドライブ「BRD-U8DM」と組み合わせて実現するもので、PCに「BRD-U8DM」と「RHDM-US/EX」を両方接続。「RHDM-US/EX」の新アプリから、BDに書き出したい番組を選ぶと、「BRD-U8DM」のライティングソフトにそのデータが渡され、iVDR-SからBDへのダビングが可能になる。

 BDへのダビングだけでなく、PC+「RHDM-US/EX」から、ネットワークHDDなどへ、ネットワーク経由でDTCP-IPムーブアウトする事もできるという。

PC向けiVDRアダプタ「RHDM-US/EX」ネットワークダビング対応のBDドライブ「BRD-U8DM」バージョンアップされた、iVDRアダプタ「RHDM-US/EX」付属ソフト。ここからBDに書き出したい番組を選び、データを「BRD-U8DM」のライティングソフトに受け渡す
iVDRアダプタ「RHDM-US/EX」とPC、BDドライブ「BRD-U8DM」を連携させ、iVDR-SカートリッジからBDへのダビングができるようになるアイ・オーのiVDR-Sカートリッジ「RMS-500」も参考展示された

(2012年 1月 13日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]