'11年の販売用Blu-rayは、ビデオソフト全体の3割に

JVA統計。全体額は減少、レンタルBD構成比は3.7%


 日本映像ソフト協会(JVA)は13日、2011年のビデオソフト出荷統計調査の結果についての記者発表を行なった。

 2011年のビデオソフト売上額は2,610億8,400万円で、前年比98%。上半期は前年同期比105.3%と増加したが、震災による自粛傾向や世界的な経済低迷などを背景に、下半期の実績が92.1%と落ち込み、全体でも前年割れとなった。

 この統計は1978年から行なわれているもので、2011年の回答社数は、前年と同じ31社。なお、BDとDVDのコンボ作品については、BDとしてカウントしている。また、2011年の調査から、UMDビデオを調査の対象外としている。



■ 販売用はBDが3割に。レンタルBDの割合は依然伸びず

調査結果について説明したJVAの上田直子管理部次長兼広報課長

 BD/DVDのメディア別の売上額は、DVDビデオが2,005億3,000万円で前年比91.4%(構成比76.8%)となったのに対し、BDは605億5,400万円で前年比128.3%まで伸長、構成比も23.2%まで拡大した。販売用の構成比では、DVDが68.1%、BDが31.9%と、BDが3割にまで達している。販売用DVD/BDの売上額はDVDが前年比87.7%だったが、BDは同128.6%に増加。JVAも「徐々にDVDビデオからBlu-rayへとシフトしている様子がうかがえる」と分析している。

 ジャンル別では、BDとDVDを合わせた販売用(個人向け)で最も多かったのが「日本のアニメーション(一般向け)」で、構成比は29.6%だったが、前年比では96.6%と減少している。2番目は「音楽(邦楽)」で、構成比は22.2%。前年比では108%まで伸ばしている。3番目は「洋画(TVドラマを除く)」で構成比13.9%、前年比87.7%。4番目は「邦画(TVドラマを除く)」で構成比6.4%、前年比87.3%と、いずれも前年を割っている。

 BDの販売向けを見ると、全体の54.0%が「日本のアニメーション(一般向け)」で、前年比122.0%に伸長。続いて「洋画(TVドラマを除く)」が20.6%で、前年比108.2%だった。ここまでは昨年と同じ順位だが、3位は昨年の「邦画(TVドラマを除く)」ではなく、「音楽(邦楽)」となった。BD全体に占める割合は8.2%と低いが、前年比では307.8%と大幅に伸びている。邦画は4番目で、構成比は5.2%、前年比は112.1%だった。

 レンタル用の2011年売上額は791億7,600万円で、前年比98.5%。上半期は前年同期比で106.4%だったが、下半期は同92.0%まで減少した。レンタル全体に占めるBDの割合は、わずか3.7%で、前年の2.9%からあまり伸びなかった。

 レンタル用の売上額をジャンル別で見ると、最も多いのが日本のアニメ(構成比18.9%)で、続いて洋画(17.8%)、邦画(16.9%)、海外のTVドラマ(14.2%)、アジアのTVドラマ(11.3%)となっている。レンタル店では、店がディスクを買い取る方式だけではなく、全体額から利益を分配するレベニューシェア方式も大手を中心に導入されており、数量で見ると同方式が多く採用されている3大ジャンルとなっている洋画、海外のTVドラマ、アジアのTVドラマの構成比が高い(21.4%、21.0%、18.4%)。しかし、3ジャンルとも前年比では減少しており(洋画80.3%、海外のTVドラマ92.4%、アジアのTVドラマ98.4%)、数量構成比が高いジャンルが売上数を伸ばしていないという状況になっている。



■ 邦楽BDなどの伸びが成長のカギに

統計調査委員会の八十河恒治委員長

 17日の発表会では、3月から新たに統計調査委員会の委員長に就任した八十河恒治氏(ポニーキャニオン)が全体の動向を説明した。

 八十河氏は、「特にBlu-rayの伸長によって、販売用の市場では2010年に5年ぶりに前年を上回り、2011年も引き続き期待されていたが、わずかに及ばなかった。しかし、これは一時的なこと。確実にBlu-ray市場は拡大しているし、昨年に自粛されたコンサートやイベントなどが正常にパッケージ化されれば販売用市場は間違いなく前年を超えていた。2011年は通常と異なる年だったことと、Blu-rayに成長の余地が見込まれることを鑑みて、2012年は拡大が期待できると考えている」と前向きな姿勢を示した。一方、レンタルについては、BDの占める割合が3.7%に留まっていることなどを挙げて「Blu-rayの振興のためにも、レンタル用出荷を伸ばしていくことが重要な課題」と述べた。

 プラスの要素については「販売用の日本アニメは、BDの占める割合が58.2%となり、DVDを上回った。また、販売用の邦楽BDの前年比が307.8%に大きく伸長したりと、BDの売上に注目すべき点も見えている。特に、邦楽のジャンルはDVDを含めて伸長が著しい。このジャンルにおけるBDの伸長が、ビデオソフト全体の市場に大きく影響するだろう」と述べた。

 なお、インターネットによる動画配信サービスがBD/DVD販売に与える影響については「レンタルと配信は棲み分けできるのでは。日本では、3,500店近いレンタル店があり、車で時間を掛けていくという(海外の)マーケットとは違い、近くに店がある。また、配信をきっかけにレンタルに戻る可能性もあり、市場が広がっていくのでは」とした。

 ポニーキャニオンのレンタル営業部 部長を務めている八十河氏は、今後のレンタル事業について自社の取り組みにも言及。「ポニーキャニオンでは、2012年はBlu-rayに本腰を入れたいと考えている。BDのオーサリング代が下がってきているため、コストが軽減できている。しかし、マーケット自体はまだ大きくなっていないため、お互い“にらめっこ”の状態。ただ、先を考えた時に成長が見込めるので、ここに関しては積極的に攻めていきたい」との考えを示した。



(2012年 3月 13日)

[AV Watch編集部 中林暁]