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'12年のBD/DVDビデオ出荷額は前年比99%。邦楽が急拡大
アニメ以外もBD化が進む。「'13年はV字回復も」
(2013/3/13 17:35)
日本映像ソフト協会(JVA)は13日、2012年のビデオソフト出荷統計調査の結果についての記者発表を行なった。
2012年1月~12月のビデオソフト売上金額は2,584億5,600万円で、前年比99.0%。売上数量は8,470万4,580枚で、同102.8%と前年を上回った。
この統計は1978年から行なわれており、2012年の回答社数は上期が31社、下期が32社(よしもとアール・アンド・シーを追加)。なお、BDとDVDのコンボ作品については、BDとしてカウントしている。
2012年の傾向として、販売用BD/DVDにおける邦楽が大きく伸長し、日本のアニメに次ぐ2番目の構成比を占めるジャンルとなった。また、日本のテレビドラマも拡大した。販売用全体の売上額は2年ぶりに前年を超え、BDの構成比は4割近くに上った。一方、レンタル用についてはレベニューシェアリング方式(店がディスクを買い取るのではなく、全体額から利益を分配)の適用が増えていることなどにより、数量は増加する一方で金額は減少している。
アイドル作品などで邦楽やドラマが急拡大
ビデオソフトの総売上額(販売用/レンタル用/業務用)を流通チャネル別にみると、それぞれの割合は70.7:28.8:0.5で、前年(69.2:30.3:0.5)に比べて販売用の比率が上昇。数量は、それぞれ59.4:40.1:0.5となり、レンタル用の比率が増えている(前年は63.1:36.1)
販売用の売上額は1,827億600万円で、前年比101.1%と2年ぶりのプラス。このうちDVD/BDの割合は63.0:37.0でBDの割合が高まっている。販売用DVDの売上額は前年比93.6%だったが、BDは同117.4%に伸長した。
販売用の売上額をジャンル別にみると、1位は前年と同じ「日本のアニメーション(一般向け)」(29.1%)だが、前年比では99.6%とわずかにマイナスとなった。2位は「音楽(邦楽)」で、前年比125.6%、構成比27.6%まで高めている(前年は構成比22.2%)。一方、邦画は昨年に比べてビッグタイトルが無かったことなどで、前年比75.1%と減少。構成比は前年の4位から6位に下落した。
売上額に占めるBDの割合をジャンル別にみると、日本のアニメ(一般向け)は前年の58.2%から68.1%に、邦楽は11.8%から16.7%に、洋画は47.5%から52.5%に、邦画は26.0%から32.4%にそれぞれ上昇した。
BD全体の売上額のうち、販売用は94.4%の675億8,000万円で、前年比117.4%。そのうち53.6%は日本のアニメ(一般向け)で、前年比116.7%と伸びている。2位は洋画で17.6%(前年比100.1%)。3位は前年比178.1%に増加した邦楽で、構成比は12.5%となった。日本のテレビドラマは構成比3.9%だが、前年比258.5%と大きく上昇した。
なお、日本のテレビドラマが構成比を伸ばした背景については「毎月の統計を見ると、『嵐』の誰かが主演したり、『AKB48』のメンバーが出ている番組が押し上げている」(上田氏)と説明。また、邦楽BD/DVDの上昇を牽引していると見られるアイドルの作品について、同協会で作品ごとの集計は行なっていないものの「(構成比の拡大に)貢献しているのは確実」(上田氏)とした。
BD/DVDのレンタル店用の売上額は745億1,200万円で前年比94.1%。このうちBDの割合はわずかに5.5%(数量は12.5%)で、未だレンタルはDVD中心の市場となっている。レンタル全体の売上額は94.1%と前年割れだが、数量は114.1%。これは、レベニューシェアの普及などが影響していると見られる。
売上額を出荷数量で単純に割った額を「平均単価」の参考値として算出。比較的高額な邦楽の構成比が高まったことなどからDVDの販売用は平均3,187円で前年比101.6%。レンタル店用は主要ジャンル全てで単価が下落し、平均2,210円(前年比82.2%)となった。BDの販売用は、BOXセットが多い日本のアニメ(一般向け)が過半を占めていることや、邦楽の構成比の高まりなどにより、前年比105.5%の平均4,753円となった。
'13年はV字回復も十分可能
JVAの後藤健郎専務理事・事務局長は、ビデオソフト全体の金額が99%、数量が102.8%となったことについて「ここ数年来のマイナスからやっと下げ止まり、非常にうれしい。今年、待望のV字回復も十分可能な射程範囲」とした。
また、統計調査委員会の委員長を務めるポニーキャニオン 営業本部レンタル営業部部長の八十河恒治氏は、「金額は'04年をピークに8年連続の前年割れとなっているが、減少率も徐々に小さくなっている。Blu-rayの売上が着実に伸長している」と述べた。
八十河氏は、'12年のBD市場について、日本のアニメが2桁成長を続けるなど好調を維持している点だけでなく、邦楽や日本のドラマなどアニメ以外の構成比も急拡大している点に触れ、「日本のアニメーションは、限られたコアユーザーが非常に多くの金額を消費してくださるマーケットと言えるが、BDがより一般的なライトユーザーにも受け入れられ始めたと感じている。今年はますますジャンルが広がることで、BD市場の底上げにつながっていくのではないかと期待している」とした。
レンタル市場が縮小傾向にあることについて八十河氏は「レンタルショップの寡占化により、我々ソフトメーカーの取引先が減少している。一方で、出荷数量が3年ぶりに上昇したことは、レベニューシェア方式の浸透によるもの」とした。また、レンタル金額に占めるBDの割合が5.3%に留まっていることも指摘し、「レンタル店もBD移行を促進することが、更なるマーケット拡大につながるのでは」とした。