コーレル、HTML5オーサリング対応のビデオ編集ソフト

-60pやMPEG-4 MVCにも対応した「VideoStudio X5」


青いパッケージ(手前)がPro、黒(奥)がUltimate

 コーレルは、HTML5向けオーサリングも可能な動画編集ソフトの最新バージョン「VideoStudio X5」を発表。ダウンロード版を3月8日に、パッケージ版を4月20日に発売する。対応OSはWindows XP/Vista/7。

 通常版の価格は、上位バージョン「Ultimate」のダウンロード版が17,640円、パッケージ版が20,790円。スタンダード版の「Pro」は、ダウンロード通常版が13,440円、パッケージ版は15,540円。


製品名販売形態バージョン価格
VideoStudio Ultimate X5パッケージ通常版20,790円
特別優待版
アップグレード版
15,540円
アカデミック版12,390円
ダウンロード通常版17,640円
アップグレード版13,440円
VideoStudio Pro X5パッケージ通常版15,540円
特別優待版10,290円
アップグレード版8,379円
アカデミック版8,190円
ダウンロード通常版13,440円
アップグレード版7,329円
編集画面

 Ultimate/Pro共通の新機能は、次世代HTML規格の「HTML5」向けオーサリングに対応したことや、60p動画やMPEG-4 MVCの3D動画への対応、オーバーレイトラック数の強化、スクリーンキャプチャ機能の搭載など。

 上位バージョンであるUltimateは、地図などの上をなぞってその軌跡上にオブジェクトを移動させる「マップウォーキング proDAD RotoPen」を新たに搭載したほか、NewBlueなどの豊富なエフェクトを用意。手ブレ補正機能も備えている。


HTML5オーサリングに対応60p動画の編集/出力も可能にUltimate版のみ対応する「マップウォーキング proDAD RotoPen」

 HTML5オーサリング時の出力動画フォーマットは、WebMとMPEG-4 AVC/H.264(MP4)に対応。使うブラウザに合わせてどちらかを再生できる。例えば動画へのリンクを設けた地図を作成して、地図上の特定の場所をクリックするとその動画が再生されるといった機能をブラウザ上で実現可能。HTML5用のファイルで出力後、Dropboxなどのオンラインストレージサービスを使ってWebにアップロードして、別のPC/iPadで外出先からも再生できるという。

 PCのブラウザはInternet Explorer/Chrome/Safari/Firefoxに対応。iPadのSafariでも再生できる。なお、iPhoneでは再生できないほか、Androidについては検証中。

HTML5編集の例。バックグラウンドの静止画に、オーバーレイで動画リンクを貼り付ける。他のURLへのリンクも可能MP4とWebMの2つが出力されたiPadで再生

 また、新たに60p/50pの動画編集/出力にも対応。従来バージョンでも読込みは可能だったが、出力時に30pとなっていた。X5では設定メニューに「60p/50pを有効にする」という項目を設け、これをチェックするとタイムライン表示が60フレーム単位に切り替わる。60p動画に対応したことで、60pから30pなどに変換することで、滑らかなスローモーション映像を作成できる。

 3D動画関連では、新たにMPEG-4 MVCフォーマットの取り込み/編集に対応。3D(サイドバイサイド/アナグリフ)で出力できる。そのほか、3Dから2Dへの変換や、2Dから3Dへの変換も行なえる。3Dの動画クリップは、サムネイルに「3D」のマークが付き、2Dのファイルと区別しやすくなっている。

60p/50p編集に対応3DのMVCフォーマットの取り込みも可能サムネイルの左下に「3D」と表示され、区別しやすくなっている

 編集時のオーバーレイトラックの数は、従来の6トラックから、20トラック(メインを含め21トラック)に強化。不要なトラックを非表示にできるほか、特定のトラックを変換しないようにするといった指定も可能。

 新機能の「スクリーン録画」は、PCなどの操作手順説明や、ビデオ通話、ゲームなどPC画面の表示をキャプチャする機能。スクリーン全体だけでなく、範囲の指定や特定ウィンドウのみの録画も可能となっている。

 ハードウェアアクセラレーションにも対応。複数のハードウェア支援環境がある場合に、最適な方法を自動で選択する機能を新たに搭載した。

オーバーレイトラックを最大20に強化画面キャプチャに対応Skypeのビデオ通話を録画

 同社の写真編集ソフト「PaintShop Pro」とも連携。レイヤー付きの静止画(.pspimage)を読み込むことができ、VideoStudio上で1つのレイヤーを1トラックに配置。レイヤー単位で編集が行なえる。

 そのほか、クリップの属性をコピーする際に、貼り付ける属性を選択できるようになった。また、インスタントプロジェクトをライブラリからドラッグしてコピーでき、例えばオープニング/本編/エンディングそれぞれにテンプレートを適用するといったことができる。テンプレートは全128種類用意しており、テンプレート共有サイトからもダウンロードできる。

 なお、コーレルでは、ビデオ編集のノウハウなどを共有できるサイト「Corel知恵袋」を開設しており、動画/写真/グラフィックス制作のためのヒントなどを目的別に紹介。テンプレートもこのサイトからダウンロードできるようになる。

PaintShop Proのレイヤー付き画像も編集してビデオと組み合わせることができるテンプレートをライブラリからドラッグして適用できるCorel知恵袋
Ultra版は、NewBlueのフィルターの種類を新たに10カテゴリ/83種類追加タイトルアニメーションや手描き風アニメーションなども可能なBoris GraffitiもUltra版のみ使えるこちらもUltra版のみの手ブレ補正機能「proDAD Mercalli SE」

 対応する動画形式は、入力がAVI、MPEG-1、MPEG-2、DV、HDV、AVCHD、M2T、MPEG-4、M4V、H.264、DivX、QuickTime、RealVideo、Windows Media Format、MOD(JVC MOD File Format)、M2TS、TOD、BDMV、3GPP、3GPP2。出力は、DV、AVI、HDV、AVCHD、MPEG-2/4、H.264、BDMV、QuickTimeRealVideo、Windows Media Format、3GPP、3GPP2、WebM、HTML5。

 音声は、入力がドルビーデジタル(2ch/5.1ch)、MP3、MPA、WAV、QuickTime、WMA。出力がドルビーデジタル(2ch/5.1ch)、MPA、WAV、QuickTime、WMA、Ogg Vorbis。静止画は、入力がBMP、CLP、CUR、EPS、FAX、FPX、GIF、ICO、IFF、IMG、J2K、JP2、JPC、JPEG、PCD、PCT、PCX、PIC、PNG、PSD、PSPImage、PXR、RAS、RAW、SCT、SHG、TGA、TIF、UFO、UFP、WMF。出力はBMPまたはJPEG。



■ Windwos 8にも期待。Roxio買収で業界をリード

 コーレルの堺和夫社長は、「巷ではWindows 8の話が聞かれるようになった。我々も興奮している。もちろん、コーレルとしてもWindows 8に対応していく予定で、開発部隊がマイクロソフトと話を進めている」と現状を説明。マーケティングも含め話し合いを持っているという。

 さらに、「(アプリ販売ストアの)Windows Storeによって、コンシューマが必要なツールを簡単に使えるようになり、我々もいい方向にビジネスを進められる」とした。また、1月に発表したRoxioの買収にも触れ「Roxioが加わったことで製品ポートフォリオが広がっており、北米では既に「VHS to DVD」を発売している。ますます、業界のリードをとって行けるだろう」と述べた。

コーレルの堺和夫社長Roxioを買収同社はVideoStudio発売に際してキャンペーンも実施する


(2012年 4月 5日)

[AV Watch編集部 中林暁]