ファイナル、BAM機構を刷新したBAイヤフォン
-約14,800円の「heavenIV」。カラーは3色
カラーバリエーションはブラック(BL)、バイオレット(VI)、ホワイト(WH)。なお、デザインは最終のものではない |
ファイナルオーディオデザイン事務所は、バランスド・アーマチュア(BA)ユニットを採用したカナル型(耳栓型)イヤフォン「heaven」シリーズの新モデルとして、細身の「heavenIV」を4月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は14,800円前後。カラーはブラック(BL)、ホワイト(WH)、バイオレット(VI)を用意する。
BAのシングルユニットを採用したイヤフォン。他のheavenシリーズと同様に、空気の流れを作り出し、筐体内部の空気の流れを最適化するBAM(Balancing Air Movement)機構を採用している。
ホワイト(WH)モデル | ブラック(BL)モデル | バイオレット(VI)モデル |
こちらが最終のデザイン。左からバイオレット、ブラック、ホワイト |
「heavenIV」では、このBAM機構を刷新。よりシンプルな機構とする事で、製品を細身にする事が可能になった。さらに、後部に設けていた空気を調節するための穴が不要となり、音漏れも軽減したという。
BAユニットは、独自にカスタマイズしたものを採用。筐体はステンレス削り出し。不要な共振を抑制し、クリアな再生を実現するという。
筐体はステンレス削り出し | ケーブルはフラットタイプ |
スチール製のキャリングケース |
イヤーピースはゴム製で、2種類を同梱。遮音性の高いAタイプと、共振音の少ないBタイプがあり、ピースによる音の違いが楽しめる。各種類にS/M/Lの3サイズを同梱。スチール製のキャリングケースも付属する。
■試聴してみる
試聴してみたので、音質の傾向をお届けしたい。試聴にはiPhone 4S直接接続や、第6世代iPod nano + ポータブルアンプのiBasso Audio「D12 Hj」D12 Hj」、米ALO Audioのクライオ処理されたDockケーブルも使用している。
自然な音の繋がりや、ネットワーク回路レスの音質などを重視し、あえてシングルのBAユニットにこだわっているのが「heaven」シリーズの特徴であり、それは「heavenIV」でも同じだ。しかし、シングルドライバにすると帯域が狭くなり、特に低域が不足しがちになる。そこで、筐体内部の空気の流れを最適化する独自のBAM機構で、低域の再生能力も高めている。
実際に聞いてみると、高域から低域まで繋がりが良く、自然で、特定の帯域が出っ張らないニュートラルなサウンドが味わえる。これはheavenシリーズ共通の傾向で、一聴するとダイナミック型ユニットのような感覚を覚えるのがファイナルらしい音作りだ。
「heavenIV」の特徴としては、BAM機構が新しくなったとのことだが、サウンド面ではそれが効いているのか、音場の広がりが拡大。特に奥行きの面で広さが実感しやすくなっている。「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best OF My Love」を再生すると、ヴォーカルの余韻が広がっていく様子が良く見える。
また、シングルではあるが低域は量感のある音がシッカリ出ており、「いとうかなこ/スカイクラッドの観測者」でも、貼り出した中低域の迫力が心地良い。同時にヴォーカルの輪郭は明瞭に描写するBAイヤフォンならではの解像感の高さも味わえる。
ステンレス筐体らしく、再生音はわずかに硬質なキャラクターだが、色付けが目立つほどではない。むしろ強い個性は無く、“地味”とも言えるが、様々な楽曲をそつなく再生できる基本機能の高さが光るタイプであり、競合製品の多い1万円台のカナル型の中でも、正統派な魅力を訴求できるモデルと言えそうだ。
(2012年 4月 9日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]