ソニーがSo-netを完全子会社化。約600億円

-親子上場を解消し、グループシナジーを追求


 ソニーは、インターネットサービスプロバイダなどの事業を手がけるソネットエンタテインメント(So-net)の完全子会社化で合意した。8月9日現在のソニーによる出資比率は45.61%だが、9月20日を目標に発行済株式の全ての取得を目指す。

 ソニーは9日付けで完全子会社化に向けて、So-netの公開株式の買付の開始を取締役会決議により決定し、So-netも同社取締役会で賛同を表明した。公開買付価格は普通株式1株につき56万7,500円、買い付け予定数は10万7,772株で、買付け総額は約600億円。

 完全子会社の理由について、ソニーでは「ネットワークサービスは、ソニーが有するハードウェア及びコンテンツの魅力を高めるために欠かせない事業。So-netは、特に日本におけるネットワークサービス事業において成功を収めており、優れたサービス運営ノウハウ、技術、人材、顧客基盤、コンテンツ等はソニーの目指す方向性と合致している。一方で、ソニー、So-net、及びソネットの主要子会社であるエムスリーが、親会社、子会社及び孫会社の関係にあり、いずれも上場している現状は、グループ・シナジーの追求に一定の制約がある。親子上場関係を解消し、So-net事業・資産を最大限活用することにより、ソニーはコア領域の強化、成長領域への経営資源の移行を一層進めやすくなり、更なる価値の顕在化が進められると考えている」と説明している。

 2012年3月以降のソニーからの提案を契機とし、両社の企業価値をさらに向上させることを目的とした諸施策について協議・検討し、完全子会社化を決定。完全子会社後も、ソニーは、当面はSo-netを独立の事業体として維持しつつ、日本及びアジアにおけるソニーグループのネットワークサービス事業の核の一つと位置付け、ソニーのネットワークサービスプラットフォームの国内及びアジア展開を推進していくように、今後更に検討を進めていくといいう。

 なお、ソネットグループで医療ヘルスケア分野のマーケティング支援事業を営むエムスリーについては、経営の自主性・中立性を尊重しつつ、ソニーグループとして、様々な分野での協業可能性を積極的に検討していくとしている。


(2012年 8月 9日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]