エミライ、DSD対応USB DAC 3機種。DSDへの取り組み強化

AURALiC/exaSound Audio Design/Resonessence Labs製


 エミライは、3ブランドのDSD対応USB DACを取扱い開始すると発表。香港AURALiC製の「VEGA」と、カナダexaSound Audio Design の「e20」、カナダResonessence Labsの「INVICTA」を、12月中に出荷予定としている。

AURALiCの「VEGA」exaSound Audio Design の「e20」Resonessence Labsの「INVICTA」

 同社は、「DSD再生環境の取り組みを強化する」としており、新たにUSB出力に特化した音楽再生用PC「acroama luminis」を今冬より提供開始することも発表。さらに、DSD対応の音楽再生ソフトとして知られる「HQPlayer」(Signalyst)の取り扱いを開始することも明らかにした。なお、HQPlayerの詳細については別記事にて掲載している。

 DSDへの取り組みを強める背景について同社は「DSDに対する積極姿勢は日本だけでなく海外でも活発になっており、高級オーディオ市場を中心として新たな需要の創出が見込める」と説明。同社のITインフラ事業を手がけるICT事業部と、音響事業を手がけるホームエンターテインメント事業部、海外製品を取り扱う国際貿易事業部による垂直統合型のDSD再生ソリューションの提案を推進するという。



■ AURALiC「VEGA」

 「VEGA」(AUR-VEGA)は、最高32bit/384kHzのリニアPCMと、2.8MHz/5.6MHzのDSDに対応したUSB DAC。価格は348,600円。

 DoP(DSD over PCM) 1.1 standardをサポートし、USBからの2.8MHz(DSD64)または5.6MHz(DSD128)、DXDフォーマットのPCM(32bit、352.8kHz/384kHz)の再生が可能。DACチップはESS Technology製の「ES9018」を搭載する。

内部構造背面

 複数のデジタルフィルタやPLLバンド幅をソフトウェアで切り替え可能。100ステップの32bitデジタルボリュームを備え、パワーアンプとダイレクトに接続できる。Archwaveと共同開発した1,000MIPSの演算能力を持つマルチコアARMプロセッサ「Sanctuary Audio processor」を搭載し、柔軟な信号処理を実現したという。入力信号を32bit/1.5MHzへアップサンプリングする「Megahertz upsampling」技術も採用する。

 超低ノイズ電源回路により超低位相雑音(-168dBc/Hz)を実現。ジッター値0.082ps(pico second)という「Femto Mastar Clock」回路を搭載する。アナログ出力部に特許技術「ORFEO Class-A module」を搭載し、歪率0.001%以下とした。ディスクリート電源回路「Purer-Power」や、プライトロン製アイソレーショントランスを使用した低ノイズDCアンプ回路も採用。日本の電源環境向けのチューニングも行なわれている。フロントパネルには512×64ドットのの有機ELディスプレイを装備。付属リモコンで全機能を操作できる。

 入力はUSB 2.0のほか、AES/EBU 1系統、同軸デジタル2系統、光デジタル1系統を装備。出力はアナログのバランス(XLR)とアンバランス(RCA)が各1系統。消費電力は最大15W、スタンバイ時2W、ウォームアップ時10W。外形寸法は33×23×6.5cm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.3kg。



■ exaSound Audio Design「e20」

e20の背面

 exaSound Audio Designは、ドライバを含めハード/ソフトを完全に内製しているというカナダGCM Servicesのオーディオブランド。同社は、マルチチャンネル再生を含めたDSD対応DAC基板もOEM向けにリリースしているという。「e20」(ESD-e20)は、最高32bit/384kHzのPCMと2.8/5.6MHzのDSDに対応したUSB DACで、価格は299,250円。

 Windows用のASIO 2.1対応ドライバと、Mac OS X用ドライバを用意。専用ドライバにより、PCMとDSDの音源切り替えもシームレスに行なえるという。DSD(2.8/5.6MHz)のネイティブ再生や、DXD 352.8kHzの再生に対応する。対応OSはWindows XP/7/8と、Mac OS X 10.6~10.8。

 メモリバッファ内蔵のアシンクロナス伝送対応USBインターフェイスを搭載。44.1kHz系専用と48kHz系専用、DA変換専用の3つの水晶発振器を採用したクロックジッタ値0.13psの回路を搭載する。さらに、ノイズを最小化するため11個のパワーフィルタを搭載してオーディオ帯域でのノイズを2μVrms以下まで抑えている。グラウンドループやコンピュータからのノイズの混入を防ぐため、USB基板とDAC回路との間にガルバニック絶縁回路を搭載する。絶縁回路は背面のトグルスイッチでON/OFFを選択できる。

 そのほかにも、高品質の水晶発振器やオペアンプ、低ノイズレギュレーター、0.1%精度の薄膜抵抗、タンタルポリマーコンデンサ、高音質ヘッドフォンアンプを搭載する。入力端子はUSB 2.0と、同軸デジタル×2、光デジタル×1。出力はアナログ×2(XLR×1、RCA×1)、ヘッドフォン×1。消費電力は最大約8W。外形寸法は16.5×20×5.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は0.75kg。



■ Resonessence Labs「INVICTA」

INVICTAの背面

 Resonessence Labsは、ESS Technologyで運用責任者を担当していたMark Mallinson氏により設立されたBCIC Designsのブランド。製造はカナダ国内で行なっているという。「INVICTA」(RSL-INVC)は、最高24bit/192kHzのPCMと、2.8MHzのDSDを再生可能なUSB DAC。価格は399,000円。

 ESS Technology製DSD対応DACチップを計2枚搭載。ヘッドフォン出力専用にES9016を、ライン出力専用にES9018を各1枚使用(各チャンネル毎に4chパラレル動作)している。前面にSDカードスロットを備え、SDカード(SDXC対応予定)内のWAV/AIFF、FLAC(12月以降対応予定)、DSD(12月以降対応予定)の再生が可能。ヘッドフォン出力は2系統備える。

 アシンクロナス伝送に対応し、USB 2.0経由でPCM/DSDを再生可能。7種類のデジタルフィルタを切り替えて使用できる。32bitデジタルボリュームを内蔵し、0.5dBステップで音量を調整可能。フロントパネル部に2系統のヘッドフォン出力を装備。-127dB~0dBまで0.5dBステップで制御できる。XLRアナログ出力の位相反転や出力の調整も、本体で設定できる。

 フロントパネルに有機ELディスプレイを搭載し、設定やSDカード内のディレクトリを表示可能。12月以降に、2バイト文字の表示にも対応予定としている。日本の電源環境向けのチューニングも行なわれている。

 入力はUSB 2.0と、AES/EBU×1、BNCデジタル×1、光デジタル×1。出力はアナログ×2(XLR×1、RCA×1)、ヘッドフォン×2。消費電力は最大約30W。外形寸法は22×28.2×5cm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.9kg。

 なお、DSD対応モデルではないが、同じくResonessence LabsブランドのUSB DAC「CONCERO」も発売。最高24bit/192kHzのPCMに対応し、価格は59,800円。

 上記のINVICTAで採用されているアシンクロナス伝送対応のUSB 2.0ドライバや、ジッタ低減機能を搭載。44.1/48kHzのビットパーフェクト出力やアップサンプリングに対応する。DACチップには「ES9023」を使用する。USBバスパワーで動作する。

 USB 2.0と同軸デジタル、アナログRCA出力を装備。同軸デジタル端子は入出力兼用で、USBデータ通信時にはデジタル出力、USB給電時はデジタル入力の自動切り替えとなっている。3種類のデジタルフィルタをリモコンで切り替え可能。

CONCERO背面


(2012年 11月 21日)

[AV Watch編集部 中林暁]