ニュース
増税前駆け込み需要でデジタル家電の売上162%大幅増
4月は反動減も、TVは2、3カ月で回復の見込み。BCN調査
(2014/4/10 20:52)
BCNは10日、薄型テレビやデジタルカメラ、スマートフォン、タブレットなどデジタル家電の2014年3月の販売動向や、消費税増税前後の駆け込み需要とその反動について、調査結果を発表。3月の売上金額は、増税前の駆け込み需要の影響により、「液晶テレビ」や「デスクトップパソコン」といった主要30カテゴリーのうち28カテゴリーで前年同期比を上回った。
BCNの市場分析は、家電量販店など全国22社、2,431店舗(2014年3月現在)のPOSデータを集計したBCNのデータをもとに行なっている。Amazonなどを中心としたネット店舗のデータも加味した形で前年同月比を算出。メーカー直販店の売上は含まれない。発表データ内の金額は全て税抜きとなる。
3月のデジタル家電全体での販売金額の伸び率は、前年同月比162%の大幅増となった。最も影響が大きかったのはパソコン本体および周辺機器・ソフトなどのパソコン関連製品で、BCNの道越一郎アナリストはその要因について、「増税前の駆け込み需要に加え、サポート終了となるWindows XPからの買い替え需要が重なったことが大きい」と説明した。
一方、増税後の4月1日~7日の販売動向をまとめた速報では、主要30カテゴリー中22カテゴリーで前年割れと落ち込んでおり、駆け込み需要の反動が現れた格好となった。しかし、パソコン関連は前年比増を維持する製品が多く、その理由について、「Windows XPからの買い替え需要はしばらく継続すると見られるため、落ち込みが少ない」と分析している。
液晶テレビは、3月に2011年7月の地デジ化バブル以来となる大きな伸びを記録したが、4月は一転して前年比75%まで減少。ただし、「地デジ移行時の早期購入者層が買い替えの時期に入ることや、地デジ化の反動があった2011年当時と比べて景気動向が良いことから、2~3カ月で前年並みの水準に戻ると思われる」と予測した。
テレビは大型化や低価格製品の減少により単価上昇傾向。4Kは春夏モデルが鍵に
3月の薄型テレビ(液晶+プラズマ+有機EL)の販売金額は前年同月比164.2%、販売台数は137.8%と大きく伸長した。サイズ別では、20型未満を除く全てのサイズで伸長。特に20型台は、新生活需要もあり販売金額前年比179.2%と高い伸びを見せた。また、50型以上も、同183.4%と高い水準になっている。
各サイズの価格帯別販売台数構成比は、20型台で2.5万円未満の製品が17.1%となり、1年前の43.7%から半分以下になるなど、低価格製品が減少。一方、50型以上では高価格製品を中心に価格が下がってきており、値ごろ感が強まっていることから、さらに大型モデルへのシフトが進んだ。これらの要因により、3月の薄型テレビ全体の平均単価は58,400円と、3年前の2011年3月の水準まで回復した。
全サイズに占める4K対応テレビの販売台数の割合は1.1%と横ばいの状況が続いており、「各社の2014年春夏モデルにより、販売台数を伸ばせるかが鍵となる」という。
3月の薄型テレビのメーカー別販売台数シェアは、1位がシャープで49.7%、2位はパナソニック(14.8%)、3位は東芝(8.6%)、4位はソニー(8.2%)となっている。前年同月比では、シャープが220.1%、パナソニックが155.8%と大幅に回復、ソニーは前年同月並みの102.8%、東芝は46.4%と台数を大きく減らしている。
レコーダも3月は大きく伸長
Blu-rayレコーダの3月の販売状況は、テレビの伸長に連動して大きな伸びを記録。販売金額は前年同月比166.8%で、台数は152.9%となった。平均単価は46,400円と上昇傾向にあるものの、「大型化などの好材料が多いテレビに比べ、単価の戻りが弱い」という。メーカー別販売台数シェアは、1位のパナソニックが33.4%、2位のシャープが29.7%、3位のソニーが18.4%、4位の東芝が17.4%となっている。
デジタルカメラは、3月の販売台数が久々に前年同月比を上回る102%となった。販売金額は前年同月比133.5%。デジタルカメラのタイプ別構成比は、レンズ一体型が68.3%で、レンズ交換型が31.7%。レンズ一体型の販売台数は前年同月比92.7%、金額は115.5%と、金額は前年を上回ったものの、台数は前年割れで、平均単価は18,800円。レンズ交換型の販売台数は132.3%で、金額は146.9%。平均単価は74,300円。
Windowsタブレットがシェアを拡大。iPhone 5s 16GBモデルが急増
3月のパソコン(ノート+デスクトップ+タブレット端末)の販売金額の前年同月比は212.3%と、2倍以上の伸びを見せた。販売台数前年比は174.9%。平均単価は81,300円。ノート型とデスクトップ型を合わせたメーカー別販売台数シェアは、NEC、富士通、東芝などが好調。VAIO事業の売却を表明したソニーは、2月以降低調となっており、「サポートに対する不安がシェアに影響した」(森英二アナリスト)としている。
タブレット端末は、販売台数が前年同月比157%となり、その市場規模は2010年5月の初代iPad発売時の10倍超にまで拡大した。搭載OS別の販売台数構成比は、Androidが45.4%、iOSが37.6%、Windowsが17%となり、Windowsが徐々にシェアを拡大している。
スマートフォンの3月の販売台数前年同月比は128.7%と、2013年6月以来の2桁増となった。メーカー別販売台数シェアでは、依然としてアップルが首位を維持しているが、「Nexus 5」や「isai」などのヒットにより、LGエレクトロニクスが急速にシェアを拡大。LGの3月の販売台数前年同月比は313.8%となった。
また、キャッシュバックなどの各社のキャンペーンが激化し、実質無料で販売されるケースが多かったiPhone 5sの16GBモデルが急増。iPhone 5sの容量別販売台数構成比は、16GBが62.5%、32GBが30.8%、64GBが6.7%と、2013年9月の16GBモデルの構成比18.6%から3倍以上に増加した。