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タッチで特定領域の色/質感を変えられる「画像質感制御技術」。富士ゼロックス開発

 富士ゼロックスは2日、人の視覚特性に基づいて画像データの色や形状などの質感を制御することで、直観的に特定領域の印象を変化させたり、望みの色に加工できるという「画像質感制御技術」を開発したと発表した。この技術により、車や住宅のカラーデザインをタブレットで事前にシミュレーションできるようになるという。

特定領域の色加工により、スキーウェアの色を変えた例

 「画像質感制御技術」は、タブレット端末やタッチディスプレイなどの画面に表示された画像データを指でなぞるだけで簡単に切り出し、特定の領域を望みの色や質感に変えたり、切り出した画像を他の画像に合成することが可能になる技術。画素データの境界を独自の技術で判別することにより可能にした。

 見本画像の特性を元画像に転写する技術により、画像全体の印象を一致させることや、画像領域ごとに個別に印象を一致させることもできるという。

 こうした「質感」の変化は、人の視覚の認知特性に基づいた視認性向上の処理や形状の強調によって実現。独自の周波数帯域解析や暗部解析も行なうことで、人が画像中の特定の物を知覚するにあたって自然な再現を可能にしたという。

元画像に夕焼けの景観特性を転写

 主な活用例として、車の外装と内装の組み合わせや、自宅の写真データを元にした屋根と壁の塗装の色の組み合わせなどを、簡単にシミュレーションできるという。また、化粧品売り場で購入希望者の顏写真データを取り込んで、肌と口紅のそれぞれの色を同時にシミュレーションし、好みの色の組み合わせを選ぶことも可能。

特定領域ごとの特性を転写して印象を一致させた例
視認性/質感向上処理の例

 質感を認知する脳の働き(質感知覚)が新たな研究分野として注目されていることから、同社は画像の視認性や輝度の周波数帯域、色特性を統合した視覚特性が、質感を再現するために重要であると捉え、今後も質感に着目した研究を進めていく。また、同社がパートナーや大学らと共に研究開発を進める「お客様共創ラボラトリー」などを通じ、実用化に向けた取り組みを行なう。

(中林暁)