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ソニーブースはハイレゾ拡充、TVは4Kに限定。バランス接続イヤフォンやXperia Bikeも

 ドイツ・ベルリンで9月5日(現地時間)より開催される国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2014」から、開幕前日に取材したソニーブースの展示内容をレポートする。

ソニーブース

ハイレゾ最小ウォークマンのA15。バランス対応のハイブリッドイヤフォンも

 前日の同社プレスカンファレンスでも強調していたハイレゾ製品では、注目のハイレゾ対応ウォークマン最小モデル「NWZ-A15」が多数展示。同じくハイレゾ対応製品として発売するヘッドフォンの「MDR-A1」とともに多数展示している。欧州では、ハイレゾ製品が7モデル追加(現在は32モデル)される。

NWZ-A15

 A15は、ハイレゾを手頃な価格帯でも楽しんでもらうことを目指して製品化された新モデル。欧州では10月に発売され、価格は約200ユーロ。FLAC/Apple Lossless(ALAC)などのハイレゾ再生に対応するほか、MP3/AAC/HE-AAC/WMA/WAV/AIFFもサポート。DSDには対応しない。圧縮音源もアップサンプリング/ビット拡張してハイレゾ相当に高音質化するという「DSEE HX」や、Clear Audio+なども搭載。ブースでは、DSEE HXのON/OFFした場合の音質を確かめたり、復元された高域の波形を目で見て実感するというデモも行なっている。

 OSはAndroidではなく、既存のA/Sシリーズなどに近いインターフェイス。アプリの追加などはできない。内蔵メモリは16GBだが、ハイレゾ音源はファイル容量が大きいため、ハイレゾ対応ウォークマンでは初めて、microSD/SDHCによるメモリ拡張にも対応。アンプはS-Master HX。Bluetoothも装備し、コーデックはaptXもサポート。ソニーのハイレゾ対応コンポなどとUSB接続することで、デジタル出力も行なえる。外形寸法は109×43.6×8.7mm(縦×横×厚さ)、重量は66g。

ハイレゾ現行モデルのF880(左)に比べると、A15(右)はかなりコンパクト
欧州で発売されるカラーはブラックとホワイトの2色だが、参考展示としてブルーやレッドの本体も用意された
コンポとUSBデジタル接続するデモも

 バランス出力対応のヘッドフォンアンプ「PHA-3AC」と、同製品にバランス接続できるヘッドフォン「MDR-Z7」もブースで試聴可能。価格は「PHA-3AC」が約800ユーロ、「MDR-Z7」が約600ユーロ。なお、PHA-3ACは製品名の通りACで駆動し、現行モデルのPHA-1やPHA-2とは異なり、バッテリは内蔵しない据え置き型のヘッドフォンアンプとなる。

PHA-3AC(右)とヘッドフォン「MDR-Z7」(左)で、ハイレゾウォークマンのNW-ZX1(中央)の音楽を再生

 ウォークマン/PC用とiPhone/iPod用の2つのUSB端子を備えるほか、光デジタル音声入力を装備し、PCM系は最高384kHz/32bitまで、iPhone接続時は48kHz/24bitまで、光デジタル入力時は192kHz/24bitまでサポートする。DSDは従来モデルは2.8MHzまでだったが、5.6MHzも新たに対応した。パソコンのUSB DACとしても動作する。出力はバランス対応の3-poleミニジャック(3.5mm×2端子)と、ステレオミニのヘッドフォン出力を装備。

 新ヘッドフォンのMDR-A1は、人気モデルとなったMDR-1Rの後継機種で、1Rに比べ約20g軽量化。ヘッドバンドも細くしたほか、音質面も改善を行なったという

PHA-3ACのヘッドフォン出力は、バランスとアンバランス端子を装備
デジタル入力は光/USB
ヘッドフォンのMDR-A1

 これらの製品に加え、ブースにはイヤフォンでもバランス接続できるモデルを参考展示。型番は「XBA-Z5」と記されており、ダイナミック型とバランスド・アーマチュア型のハイブリッドモデルをベースにしたものだという。ケーブルはPHA-3ACとバランス接続するため、3.5mm端子×2本に分岐している。

ハイブリッド型イヤフォンのバランス接続モデル「XBA-Z5」を参考展示

テレビは全て4K。“音にも包まれる”湾曲型など

 液晶テレビBRAVIAは、今回のIFAで出展されたのは全て4Kモデル(比較展示用の一部は除く)とし、4Kへの移行を本格化する狙いが見える。表示するコンテンツは、ドイツの優勝で話題となったブラジルワールドカップ映像などを用意していた。なお、今回のブースで有機ELテレビは出展していない。

S90Bの65型

 テレビにおける目玉は、CES 2014では展示していなかった湾曲(Curved)モデル「S90B」の65型と75型。8月に欧州で発表され、発売は10月中旬を予定している。既に韓国勢などがこの分野では先行してラインナップを拡大しているが、ソニーは「The perfect curve」としており、映像だけでなく音声も見る人を包み込むように設計。「Multi Angle Live Speaker」は、上半分のスピーカーユニットがやや外向き、下半分が内向きに角度を付けており、音に広がりを持たせているのが特徴。画質については、現行のフラットモデルであるX92Bとほぼ同等(画面が湾曲している点以外)としている。

S90Bの75型
曲面ディスプレイを採用
スピーカーの内部構造(上から見たところ)

スマホと様々なモノがつながるコンセプト展示

 スマートフォンは、前日の会見で発表された新フラッグシップ「Xperia Z3」や「Xperia Z3 Compact」、「Xperia Z3 Tablet Compact」の3製品を中心に展示。さらに、Android Wear搭載の「Smart Watch 3」や、通話もできるスマートバンド「SmartBand Talk」などが海外のプレスなどからも注目されている。

Xperia Z3(右)とSmartBand Talk(左)
Xperia Z3 Compact
Xperia Z3 Tablet Compact

 Xperia Z3/Z3 Compact/Z3 Tablet Compactの新機能の一つは、ハイレゾ音楽の再生が本体のみで(別売USB DACなどを使わずに)行なえること。同社によれば、192kHz/24bitのWAVやFLACに加え、DSD 2.8MHzもWAVなどへ変換せずネイティブ再生できるという。ハイレゾ対応ウォークマンと同様に、高音質化技術のDSEE HXも装備。同社オーディオ製品のエリアで、DSEE HXをON/OFFした時の音の違いを実感できるコーナーも用意している。

DSEE HXのON/OFFを切り替えて音質をチェックできるデモ
Smart Watch 3は、単体で音楽プレーヤーとしても利用できる

 スマートフォンと様々な機器や雑貨などがつながる未来を示した「Life is a journey」というエリアもオープン。自転車やメガネといった身の回りのものがスマートフォンと連携した場合の新しい体験を紹介するもので、展示されているものの製品化時期などは未定。このうち、メガネに映像を投写する「SmartEyeglass」の展示については、西田宗千佳氏がレポートしているので、そちらをご覧いただきたい。

 ユニークな展示は、自転車(電動アシスト付き自転車)の周囲360度を動画として撮影し続け、スマホに表示もできるという「Xperia Bike」。前方と後方にそれぞれ画角180度のカメラを装備することより360度の撮影を可能にするもので、Xperiaを前方のマウントに装着して、カメラの画角などを確認できる。

Xperia Bike
Xperiaを、ハンドル部にマウント
前方/後方に1台ずつカメラを配置して360度方向を撮影

 「Smart Lifelog Camera」は、軽量なカメラを衣服へ留め、動画撮影を継続的に行ない、SNSなどにアップロードして楽しむという提案。アクションカムよりもさらに目立たない形状のため、撮影していることを意識させず、人の目線に近い自然な動画を記録/シェアできる。

Smart Lifelog Camera
「Skin View Camera」は、専用端末で肌の状態をチェックして、その結果をディスプレイに表示するというもの
カメラ関連では、レンズスタイルカメラのレンズ交換対応モデル「ILCE-QX1」を様々なEマウントレンズと組み合わせて撮影を試せるコーナーを用意
アクションカム ミニの「HDR-AZ1VR」

Life Space UXはUIが進化。キューブ型防水モデルも登場

 欧州でも来年夏の発売が発表された「Life Space UX」のデモコーナーも用意。横長の超短焦点4Kプロジェクタや、テーブルをスクリーンのようにして映像投写/画面タッチ操作を可能にする「テーブルトップスクリーン」、天井に映像投写する「シーリングスクリーン」などを展示している。

Life Space UXで壁面に映像を投写

 2014 CESでもデモを行なっていたが、今回のIFAではUIが一部進化。壁に額付きの絵画を映像として表示、左右のハンドジェスチャで画面をスクロールして、部屋に合った好みの作品を選ぶといった使い方を紹介した。

ハンドジェスチャでスクロール
実物大ほどに見える映像で絵画作品を投写
テーブルに投写したいくつかの写真から、一つをスワイプするとテーブル上の他の場所へ飛ばせる

 新たに登場したキューブ型のプロジェクタは、浴室や収納の扉など場所を選ばずに設置することで壁などを23型のスクリーンとして活用できるもの。投写した映像に対し、画面をタッチしてスワイプすると、その部分のコンテンツも移動するというように、スマホなどの操作感覚でより大きな画面を操作できる。

キューブ型プロジェクタを壁面(扉)に設置
防水のため、浴室にも使える
天井に設置することで、プロジェクタ/スピーカーにもなる照明も

(中林暁)