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シャープ、第3四半期は「想定通りの着地」で赤字247億円

コンシューマーエレは40億円上方修正

シャープ高橋興三社長

 シャープは、2015年度第3四半期決算を発表した。売上高は前期比7%増の6,633億円、営業利益は38億円の赤字、純利益は247億円の赤字。'15年度(4-12月)の売上高は1兆9,430億円(前年同期比7.1%減)、営業損益は290億円の赤字、純利益は1,083億円の赤字。エネルギーソリューションが下振れたものの、他部門のカバーにより、「ほぼ想定通りの着地」(シャープ高橋興三社長)の決算となった。

2015年度第3四半期決算概要

 セグメント別では、テレビや通信、ヘルスケアなどのコンシューマーエレクトロニクスと、ビジネスソリューション、電子デバイスが黒字、太陽電池等のエネルギーソリューションと液晶等のディスプレイデバイスが赤字となった。

セグメント別売上高
セグメント別営業利益

 コンシューマエレクトロニクスの売上高は前年比24.8%減の2,042億円、営業利益は同15.9%減の75億円。売上減の主要因は、欧州テレビ事業のブランド貸与ビジネス移行。液晶テレビの構造改革効果やモデルミックスの改善により、黒字化を実現した。

コンシューマーエレクトロニクスの概要

 国内テレビにおいては、4Kテレビのシェアが向上。昨年10-12月期の19.3%から'15年同期は25.6%まで拡大しているという。また、AIoTや家電製品のロボット化で、「人に寄り添う家電」を目指すとした。液晶テレビの構造改革による収益改善や、携帯電話新製品の売上増、プラズマクラスターイオン関連商品の販売増により、通期営業利益予想は40億円上方修正の200億円。売上高予想に変更はなく8,700億円。

 エネルギーソリューションは、売上高が前年同期比35.6%減の345億円、営業利益は50億円の赤字。ポリシリコンの評価替えが損益悪化要因で、ソリューション事業への切り替えを図っていくという。通期売上高は100億円下方修正の1,700億円、営業利益も100億円下方修正し、70億円の赤字。

 ビジネスソリューションは、売上高が前年比3.3%増の888億円、営業利益は同7%減の71億円。コンビニコピー機のマイナンバー対応による住民票取得サービスや、新カラー複合機などで、事業強化。売上高予想は100億円プラスの3,600億円に、営業利益も20億円プラスの380億円に上方修正した。電子デバイスは売上高が前年比10.4%減の1,464億円、営業利益が同24.2%減の19億円。

ディスプレイデバイスの収益改善策の進捗

 液晶などのディスプレイデバイスは、営業利益が前年比5%減の2,262億円、営業利益は107億円の赤字。中国市場のスマートフォン向けパネルや、テレビ向け大型パネルの販売減、価格下落などが響いた。

 今後は収益性の低いスマホ向け小型パネルやテレビ向けの大型パネルを減らし、強みが活かせるPC、車載、IA向けなどを中心としたポートフォリオに移行。そのために、亀山第2工場への約112億円の投資を決めている。投資回収は約2年を予定している。

 通期の業績予想については変更なく、売上高は2兆7,000億円、営業利益は100億円。高橋社長は、「依然として厳しい状況だが、引き続き様々な構造改革を進め、中期経営計画の達成に取り組む」と語った。なお、鴻海と産業革新機構の出資による経営再建については別記事で紹介している

(臼田勤哉)