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開発者らが語る、ソニー Life Space UXの小型プロジェクタ/グラススピーカー

 ソニーは10日、生活空間そのものを使った映像/音楽の楽しみ方を提案する、Life Space UXシリーズの新製品発売記念イベントを東京・恵比寿のショールーム、アルフレックスショップ東京で開催。同シリーズの開発担当者らが、13日発売の「ポータブル超短焦点プロジェクタ」や「グラスサウンドスピーカー」について語った。

ソニー「Life Space UX」新製品が2月13日発売

 ポータブル超短焦点プロジェクタ(LSPX-P1)は、壁際やテーブルに置いて最大80型の映像投写を楽しめる製品。価格は93,000円前後。

ポータブル超短焦点プロジェクタ(LSPX-P1)

 グラスサウンドスピーカー(LSPX-S1)は、有機ガラス管をツイータとして利用し、360度方向に音を広げられるポータブルBluetoothスピーカー。価格は74,000円前後。

グラスサウンドスピーカー(LSPX-S1)

 どちらも住空間に溶け込むようなデザインと機能性を備え、使いたいときにどこでも映像/音楽を楽しめるカジュアルさをコンセプトにしている。

ソニー TS事業準備室 室長の斉藤博氏

 ソニー TS事業準備室 室長の斉藤博氏は、イベントの冒頭でLife Space UXシリーズのコンセプトを紹介。「家電にはデザインや機能性において、住空間に馴染まない“違和感”がある」と語り、さらに「テレビを見るときはテレビの前、音楽を聴くときはスピーカーの前、といったように、これまでの映像や音楽の楽しみ方では“場所の制約”ができてしまう」と指摘。従来のように家電を室内に足し算していくのではなく、空間そのものを使うことで場の制約から開放される、という発想への転換が軸になると説明した。

 また、Life Space UXを促進するオープンな取り組みとして、「家具やインテリアなど、日々の暮らしを考えるエキスパートとコラボレーションすることで新しいものを産み出したい」と語った。

プロジェクタとスピーカーの開発者が語る、Life Space UX製品のこだわり

トークセッション「開発ストーリー」の模様。右端がアクシスの宮崎光弘氏

 製品開発を巡るトークセッションでは、ポータブル超短焦点プロジェクタの設計開発を担当したデバイスソリューション事業本部の松田幹憲氏と、グラスサウンドスピーカーを担当したビデオ&サウンドプロダクツ V&S事業部の鈴木伸和氏が登場。進行役は、これまでもソニーのLife Space UX事業に協力してきたアクシスの宮崎光弘氏が務めた。

 松田氏は、BDドライブのピックアップ部など、レーザーを使った光デバイスの開発に携わってきており、ソニーの新規事業として立ち上がった小型プロジェクタモジュール開発に参加。ソニーの平井社長の前で同事業のプレゼンを行なうなどの働きかけもあり、'14年にはLife Space UXの一環として新しいプロジェクタ製品の開発がスタートした。

 コンセプトである「壁やテーブルに置いて手軽に映像を楽しめる」を実現するため、ローボード型の4K対応超短焦点プロジェクタ「LSPX-W1S」の技術を応用し、従来よりも光学系の小型化を実現。投写口をシンプルなデザインに落とし込んだ。画質の高さにこだわり、筐体の向きや投写面との距離に応じて作動するオートフォーカス機構の採用、冷却ノイズの低減など、ストレスなく映像を楽しめる仕組みも盛り込んだという。

デバイスソリューション事業本部の松田幹憲氏
ポータブル超短焦点プロジェクタの光学系は従来よりも小型化している

 一方、グラスサウンドスピーカーを手がけた鈴木氏は、100万円で'08年に発売された“伝説のスピーカー”、「サウンティーナ」の開発を担当。ひとつの筐体から360度に音が湧いて溢れだす、透明な「音の噴水」のイメージを製品化した。

サウンティーナ('08年発売)。高さ約1.8mで価格は100万円
サウンティーナ開発時の試作品。高さは約1m

 今回、「普通のスピーカーにはないサウンティーナの音楽体験を、より多くの人に届ける」ことを念頭に置き、サウンティーナで培ったバーティカルドライブ技術を応用しつつ、ワイヤレス化・小型化・高音質化を実現。筐体のサイズは「ワインボトルの大きさが基準だった」(鈴木氏)。音像が浮かび上がる透明な音作りにこだわったという。

ビデオ&サウンドプロダクツ V&S事業部の鈴木伸和氏
6台のグラスサウンドスピーカーを連動させ、森の環境音と音楽のミックス音源を使ったデモも実施
左から林信行氏、田川欣哉氏、宮崎光弘氏

 トークセッションの後半では、takram design engineering代表の田川欣哉氏と、ITジャーナリストの林信行氏が登場。「音と光と空間の可能性と、体験のデザイン」をテーマに、Life Space UXの可能性や今後について、宮崎氏を交えて語り合った。田川氏はLife Space UXの製品について「インテリアに溶け込むということと、その技術的制約を上手く落とし込んでいるところが特徴的」と指摘。林氏は「20世紀的な家電とは別物。これまでの家電は便利さを追求しすぎていた。これからは家電と生活の在り方、豊かさにもっと注目が集まるといい」と話した。

LSPX-P1を使って画用紙に落書き風の映像を投写
「リビング・モティーフ」でのLSPX-P1の展示の一例。子ども向けのダンボールハウスに、来店した家族連れの子どもが入りこんでアニメを楽しんでいたという

星野リゾートなどと協力。新プロジェクタ・スピーカー体験の場を提供へ

Life Space UXの体験の場と認知拡大に注力する

 ソニーでは、LSPX-P1とLSPX-S1の発売を皮切りに、Life Space UX製品を実際に体験できる場を拡大。イベント会場となったアルフレックスショップ東京のほか、リビング・モティーフ、星野リゾート、軽井沢ホテルプレストンコートなどをコラボレーションパートナーとし、製品体験イベントや音楽ライブイベントなどで活用していく。

コラボレーションパートナーの一例
今回のイベント会場であるアルフレックスショップ東京では、17日と24日に新製品体験イベントを実施
軽井沢ホテルプレストンコートのコテージで実施するバレンタインイベントの一環で製品体験の場を設ける
現在開催中の文化庁メディア芸術祭などでも製品体験が可能

 このほか、アルフレックスショップ東京では、Life Space UXシリーズの中核製品であるローボード型の4K超短焦点プロジェクタ「LSPX-W1S」や、LED電球一体型スピーカー「LSPX-100E26J」を、居住空間に合わせた利用例のなかで展示していた。

ローボード型4K超短焦点プロジェクタ「LSPX-W1S」
LED電球一体型スピーカー「LSPX-100E26J」

(庄司亮一)