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人型サイズの映像が浮かぶ「空中ディスプレイ」。三菱が'20年度以降に実用化へ

 三菱電機は、空中に56型の映像を表示する「空中ディスプレイ」を開発したと発表した。人型サイズの映像を使った遠隔コミュニケーションや、デジタルサイネージ、アミューズメント施設などでの利用に向けて開発を進め、2020年度以降の実用化を目指す。

空中ディスプレイの表示イメージ。中央が空中映像、左右がガイド映像

 入射光を反射光と透過光に分離する特性を持つ光学素子「ビームスプリッター」と、入射光を入射した方向へ反射する「再帰性反射シート」を使って、空中に浮遊映像を表示するという技術。ビームスプリッターから空中映像の映像中心部の距離を1m以上にすることで、人が空中映像を通り抜けることもできる。

 スクリーンと対にしてビームスプリッターと再帰性反射シートを配置することにより、スクリーンの映像の光がビームスプリッターで反射し、その光が再帰性反射シートで反射すると光が空中に再収束。この再収束した光によって、56型(886×1,120mm/幅×高さ)の映像が空中に浮かんでいるように見える。

空中に映像を表示する原理

 空中に目の焦点を合わせることに慣れていない人も表示位置がわかりやすいように、入力映像を空中映像領域と左右のガイド映像領域に分割し、3つの映像がシームレスに繋がるように表示できるシステムを開発。空中映像の両サイドの壁面にプロジェクタでガイド映像を表示することで、目の焦点を空中映像へ自然に誘導。空中映像とガイド映像をシームレスに表示することで、90型(1,992×1,120mm/幅×高さ)のエンターテイメント性の高い映像表現が可能になったという。

空中映像とガイド映像を合わせて90型の表示も

 同社は、宇都宮大学工学研究科山本裕紹准教授と空中に映像を表示する共同研究を2015年度から開始。今回の技術は、国内で2件の特許を取得している。「空中ディスプレイは、例えばスタジアムの空に浮かぶ大型映像や、人型サイズの映像を使った遠隔コミュニケーションなど、臨場感ある映像表現に欠かせない技術」としている。

(中林暁)