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1080pカメラ搭載で25分間飛行する小型ドローン「Parrot Bebop 2」。約67,500円

 仏Parrotは、ドローン/クアッドコプターの新機種「Parrot Bebop 2」を3月下旬より発売する。価格は67,500円。専用コントローラとのセット「Parrot Bebop 2 + Parrot Skycontroller Black Edition」は102,500円。Bebop 2の本体カラーはホワイトとレッドの2色を用意する。

Parrot Bebop 2
レッド
ホワイト

 重量500gクラスのレジャー用ドローンで初という、25分間の飛行を実現したのが特徴。1080p対応のカメラを備え、内蔵の8GBメモリに記録できるほか、スマートフォン/パソコンなどへの転送も可能。

 長時間飛行を可能にするため、ソフトウェアとハードウェアのバッテリ・コンポーネントの設計を最適化。2,700mAhリチウムイオン充電池を利用し、500gの軽量な機体で25分の飛行時間を達成。従来モデルのBebopの約11分に比べ、大幅に飛行時間を延長しており「市場で最も効率的なドローン」としている。従来のBebop(70,900円)に比べ低価格化も実現した。

Bebop 2

 4個のブラシレス・アウトランナー・エンジンが4つの3枚羽根プロペラを駆動。最高速度は水平方向で時速60km、垂直方向で時速21km。最高速度への到達時間は14秒、制動時間は4.5秒。最大風速時速63kmの向かい風でも飛行でき、20秒以内に100mの高度に到達できる。

4つのプロペラを大型化
内部構造

 1,400万画素のセンサーと魚眼レンズを備えたカメラを搭載し、風景などを1080/60pで撮影可能。カメラの画角は、コントロールするスマホ/タブレットの画面上を指でスライドすることで最大180度の範囲でデジタル処理により変更可能。これにより、垂直方向の動画/静止画撮影もできる。初代モデルのユーザーからの声を反映し、カメラの向きを従来よりも30度下げた。これにより、「空よりも陸地を多く撮影できる」としている。操縦用のデバイス画面にはフライト映像がライブストリーミングで伝送され、動画を見ながら操縦可能。

 動画のフォーマットはMPEG-4 AVC/H.264。静止画はJPEG/RAW/DNGに対応し、解像度は最大4,096×3,072ドット。従来モデルと同様に、3軸のデジタル安定化(ブレ補正)機能を備え、歪みの無い画像を撮影可能としている。画角は16:9、4:3、魚眼に対応。

1,400万画素カメラで1080p動画撮影などが可能

 操縦はスマートフォン/タブレット向けアプリ「FreeFlight 3」(iOS/Android)で行なう。方向(前方/後方/左旋回/右旋回)の指示は、操縦デバイスをその方向に傾けることで、それに従ってBebop 2が動作。「LANDING」ボタンをタッチすると、フライト高度に関わらず自動でスムーズに着陸するという。過酷な状況下でも安定した動作と操作性を実現するというオートパイロット機能を備える。

アプリ「FreeFlight 3」からの操作

 高度や自機の位置などを測定するためのデータは7つのセンサーで収集。デュアルコアCPUとクアッドコアGPUを搭載したオンボードのコンピュータで管理する。操縦用のスマホ/タブレットとの接続はWi-Fi MIMO(2.4GHz/5GHz)を利用。300mの範囲内で安定した接続を実現している。また、エンジンの緊急停止機能、プロペラ接触時の緊急停止機能、高度/飛行区域の制限機能、自動帰還機能なども利用できる。

Parrot Bebop 2の飛行デモ

【搭載センサー/カメラの機能】

  • 垂直安定化カメラ:地面の画像を16ミリ秒ごとに撮影し、直前の画像と比較することでBebop 2の速度を決定
  • 超音波センサー:最大5mまで圧力センサーと連携してフライト高度を分析
  • 圧力センサー:気圧を測定し、5mを超えてフライト高度を分析
  • 3軸ジャイロスコープ:ドローンの傾き角度を測定
  • 加速度計:3軸によるドローンのポジションと直線速度を測定
  • 3軸磁力計:コンパスのように、ドローンのポジション決定を支援
  • GNSS(全地球衛星測位システム)チップセット(GPS + GLONAS):ドローンの位置情報を特定し速度を測定することで、高高度でのドローンの安定動作を実現

 本体は、グラスファイバーで従来モデルよりも20%強化したPA12シャーシと、耐衝撃性のフット(脚部)により堅牢性を向上。本体背面のLEDにより、操縦者は飛行方向を把握し、常に視界内で飛ばせることができるという。外形寸法は382×328×89mm(幅×奥行き×高さ)。

 アプリ内購入の「Flight Plan」をダウンロードすることで、自動フライトププランを自作することも可能。さらに、開発者向けSDKも提供し、対応アプリの開発が可能。

本体後部
別売のコントローラ「Skycontroller Black Edition」

 オプションのラジコン型リモコン「Parrot Skycontroller Black Edition」を利用すると、Wi-Fiの通信距離を最大2kmまで拡張可能。ドローンの操縦は、ジョイスティック付きの2本のハンドコントローラで行なう。コントローラのボタンはカスタマイズ可能。Parrot Skycontrollerは本体にAndroid OSと操縦アプリのFreeFlight 3を内蔵し、スマホ/タブレットがなくても操縦できる。

 Skycontrollerと、FPV(一人称視点)の対応スマートグラスやヘッドマウントディスプレイ(HMD)をHDMI接続することで、Bebop 2のフライト映像を見ながら没入感のある操縦が可能。スマホ/タブレットの操縦画面やHMD上に「レーダー」も表示され、Skycontrollerから見たBebop 2の位置や飛行方向が示される。さらに、Skycontrollerのアンテナが生成するWi-Fi信号の限界に近づいていないかを確認可能。画面上に表示された指示に従うことで、操縦者と機体との位置関係を調整して、強い信号接続を維持できる。

Skycontroller
HMDを使った“没入型”の操縦が可能
Bebop 2の飛行デモ動画

機能強化しても「誰でも飛ばせる」。撮影動画から3Dマップを作成するソフトも

 ParrotのJPAC地域担当バイス・プレジデント兼マネージング・ディレクターを務めるクリス・ロバーツ氏は、Bebop 2の開発について、性能の向上を念頭に置きながらも「特別なスキルやトレーニングが不要で、誰でも箱を開けてすぐ飛ばせること」の重要性を強調。Parrotと他社のドローンの大きな違いとしては、カメラが本体と一体化されている点を挙げ、安定した撮影が行なえることをアピールした。

Parrotのクリス・ロバーツ氏

 外観は初代モデルから大きな変更が無いようにも見えるが、ロバーツ氏は「全てを再設計した全く新しい製品」として、容量の増えたバッテリや、バッテリのマネジメントの改善による効率化に加え、大きくなったプロペラや、GPSセンサー、カメラのレンズ、冷却システムなどまで一新したことを説明。

 また、プロペラは、物体に触れると自動で停止する「カットアウト」機能を装備。これにより、もし衝突などがあった場合にも、全てのプロペラが停止。予測しない方向へ飛んで行ってしまうことを避けるという。この機能の搭載に合わせて、従来モデルについていたプロペラガードも省いている。

 '15年12月に日本の改正航空法が施行され、飛行禁止空域の設定や、特定の空域において飛行に許可が必要といった規制が設けられた点については「どの国でも、新しい技術が登場すると、なかなか規制が追いつかないのはよくあること。フライトに関する規制は重要で、コンシューマにとっても良いこと。コンシューマの安全への啓蒙活動をこれからも支援していきたい」と説明。同社は販売店と協力し、ケージなどの安全な場所でドローンを体験できるイベントをこれまでも行なっており、'16年はさらに大規模な体験プログラムを計画しているという。

 SDKの公開によって開発されているソフトの例としては、Bebop 2で撮影した地形や建物などを3D画像にする、Pix4Dのデスクトップ用マッピングソフトや、neuralaによるセルフィー撮影アプリなどを紹介した。これらのソフト/アプリは間もなく提供開始されるという。

Pix4Dの3Dマップ作成ソフト
neuralaのドローン用セルフィー撮影アプリ

 同社の民生用ドローンとコネクテッド製品(BluetoothヘッドフォンのParrot Zikや、Bluetooth搭載植木鉢のParrot Potなど)の事業は、'15年に前年比260%増の成長となった。ドローンの累計出荷数は、昨年に100万台を突破したという。

 ビジネス拡大に向けた'16年の具体的な取り組みとしては、日本における専任の「セールス&マーケティング」チームや、顧客サポート・アフターセールスセンターを発足。さらに、販売代理店として新たにドローン/ウェアラブル製品などを扱うA1インターナショナルと、オーディオ機器などを扱う完実電気を認定し、日本での販売拡大を図る。

(中林暁)