ミニレビュー

Apple純正iPhone用SDカードリーダはどれくらい速い?

USB 3.0対応で高速化。iOS 9.2でiPad以外に対応

 12月9日、iOS 9.2の公開と同時に、アップルから「Lightning - SDカードカメラリーダー」の新モデルが発売された。この製品は名前の通り、iPhoneやiPadのLightningコネクタに装着するSDカードリーダーだ。デジカメの写真・動画をiOSデバイスで読み込むことができる。

Lightning - SDカードカメラリーダー

 iPad専用のSDカードリーダーは、Dockコネクタ時代から存在していて、Lightningコネクタ搭載のiPadと同時に、同じ製品名の前モデル(モデル番号A1441・製品番号MD822ZM/A)が発売されている。

 今回発売された新モデル(モデル番号A1595・製品番号MJYT2AM/A)は、その後継製品で、新たにUSB 3.0に対応した。価格は前モデルと同じ3,500円だ。

 新モデルは前モデルとデザインがほぼ同じで、一見すると判別が付かないが、サイズがちょっとだけ大きくなっている。あとはモデル番号や製品番号、パッケージラベルに書かれた(USB 3)で見分けることができる。旧モデルが店頭に残っていることがあるので、購入するときは注意が必要だ。

新モデル(左)と旧モデル(右)
新モデル
旧モデル

Lightning搭載のiPhone/iPadすべてで利用可能

新モデル(左)と旧モデル(右)

 iOS 9.1まで「Lightning - SDカードカメラリーダー」はiPad専用だったが、新モデル発売と同時に公開されたiOS 9.2アップデートにより、旧モデルも新モデルも両方、iPhoneから利用できるようになった。

 対応機種は、iPhone 5以降、初代iPad mini以降、iPad Retinaディスプレイモデル(Lightning端子版)以降、iPad Pro以降。要するにLightning端子のiPhone/iPadすべてとなっている。ただしOSはiOS 9.2にアップデートしておく必要がある。

 なお、新モデルでUSB 3.0の接続ができるのは、iPad Proのみで、iPad Pro以外のiPad/iPhoneはUSB 2.0接続となる。しかし後述するが、iPad Pro以外でも新モデルを使えば少しだけ読み込み速度が向上する。

取り込んだ写真は「写真」アプリで扱う

 SDカードをアダプタに挿し、アダプタをiPhone/iPadに接続すすると、「写真」アプリが起動し、SDカード内のDCIMフォルダから取り込みが開始される。

iPhone 6sにつないだ状態。ケーブルは比較的固く、ほぼまっすぐの状態で使うことになる

 取り込んだ写真・動画は、iOS共通の写真フォルダに放り込まれる。iOSデバイスで撮影した写真・動画と同じ扱いになるので、標準の「写真」アプリやほかのアプリで編集したり、SNSで共有したりできる。「最後に読み込んだ写真」というアルバムにも分類されるので、SDカードから読み込んだ写真だけを共有する、といった使い方も簡単だ。

 デジカメならではの高倍率の光学ズームを使った写真や大型センサ・大口径レンズによる自然なボケのある写真、スローシャッター写真など、iPhoneでは撮れないような写真をアプリで扱ったり、SNSに投稿したりできるのは、なかなか楽しいものだ。パソコンどころかタブレットも要らず、iPhoneだけでOKというのも便利だ。

iPad Proでの読み取り画面。画面下に「読み込む」というタブが追加される

 iPhone/iPadのストレージ容量に余裕があれば、iPhone/iPadをバックアップストレージとして使うこともできる。旅行にノートパソコンを持っていきたくないけどSDカード容量が不安、というようなときに、予備のSDカードを買い足す必要がない。

 スタジオなどで撮影した写真や動画を現地で確認したいときは、iPadがノートパソコンの代わりになる。何人かで回覧するような場面ではノートパソコンよりもタブレットの方が使いやすいというメリットもある。

iPhoneでの読み込み画面

 取り込んだ写真・動画はiPhone/iPadで撮影した写真・動画と同じ扱いになるので、iCloudフォトストレージなど自動同期するオンラインストレージには自動でアップロードされる。便利ではあるが、大容量の写真・動画を大量に取り込んだ場合、転送量・ストレージ容量の双方を大量に消費するので注意が必要だ。

 クラウド同期は仕事でも活用しやすい。たとえばAdobeの「Lightroom」やMacの「写真」アプリなどを使っていれば、iOSデバイス上で写真を編集したとき、パソコン側に編集内容も含めて写真が同期される(オリジナルファイルも同期される)。出先でiOSデバイスに写真を取り込み、移動中に簡単に編集して、オフィスや自宅に戻ったらパソコンで最終調整して納品する、といったワークフロー環境がすぐに構築できる。

 ただし、iOSデバイスに取り込める写真はJPEGのみで、RAW画像は取り込めない。また、動画もMP4のみだ。例えばソニーの「NEX-5R」で撮影したMP4動画ファイルは取り込めたが、AVCHD動画は取り込めなかった。

読み取り速度は2割ほど高速に

 「Lightning - SDカードカメラリーダー」の新モデル(モデル番号A1595/製品番号MJYT2AM/A)と旧モデル(モデル番号A1441/製品番号MD822ZM/A)で読み取り速度がどのくらい変化したか、簡単にだが比較してみた。ストップウォッチ片手に手動で計測しているので、それほど正確な数字ではないが、参考にしていただければ幸いだ。

iPad mini 4につないだ状態

 今回の比較では、写真94枚(合計約240MB)と約1分の動画1本(約94MB)、合計約334MBを東芝製のClass 10のSDカード(無駄にTransfer Jet対応)に保存し、iOSデバイスで読み取らせてみた。

 iPad Proの場合、新モデル(A1595)で約18秒(約18MB/s)、旧モデル(A1441)で約22秒(約15MB/s)となった。

 iPhone 6sでは、新モデルで約21秒(約16MB/s)、旧モデルで約25秒(約13MB/s)となった。iPad mini 4もほぼ同等で、新モデルで約22秒(約15MB/s)、旧モデルで約25秒(約13MB/s)となった。

SDカードは少しハミ出る

 iPad ProはiOS機器としては現状唯一、USB 3.0に対応している(カタログスペックには記載されていないが)だけあって、新モデルと組み合わせたときに最速となっている。しかし旧モデルと接続しても十分に速く、その差はかなり小さい。

 iPhone 6sはA9チップ、iPad mini 4はA8チップと、システムチップの世代に差があるが、測定結果はほとんど同じだった。いずれもUSB 2.0だが(こちらも明言はされていないが)、USB 3.0対応の新モデルを使ったときの方がやや高速という結果となった。

 いずれのiPhone/iPadでも、新モデルと旧モデルの速度差は2割程度で、それほど大きな差ではない。すでに旧モデルを持っている人が、読み取り速度のためだけに買い換えるべきかは微妙なところだ。

 しかし製品価格は3,500円とそれほど高くなく、この手のデバイスは複数持っておいてカバンに入れっぱなしにしておくと便利だったりするので、買い足すのも悪くないと思う。筆者も、複数ある取材カバンに常駐させるべく、旧モデルに加えてこの新モデルを買い足している。入れっぱなしにしておかないと、持ち出すのを忘れることが多いのだ。

もっともシンプル・高信頼性・安価な読み取り方法

iOS 9.1以前のiPhoneではエラーメッセージが表示される

 デジカメで撮った写真・動画をiPhone/iPadに取り込むには、ほかにもいくつかの方法があるが、この「Lightning - SDカードカメラリーダー」はコスト・信頼性・使い勝手のバランスが取れた手段だと思う。

 従来はiPadのみの対応だったが、iOS 9.2でiPhoneにも対応したことにより、利便性が一気に増した。iPadは「持っているけど家からあまり持ち出さない」という人も少なくないと思うが、メインのスマホがiPhoneならば、いつだってiPhoneを持ち歩くはず。追加でこの小さなカメラリーダーをカバンのスキマに入れておくだけで、いつでも使えるというのは大きい。

 そこそこのデジカメを所有していても、「以前はデジカメを持ち歩いていたが、最近はiPhoneのカメラで十分だから、イベントごとや旅行でも、あまりデジカメは持ち歩かなくなった」という人も少なくないとは思う。それも間違いではないが、ズームやボケを活用したデジカメの写真・動画は、iPhoneのそれとはひと味違い、撮っていて楽しく、記録としても面白く、SNSに投稿すれば「いいね!」ももらいやすい。

 「Lightning - SDカードカメラリーダー」は、仕事などでデジカメを常用中の人にもオススメの製品だが、逆にデジカメの利用頻度が下がったという人にも試してほしい製品だ。

(白根雅彦)