レビュー

レコーダとして魅力向上! nasneの録画番組自動チャプタを試す

実用的な精度。DiXiMなどアプリ側の対応も

nasne

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のネットワークレコーダ「nasne」が12月12日にアップデート。システムソフトウェア バージョン2.10となった。

 実売1万円台〜2万円と低価格ながら、地上/BS/110度CSデジタル放送レコーダ兼NASとして強力なnasneだが、10月のバージョン2.00へのアップデートでは外出先からのリモートアクセスなど主に「NAS」としての機能が強化された。一方、今回のバージョン2.10は「レコーダ」としての機能強化が中心といえる。

 その機能強化とは、主に録画番組の「チャプタ自動生成」対応だ。テレビ録画時に、番組の音や映像の切り替わりを検知し、自動的にチャプタを付与。このチャプタ情報を使うことで、番組のスキップやCMスキップを簡単にする。多くのBlu-rayレコーダではこのチャプタ自動生成は標準的な機能となっており、ソニーでは「おまかせチャプター」、パナソニックは「オートチャプター」、東芝「マジックチャプタ」などの呼び名で呼ばれているが、nasneではこれまで対応していなかった。

 今回nasneがチャプタ自動生成対応したことで、「レコーダ」として魅力もかなり向上したのではないだろうか? 早速テストしてみた。

実用的な自動チャプタ。リモコン対応で「レコーダ」としての魅力向上

torne for PS Vita TV

 新機能を試す前に、まずはnasen HOMEからシステムソフトウェアのアップデートを行なう。というのも、Ver.2.10以前のnasneで録画した番組についてはチャプタは生成されないので、録画時に自動でチャプタを付与するためには、まずアップデートを行なう必要があるのだ。

 nasneの録画番組は、SCEのPlayStation 3(PS3)やPlayStation Vita(PS Vita)などの「torne(トルネ)」アプリのほか、DLNA/DTCP-IP対応のテレビやタブレット、BDプレーヤーなどからも再生できる。

 このうち、SCEがチャプタ対応としているのは、PS3専用TVアプリ「torne」と、PS Vita用の「torne PlayStation Vita(torne PS Vita)」、PS Vita TV用の「torne PlayStation Vita TV(torne PS Vita TV)」の3製品。これらからの録画番組再生時に、チャプタスキップなどが行なえるというわけだ。

 今回は主にPS Vita TVのtorne PS Vita TVでテストした。torneを起動して、録画した番組を再生開始すると、画面下に表示されるタイムシークバーに黄色い区切りが設けられている。これがチャプタに相当するものだ。再生開始して、コントローラの「DUALSHOCK 3」からは左のアナログボタンを左右に倒すことでチャプタの送り/戻しが行なえる。シンプルな操作で、特に問題なく利用でき、チャプタ送りも瞬時だ。

再生操作時に出てくるタイムシークバーにチャプタ部が表示される

 また、PS3用BDリモコン「CECH-ZRC1J」の「PREV」、「NEXT」のボタンでもチャプタの戻し/送りが行なえる。BDリモコンを使ってみると、nasneが普通のBDレコーダのような操作感で使えるので、torneを中心にVita TVやPS3を使う人はこれを活用したい。

 10番組程度を再生してみたが、ほとんどの番組でCMと番組の間できちんとチャプタが付与されていた。ニュース/情報系の番組では、番組とのCMの間だけでなく、大きめのシーンチャンジでもチャプタが付与されていることもあり、見たい場所にスキップするという意味ではとても使いやすい。バラエティ番組「アメトーク」では、時折CMでも番組の区切りでも無いところでチャプタが入っていることもあるなど、番組によっては少しおかしなチャプタもあったが、これはどのレコーダでもあること。nasneのチャプタ付与の品質は実用的で、明らかに使い勝手は向上したと感じる。

torne for PS Vitaでチャプタスキップ

 nasne/torneの組み合わせは、ゲーム的な操作感で、最高120倍速もの早送り/戻しや、指定間隔でサムネイル表示を作ってジャンプする「ビジュアルシーンサーチ」、30秒スキップ/15秒バックなど、豊富なスキップ支援機能を持っている。しかし、やはり「チャプタ飛ばし」の手軽さで実用度は大幅に向上した。特に、普段レコーダ専用機を使っている人にとっては、慣れ親しんだ操作が実現できるので、録画番組再生のストレスが減るだろう。

 PS Vita用のtorneも操作系は同様で、左のアナログスティックを右に倒すとチャプタスキップ、左に倒すとチャプタバックとなる。PS3のtorneでも同様の操作方法だ。PS3で一点注意したいのは、nasneでなく、PS3用地デジチューナ「torne」で録画した番組の場合は、チャプタが付与されないことだ。

実はタブレット対応が魅力? DiXiMやMLPでiPadからもチャプタスキップ

 nasneのチャプタ対応のパフォーマンスを最大限に活かせるのは、nasne+torneの組み合わせだ。しかし、より利便性が高まったと感じたのは、タブレットでのnasne番組視聴だ。

 詳しくは西田宗千佳氏のインタビュー記事を後日掲載予定だが、nasneのチャプタ付与はソニーBDレコーダのものをベースに開発されている。そのため、ソニーBDレコーダのチャプタスキップに対応したアプリでもnasneのチャプタスキップが利用できる可能性が高い。

 編集部で試したところ、iOS用のDTCP-IPプレーヤーアプリでは、デジオン「DiXiM Digital TV Ver.3.00(以下DiXiM)」と、アルファシステムズ「Media Link Player for DTV(MLP)」で、nasneのチャプタスキップが行なえた。iOS/Android版の「TwonkyBeam」は対応していなかった。

DiXiM Digital TV for iOS
Media Link Player for DTV
Media Link Player for DTVのチャプタリスト

 DiXiMもMLPも従来からnasneの録画番組再生が行なえ、30秒スキップなどの機能も備えていたが、早送り/戻しのレスポンスはさすがにPS3やVita/Vita TVのtorneには及ばない。しかし、nasneのチャプタ対応により、iPadからのスキップ操作が大幅に楽になった。元々高速な操作性を実現しているtorneでの利用と比較すると、iPadからの視聴のほうが、チャプタ対応の恩恵が大きいと感じた。

 なお、DiXiMとMLPではUIが異なっており、DiXiMでは、再生画面左上のボタンを押すことで、チャプタリストが表示され、リストから任意のチャプタを選択する。一方のMLPは再生画面に表示される左右の矢印ボタンを押すことでチャプタスキップ/バックが可能だ。番組を見ながら気軽にCMスキップ、という操作においては、MLPのほうがシンプルで使いやすい。

 番組の後半まで一気にスキップしたい場合などは、DiXiMの方式も便利だ。また、MLPもチャプタ付きの番組の場合、再生画面にて向かって右側からスワイプすることで、チャプタリストの表示が可能となっている。

VAIO TV with nasneは非対応

 他社DTCP-IPアプリでの対応は進んでいるものの、ソニーのパソコン「VAIO」用のクライアント「VAIO TV with nasne」や液晶テレビBRAVIA「KDL-40HX850」のDLNA再生機能では、チャプタスキップは利用できなかった。チャプタ対応により、番組消化効率は大幅に向上するだけに、特にVAIO TV with nasneでは早期の対応を希望したいところだ。

レコーダとして完成度が向上。周辺環境の充実も魅力

 筆者は、Ver.2.10以前のnasneの専用BDレコーダに対するウィークポイントは、「チューナが1系統のみ」、「オートチャプタに対応していない」の主な2点だったとと考えていた。しかし、オートチャプタ対応によりウィークポイントが解消され、レコーダとしてのnasneの魅力はグッと高まったと感じる。

 もう一点のチューナ数については「複数台のnasneを同時利用する」というのがSCEによるnasne製品コンセプトの根幹なので、今後も変わらないと思われる。そうした意味では「レコーダ」としてのnasneはかなり完成形に近づいてきたのかもしれない。

 また、最近のnasneに感じる魅力は周辺環境の充実だ。DiXiM、MLP、Twonkyなどの周辺アプリも熟成され、安定性や操作性が向上したほか、番組持ち出しにも各アプリが対応。nasneを中心としたエコシステムが整ってきた。もちろん、他のDTCP-IP対応のBDレコーダでも事情は同じなのだが、nasne対応の優先順位が高く、アプリ側の対応が充実してきている。こうしたところも、「レコーダ」としての魅力がnasneの魅力向上の一端を担っていると感じる。レコーダとしての満足度が高まったので、個人的にはオーディオ製品において、“ハイレゾ”を推進するソニーグループ製品だけに、FLACやDSDなどのハイレゾファイル対応など、「NAS」としてのAV対応強化も希望したい。

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(臼田勤哉)