レビュー

ソニーの丸いBluetoothスピーカーが防水&ステレオ対応。ながら聴きが快適「SRS-X1」

 ソニーから6月21日に発売されたポータブルBluetoothスピーカー「SRS-X1」は、ボールのような形で手のひらにのるユニークなデザインが特徴。パッシブラジエータ搭載で低音を強化したほか、1台ではモノラルだが、2台用意すれば完全にワイヤレスなステレオスピーカーにもなるユニークな機能も持っている。

 球形のBluetoothスピーカーといえば、従来モデルの「SRS-BTV5」('12年)や「RDP-NWV25B」('11年)に見覚えがある人も少なくないだろう。今回のSRS-X1は新たに防水対応となったことで、浴室やキッチン、アウトドアなど利用シーンが拡大。NFCタッチ接続やAVRCP対応などの機能をひと通りカバーしつつ、防水やステレオ対応などの機能強化で、オールマイティなモデルとなって登場した。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は8,500円前後(1台)。このSRS-X1と、ウォークマンNW-F887やiPhone 5sなどを使って、家の内と外、様々な場所で音楽を聴いてみた。

ボール型スピーカーが大幅に機能強化

SRS-X1

 SRS-X1は、一見すると従来モデル「SRS-BTV5」(直販価格7,600円)と似た外観だが、サイズは約78×80.5mm(直径×高さ)で、BTV5の約65×67.6mm(同)から少し大きくなった。直径は野球の硬式ボールに比べ5mmほど大きいが、片手でも握りやすい。カラーはブラック、ホワイト、ピンク、バイオレットの4色。製品の型番は、同社Bluetoothスピーカーにおいて「X」を冠したシリーズの最小サイズで「X1」という、分かりやすいものになった。

 スピーカーユニットは天面の40mm径フルレンジ(BTV5は34mm)1基の。振動板を上に向け、上部のリフレクタで音を反射させることにより360度に音が広がる「サークルサラウンドステージ」を継承している。アンプ出力はBTV5の1.2Wから、X1は5Wに強化。さらに、本体下部にはパッシブラジエータを備え、低音の強化を図っている。なお、Bluetoothの音声コーデックはSBCのみで、AACやaptXの高音質コーデックはサポートしない。

手に持ったところ
こんな握り方もしっくりくる大きさ
本体カラーはブラック、バイオレット、ホワイト、ピンクの4色

 早速、ウォークマンのNW-F887でBluetooth再生を試した。Bluetooth 3.0対応で、NFCのワンタッチペアリングをサポート。ウォークマン背面上部のNFCロゴ部分をかざすと、問題無く接続、すぐに音楽を聴けた。同様にXperia Z1でもNFCペアリングできたほか、NFC非対応のiPhone 5sでは、通常のBluetooth接続と同様に、設定画面から操作して接続できた。

 音を聴いてすぐ分かるのは、このサイズでも低域がしっかり出ている点。このサイズの一般的なモノラルBluetoothスピーカーの音を想像していると驚かされる。ALTIMA「Here We Are〜Mountain Explosion」を聴くと、ウォークマンの本体スピーカーではシャカシャカしていた音から、一気に重みが生まれ、畳み掛けるような迫力を伴ったリズムに変わる。MAONのボーカルにも熱気が感じられ、低価格なスピーカーからイメージする軽く乾いた音からとは全く違うことがわかる。

ウォークマンとNFCでワンタッチペアリングした
Xperia Z1ともNFCでペアリングできた
ペアリングすると、下部のLEDが点滅から点灯に変わる

 天面のリフレクターで音を拡散させる無指向性のスピーカーだが、これは定位がはっきりしないフワッとしたサウンドではなく、どんな場所に置いても音が聴こえにくくなるといった問題が起きない。机の上など、耳より低い場所に置いても、低音を含めてしっかりと音が届く。あまり耳より高すぎる場所に置くと、せっかくの低音が損なわれてしまうので避けたいが、ユニットと正対しなくても、音がこもったり極端にバランスが崩れたりせず使いやすい。机から別室へ移動するときにスマホと一緒に持って、無造作にローテーブルへ置いても、聴こえ方が大きく変わることは無かった。

 ウォークマンNW-F887と接続したまま音質について細かくチェックしていくと、ボーカル+ギターorピアノといったシンプルな構成の表現は特に申し分なく、菅野ようこ×手嶌葵「Beacause」や、青葉市子「繙く風」などを聴いていると、小型スピーカーだということを意識させず、芯の通ったボーカルを近くに感じられる。

 一方、このサイズで大編成のバンドやオーケストラはちょっと厳しい。海上自衛隊東京音楽隊/三宅由佳莉による「交響組曲《高千穂》〜第2楽章:仏法僧の森」を再生すると、伸びのあるボーカルの再現はかなり健闘しているものの、さすがに小型スピーカー1台で全体のスケール感を表すのは難しい。とはいえ、簡単に持ち運べて“ながら聴き”できるスピーカーで、ここまで低〜高域のバランスを保って聴かせる力を持っているのは魅力的。欲を言えば、ボリューム調整の段階がもう少し細かければ、より部屋や楽曲に合った音量にしやすいと思う。

ユニット部
上部のリフレクターで360度方向に広げる
上から見たところ

 Bluetoothの対応プロファイルはA2DP/AVRCP/HSP/HFP。マイクも内蔵し、スマホのハンズフリー通話にも利用できる。本体側面には、ボリュームのほかに再生/一時停止や曲送り/戻しといったボタンも装備。X1を覆うように上から右手をのせると、ちょうど親指の位置に曲送り/戻しボタンがあって押しやすい。曲送りしたい時に、ウォークマン本体を持って側面ボタンを押す(またはロックを解除して画面タッチ)よりも、素早く操作できる。

側面に再生/一時停止や、曲送り/戻しボタン
反対側にボリューム増減と通話ボタン、マイクを装備
底面

 防水にも対応したので、家のお風呂でも使ってみた。X1の防水仕様はIPX5/7で、「入浴中にシャワーのお湯がかかったり、浴槽に落としても安心」とのこと。浴槽の縁に置き、湯につかりながら音楽やラジオなどを聴くと長めに入れて、半身浴などにも良さそうだ。X1は低音がしっかり出るので、シャワーをしながらでも音楽が全く聴こえないということはなかった。試しに湯船にもそっと入れてみると、低音は若干損なわれるが、浮かべたままで聴くこともできた。なお、45度以上のお湯に長時間ひたしたり、海水を掛けるのはNGなので注意したい。

浴槽の縁に置いてみた

 手持ちのスマホがiPhoneなど防水非対応機種で風呂場に持ち込めない場合も、X1はAVRCP対応なので曲送り/戻しなどの操作をスピーカー側から行なえて便利。防水対応スマホなら、動画を観ながらX1でリッチな音声を楽しむこともできる。

 キッチンで料理や洗い物をしながらといった使い方もできて、濡れた手でも躊躇せず操作できる。無指向性サウンドなので、カウンターキッチンのある家なら、スピーカーの向きを変えなくてもキッチンとダイニングで同じように音が聴けるだろう。

 ステレオミニの入力も備え、Bluetooth対応機器以外とも接続可能。ただし、ステレオミニ接続時は、背面のコネクタカバーを開けるので防水にならない点には注意したい。

推奨された使い方ではないが、本体はお湯に浮かんだ
ステレオミニ入力やUSB端子は背面カバーの内側

2台のステレオ再生でさらにいい音

SRS-X1を2台用意

 1台だとモノラルスピーカーだが、新たに2台をペアリングしてステレオ再生するという「ステレオペアリング」にも対応した。同様の機能は、以前レビュー記事を掲載したTDKの「TREK Micro A12」や、SiB「Wワイヤレス Bluetoothスピーカー」も対応しており、Bluetoothスピーカーにおける注目機能の一つといえる。

 X1でのステレオペアリングの手順は、まず2台を近づけて一方のX1の曲戻しボタンと、もう片方の曲戻しボタンを同時に長押し。ピピッという音がしたら、LEDが青く点灯した方(曲送りを押した方)を、通常操作と同じようにペアリング(NFCタッチ、または電源/ペアリングボタンを長押ししてスマホなど接続機器側を操作)するだけで完了する。青く点灯した方がRチャンネルで、白く点灯したほうがLチャンネルになる。一度やれば覚えられるシンプルな操作だ。

 一度ステレオペアリングすれば、例えばウォークマンからiPhoneへプレーヤーを変えたい場合は、R側のX1に対して通常の切り替えと同じペアリング操作でOK。最初の操作からやり直す必要は無く、ステレオペアリングを継続して利用できる。解除する場合は、X1の電源/ペアリングボタンを短押しする。

左右それぞれの曲送り/戻しボタンを同時に長押し
R側(LEDが青く点灯)にNFCタッチでペアリング
ステレオ再生になった
iPhone 5sはNFC対応ではないが、ステレオペアリングもできた

 製品サイトなどにステレオペアリングの詳しい仕組みは記載されていないが、試しにR側のスピーカーをプレーヤーから離れた場所に移動して接続を切る(電波が届かないようにする)とL側も切れるのに対し、L側だけを離すとR側はそのまま音が聴こえた。この点から推測すると、いったん全ての音楽信号をR側に伝送、そこからLチャンネル分だけをL側スピーカーに伝送しているのだろう。

 もちろん、聴いている限りでは左右に遅延は無く、ちゃんとステレオで聴ける。2台それぞれからL+Rミックスの音が出ているのではなく、LチャンネルにはLの音、RにはRの音が出ているのは、ステレオをハッキリ分けた録音をしている古めのジャズや、アレンジを聴かせたダンスミュージックなどを聞けば分かる。

 2台のX1でステレオスピーカーとして聞くと、当然ながら1台利用時よりも一段と広がりを持った音として聴こえてくる。音楽に没頭したい時なら、スピーカーではなくヘッドフォンで聴く人も少なくないと思うが、本でも読みながらBGMとして音楽やラジオを流すには、ちょうどいい存在感だと思う。

ステレオペアリング中は、LEDがR側はブルー、L側はホワイトに
13.3型ノートパソコンの左右脇に置いてみた

アウトドアや出張などでもすぐに“自分の空間”を作れる

 外にも持ち出して聴いてみた。普段、外でスピーカーを使って音楽を聴くことはほとんどないが、周りにあまり人がいない河川敷で芝生に寝転がって、アコースティックライブなどの落ち着いた音楽を聴くのは気持ちがいい。大音量で聴くのは周りに迷惑なので避けたいが、人のいない場所で試しにボリュームを最大にしても、試した限りでは音が割れることはなかった。バーベキューなど大人数の場所でも、置き場所を選ばず使えそうだ。また、防水なので雨や汚れなどの心配も不要。

河川敷に持ち出して聴いた

 持ち出して使えるのはもちろん屋外だけではない。使ってみたいのは、出張や旅行先のホテルなどで、落ち着いて音楽でも聴きたい時。スマホ本体のスピーカーではちょっと物足りないが、イヤフォンをずっと耳に着け続けていると時には外したくなる。X1があれば、簡単にその場所を“自分の空間”にできる。筆者の場合、夜寝るときにスマホでネットラジオのトーク番組(ワイワイしているようで実は中身の薄い感じの番組がベスト)を聴くとよく眠れるという習慣がついている。家ではベッドサイドのスピーカーとして使い、外出先のホテルでも同じようにラジオを聴ければ、外でも落ち着いて眠れそうだ。

様々な場所でレイアウトフリーで聴ける。ただ、芝生の上よりは、硬い石段の上の方が音は良かった
キャリングポーチも付属。もう少し持ち運びやすいデザインだとうれしい

 内蔵バッテリでの連続再生は約12時間で、1日外に持ち歩いても問題無く使えた。充電はUSB経由で、パソコンや別売USB-ACアダプタなどから給電しながら聴くこともできる。

 使ってみて感じたのは、SRS-X1はシリーズ最小サイズながら、低音を含めしっかり音楽を聴ける製品となっていて、ただのおしゃれなスピーカーとはあなどれない。置き場所や向きを選ばない気軽さもいい。腰を据えてじっくり聴くオーディオとは別ものとして、家の中でも置き場所をちょいちょい変えて、いつもそばに置いておきたい一台だ。読書や勉強、料理などをしながら使うのにベストな選択といえる。

 今回、特に気に入ったのはステレオペアリング再生。販売は1台ずつなので、2台を一度に買うのはちょっとした思い切りが必要だが、例えば2台セットのパッケージがあれば少し購入しやすくなると思う。そこに2個入るトラベルケースや、同時に充電できる2又のUSB-ACアダプタなどが付いているとさらに良さそうだ。直販限定などでもいいのでぜひ実現して欲しい。

Amazonで購入
SONY SRS-X1
(ホワイト)

SONY SRS-X1
(バイオレット)

Amazonで購入
SONY SRS-X1
(ブラック)

SONY SRS-X1
(ピンク)

(中林暁)