【スマホLIFE】iPhone用ジャケット型プロジェクタ「monolith」

-手軽に大画面を。予備バッテリにも


monolith。iPhone 4に装着した状態

 iPhone 4/4Sの画面は、高精細とはいえ、3.5インチという最近のスマートフォンに比べると小さく感じるサイズであることは否めない。写真や動画を表示したときに、もうちょっと大きく観たい、と思う人もいるのではないだろうか?

 かといって、DLNAやAirPlayを使って大型モニターで再生……というのも、場所が限られるうえ、ネットワーク環境構築の手間もかかるので、手軽とは言えない。iPhoneをプロジェクタにできないか? センチュリーの「monolith」はそんなニーズに応えた製品だ。直販価格は19,800円。



■ iPhoneをプロジェクタに。外部バッテリとしても利用可

 monolithは、iPhone 4/4Sに装着する形で利用するジャケット型のプロジェクタで、Dock接続したiPhone内の写真や動画を映し出せる。重量は97g、外形寸法は63.5×126.6×22mm(幅×奥行き×高さ)と、iPhone 4/4Sより一回り大きい程度の筐体で、最大65インチの映像を投影できる。デバイスはDLPでパネル解像度は640×360ドット。

 バッテリ容量は2,100mAhで、連続で約3時間動作可能。プロジェクタ利用時もiPhone本体のバッテリーをmonolithのために消費することはない。逆にこの内蔵バッテリからiPhone本体に給電でき、およそ1.5回分の満充電が可能な予備バッテリとして利用できる点も特長となっている。iPhoneのカメラレンズの付近だけが大きくえぐれた形状になっているため、monolithを装着したままカメラ撮影できるのもありがたい。

装着時に真横から見たとき。トータルの厚みはiPhone 4の2.5倍ほどiPhoneのカメラレンズが隠れないようにしたデザイン「monolith」のパッケージ
筐体の後方側にあるスイッチと充電用のmini USBポート

 本体後方側には、予備バッテリとして使用するか、プロジェクタとして使用するかをオン・オフするスイッチが設けられ、本体左側面にはプロジェクタのフォーカスを手動調整するためのダイヤルと、monolith内蔵スピーカーのボリューム調整ボタンがある。フォーカス調整ダイヤルは本体のほぼ底面に近いところにあるため、テーブルなどに置いたままでは調整しにくいことがある。その場合は、いったん本体を手で持って、投影距離が変化しないよう注意しながらフォーカスを調整し再び元の位置に置く、という操作手順になる。


自然に上向きに映し出される

 monolithを接地面と平行に置くと、映像はわずかに上向きに映し出される。本体は角度を調整する機構を備えていないので、さらに上向きにしたいときは、本体の底面前方に何かを置いて角度をつけるとよい。しかしながら、角度をつけなくても、最初から上向きになっているためか、大きく映し出すにつれて今度は映像の逆台形の歪みが微妙に目立ってくることになる。気になるときは本体の底面後方に何かを置いて前下がりに調整するとよいだろう。

 プロジェクタ機能のスペック上の明るさは12ルーメン、コントラスト比は1,000:1となっている。一般的なエントリーモデルのプロジェクタ専用機が数百ルーメン以上であることを考えると、12ルーメンというのは極端に低く感じられる数値ではあるが、投影距離を数十センチ程度にして映すのであれば、太陽光が直接差し込まない日中の部屋の中でも視認できるレベルだ。それ以上に大きく映そうとすると、部屋を暗くしなければやはり見にくい。

日中のやや薄暗い部屋の中で、壁から50cm離して投影。実測でおよそ10インチ相当。比較的はっきり視認できる日中のやや薄暗い部屋の中で、壁から1メートル離して投影。実測でおよそ21インチ相当。少し見にくい
日中のやや薄暗い部屋の中で、壁から2メートル離して投影。実測でおよそ44インチ相当。かなり見にくい真っ暗な部屋の中で、壁から2.9メートル離して投影。実測でおよそ63インチ相当。映像がくっきり浮かび上がる
イヤフォン端子の真下にプロジェクタのレンズが位置する

 ビデオ再生時の音声は、monolith内蔵のスピーカーから出力されるのに加え、iPhone本体のイヤフォン端子も利用できる。イヤフォン端子のすぐ真下にプロジェクタのレンズが位置しているため、映像を遮らないように注意する必要はあるが、イヤフォン端子から外部スピーカーに接続して高音質のサウンドとともに鑑賞する、といった楽しみ方もアリというわけだ。



■ プロジェクタ出力対応アプリと、表示時の注意点

 今回試してみた中で、プロジェクタで映し出すことのできた内容は以下の通りだった。

・iPhone標準の「写真」アプリでのスライドショー、ビデオ再生
・「iPhoto」アプリでの写真表示、ビデオ再生
・YouTubeのビデオ再生
・iTunesから入手できるムービーの再生
・Podcastのビデオコンテンツの再生
・「Good Reader」アプリでのドキュメント等の表示
・「Keynote」アプリでのプレゼンテーションのスライドショー

 上記のうち、「写真」アプリで対応しているのは、ビデオ再生と、スライドショーで写真を自動切り替え表示する時で、写真を手動で1枚1枚閲覧していくときはプロジェクタに出力されない。写真を1枚ずつ気ままに選びながら鑑賞したければ、有料ではあるが「iPhoto」アプリを使うとよいだろう。

 ちなみに、「media:connect」や「Media Link Player Lite」といったDLNAアプリでの映像再生を試してみたものの、プロジェクタでの出力には残念ながら対応していなかった。

見たい写真をすぐにプロジェクタで映し出せる「iPhoto」
「Good Reader」でPDFを表示したとき。解像度が低いため、大画面にしても文字や図形は見にくい

 プロジェクタのパネル解像度が640×360ドットということもあり、細かい文字や線の細い図形が含まれる文書を映すのには向いていない。「Good Reader」でPDFやテキストなどを投影しても、結局iPhone側でズームして大きく拡大表示しないと文字を読み取れないことが多いのだ。ただし、写真や動画を鑑賞する際には解像度の低さはほとんど気にならない。特に写真は、解像度よりは大画面で鑑賞できることのほうがメリットが大きいと感じる。動画においても、小さな文字テロップなどを読む必要がなければ、十分に迫力のある映像を楽しめるはずだ。

 なお、映し出した映像は縦方向に若干縮まり、本来の映像ソースとは異なるアスペクト比になる。また、投影する映像は必ず16:9の画角に合わせられ、たとえばiPhoneのカメラで撮影した横向きの写真はさらに横長に、縦向きの写真は左右に黒帯のある状態で映し出される。プロジェクタ自体を90度傾けると、iPhoneの画面内の画像はそれに応じて向きが変わるが、投影される映像内の画像の向きが変化することはない。


左がソース画像。プロジェクタに映すと縦にやや縮まったアスペクト比になる

 もう一つの注意点としては、プロジェクタの電源をオンにしていると、音声のみのコンテンツの再生時はスピーカーから音が出ないこと。イヤフォンを接続すれば問題なく聞こえ、アラーム音はきちんとスピーカーから再生されるが、iTunesでの楽曲試聴時や、「ミュージック」アプリでの楽曲再生時、ゲームアプリのプレイ時などはスピーカーから音が出ないのだ。

 プロジェクタ専用機のように、大人数が集まるパーティー会場で映像再生したり、会議室で書類を映し出したり、といった使い方はさすがに厳しいとはいえ、自宅で家族と一緒に思い出の写真や動画を観るといった用途であれば十分過ぎる性能をもっていると感じられる。

 ケーブル接続もせず部屋を暗くするだけで気軽に大画面を楽しめるので、友人宅に持って行き、撮影した写真をその場ですぐに披露できるのもうれしいところ。なにより、暗い中での大画面というのは、インパクトもさることながら、雰囲気づくりにも有効と思う。普段使いはもちろん、ここぞというタイミングでいい雰囲気になれるよう、常に懐に忍ばせておきたいアイテムだ。

【monolith】
発売元センチュリー
対応機器iPhone 4/4S
発売日2011年10月14日
直販価格19,800円

(2012年 4月 10日)

[ Reported by 日沼諭史 ]