スマホLIFE
iOSで人気のDTCP-IPアプリ「MLPlayer」がAndroidに登場
Nexusユーザーにオススメ「Media Link Player for DTV」
(2014/2/6 10:00)
アルファシステムズは、Android向けのDLNA/DTCP-IPクライアントアプリ「Media Link Player for DTV」(MLPlayer DTV)を1月29日に発売した。価格は900円。
MLPlayerは、iOS版が2013年8月にリリース済みだったが、その当時からAndroid版のリリースも明言されていた。アルファシステムズによれば、iOS版はiTunesのエンターテインメント有料アプリ(iPad App)部門でランキング1位を獲得するなどユーザーからの評価も高かったことから、予告通りAndroid版がリリースされることになった。
ただし、リリース当初のうちMLPlayerが利用できるAndroid端末はGoogleのNexusシリーズに限定され、スマートフォンはNexus 5/4/Galaxy Nexus、タブレットはNexus 7(2012)/7(2013)/10のみとなる。Nexus以外の端末でのインストールを試みたところ、Google Playの画面上で「対応していない」との表示がでてしまう。Galaxy NexusやNexus 7(2012)など古めの端末もサポートされている点は嬉しいが、Nexusユーザー以外には少々寂しいところだ。
アルファシステムズでは「ユーザーの要望を聞きながら、利用可能な端末を拡大していく」としており、今後の対応端末拡充が期待される。
利用できる機能はDTCP-IP対応サーバー/レコーダによって一部異なるものの、DTCP-IPを利用した番組のストリーミング再生、Android端末への番組ムーブ、放送中番組のライブ視聴といった機能が利用可能。なお、iOS版と同様に、ムーブした番組をPCへ一時的に預けるという機能も搭載している、
【訂正】
記事初出時に、「ムーブした番組をPCへ一時的に預けるという機能はAndroidでは搭載されていない」と記載していましたが、Androidでも可能でした。お詫びして訂正いたします。(2月6日追記)
Androidユーザーにとって新たなDTCP-IPアプリの選択肢
レコーダで録画した番組などをスマートフォンやタブレットから再生するDLNA/DTCP-IPクライアントアプリは昨年(2013年)からかなりの数が発売されてきた。現状、AndroidにおけるDLNA/DTCP-IPクライアントアプリは、MLPlayerのほかにパケットビデオの「Twonky Beam」(Twonky)、デジオンの「DiXiM for Android」(DiXiM)と全部で3つのアプリが存在する。ただし、DiXiM for Androidは特定の端末にプリインストールする形でのみ提供されており、ユーザーが任意に購入/インストールすることはできない。
そのためDiXiM非対応のAndroidで利用できるDLNA/DTCP-IPアプリは事実上Twonkyのみだったのだが、今回MLPlayerがAndroid向けにリリースされたことで、ユーザーにとって選択の幅が広がった。
MLPlayerとTwonkyを比較すると、機能面ではどちらもストリーミング再生や端末へのムーブ、ライブ視聴などの機能を備えているためほぼ同等。価格はTwonkyでDTCP-IPをオンにするための有料オプションが700円、MLPLayerが900円と、MLPlayerが200円高くなっている。
対応Androidは前述の通りMLPlayerはNexusシリーズのみ、TwonkyはNexusシリーズを含むさまざまなAndroid端末も動作確認済み。対応レコーダやサーバーはMLPLayerがソニー、パナソニック、東芝、SCE(nasne)に対し、Twonkyはシャープ製品にも対応している。
ただし、パナソニックとソニー製品についてはMLPlayerのほうが対応機種は多く、パナソニックはDIGAのほかにVIERAやセットトップボックス、ソニーはブルーレイレコーダのほかBRAVIAにも対応しているなど一長一短だ。実際のところは自分がどんなサーバー/レコーダとAndroid端末を使っているか、が鍵となるだろう。
カタログスペックだけで比べると機能はほぼ同等、対応端末状況は一長一短というところで、大きな違いは実際にアプリを操作する際の使い勝手と言えるだろう。今回はTwonkyと比較しつつ、MLPlayerの使い勝手をチェックする。
基本操作はiOS版とほぼ同等。わかりやすい操作インターフェイス
MLPalyerの利用には、アプリのインストールに加えてインターネット経由でのネットワークアクティベートが必要。アクティベートの設定自体は初回起動時に表示されるガイドに従って進めるだけでさほど難しい点はない。
ガイドにはアクティベートのほかにアプリ操作の説明や利用時の注意事項も合わせて表示され、root取得済みのAndroidや開発者オプションでUSBデバッグがオンになっている端末では動作しない旨が記載されている。root取得済みはともかくUSBデバッグオンに設定したのを忘れている場合などは気をつけよう。
アクティベート後は同一ネットワークのDLNA/DTCP-IPサーバーが一覧表示され、サーバーやフォルダを選択していくだけで動画を再生できる。端末へムーブする際は該当の動画を左から右へフリックすることで可能。ムーブ済みの番組は右上のアイコンを選択することで切り替えられる。これら操作方法やインターフェイスはiOS版とほぼ同様だ。
放送中番組のライブ視聴は対応サーバー/レコーダが必要。対応機器であるnasneの場合は端末を選択後、「ライブチューナ」から視聴が可能だ。ライブ視聴中は画面を右から左にスワイプすると放送中の番組を一覧表示し、録画番組の場合は同様に画面を右から左へスワイプすることでチャプタを表示できる。nasneが2013年12月のアップデートで対応したチャプタ機能もMLPlayerでも問題なく利用できた。
再生まで数秒程度とレスポンスは良好
再生中の機能は非常にシンプルで、再生と一時停止のほかに再生品質の切り替え、スキップ機能が利用可能。スキップは早送りが30秒、早戻しが10秒に設定されており、秒数の変更はできない。
IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応したASUS製無線LANルータ「RT-AC68U」を利用し、nasneのDRモードで録画した番組をNeuxs 7(2013)から視聴したところ、再生開始までは3~5秒、早送りや早戻しなどのスキップは2~3秒程度で動作。DRモードで録画した1時間番組のムーブは2分半で完了した。iOSでの使用感に比べると若干遅いが、実使用レベルでは大きな差を感じず、快適な操作が可能だ。
画面を右から左にスワイプすると利用できるチャプタは、すべてのチャプタが一覧表示され、現在自分が見ているチャプタは青い文字で確認できる。また、30秒/-10秒ボタンをダブルタップすることで、チャプタ単位でのスキップも行なえる。
再生品質の機能は対応レコーダのみで、残念ながら筆者の使用しているnasneでは「中 AVC」という画質が表示されるのみで変更できなかった。アルファシステムズによればパナソニックの「DIGA」など対応機種であれば「720p」、「320p」など画質を変更することができ、動画の再生がカクつく場合は再生品質を落とすことで滑らかな再生が可能だという。
視聴関連以外で設定できる機能は持ち出し番組の保存場所とベースカラーの変更、全プログラムのオンオフ表示程度。わかりやすいインターフェイスをベースに、テレビ番組を見ることにひたすら特化した作りになっている。
Twonkyと比較。操作体系はほぼ変わらないがレスポンスはMLPLayerが上
ここまでMLPlayerについて見てきたが、同じDTCP-IPアプリの競合Twonky Beamの使い勝手も簡単にチェックしてみよう。2013年9月にUIをリニューアルしたTwonkyは、リニューアル以前と比べて画面が整理され非常にわかりやすくなった。
起動時には「外部機器コンテンツを持ち出し」「本体内コンテンツを再生」「ホームネットワーク上のコンテンツを再生」と、目的に合わせて機能を選ぶ仕組み。なお、TwonkyではYouTubeなどのインターネット動画を視聴できる「インターネット動画を再生」という機能も用意されているが、今回はDTCP-IPアプリのレビューということで割愛する。
目的に合わせて項目を選択したら、あとはサーバー一覧からフォルダや番組を選ぶという流れはMLPlayerと同じ。テレビ番組のライブ視聴も「ホームネットワーク上のコンテンツを再生」項目から可能だ。ただし、同じ動画一覧から再生もムーブも選べるMLPlayerに比べると、ムーブの一覧からは再生できず、再生一覧からはムーブできないというTwonkyはやや使いにくさを感じる。
再生時のインターフェイスは、再生/一時停止と30秒の早送り、10秒の早戻し機能を搭載しており、画質選択を除けば機能はMLPLayerとほぼ同等。ただしレスポンスに関しては、MLPlayerと同等の環境からNexus 7(2013)で視聴した場合、動画の再生開始までに10秒、スキップは1秒と大きな違いがあった。スキップに関しては非常に早いものの、再生開始は10秒もあるとかなり待たされる感がある。また、DRモードのムーブに関しては、1時間番組のダウンロードに約7分30秒と3倍近い差がついた。
Nexusシリーズのユーザーにお勧めのアプリ。今後の対応端末拡充に期待
機能はほぼ同等、操作インターフェイスもTwonkyに若干のクセがあるもののほぼ変わらない。価格面で比較するとTwonkyのほうが200円安く、その分レスポンスはMLPLayerのほうが快適、というのが大まかな比較になるだろう。
しかし、実際に考慮すべきは対応端末の問題だ。そもそも現状MLPlayerを利用できるのはNexusシリーズのユーザーのみのため、MLPlayerとTwonkyで悩むことになるのは、Nexusシリーズユーザーのみということになる。TwonkyのNexusシリーズ対応状況はMLPlayerと比べると弱く、現状はスマートフォンのGalaxy Nexus、Nexus4/5が動作確認端末として入っていない。
タブレットのNexus 7/10については動作確認に入っているものの、最新モデルであるNeuxus 7(2013)はさらに注意が必要だ。TwonkyのWebサイトを見ると、1つ前のモデルであるNexus 7(2012)に比べ、Nexus 7(2013)では東芝とシャープ製品に対応しないほか、パナソニック製品もムーブのみ対応でストリーミングに対応していない。ソニー製品は2012モデルと2013年モデルで対応状況が変わらないものの、nasneに関しては2013年モデルでは3倍モードに非対応という違いがある。
一方、MLPLayerではNexusシリーズを公式サポートしているためこういった問題はなく、Nexus 7(2013)でも問題なくnasneの3倍モードを再生できた。対応レコーダやサーバーによっては問題なく使えるとはいえ、基本的にNexusシリーズのユーザーはMLPLayerを選ぶのがよさそうだ。レスポンスも良好で使いやすいインターフェイスを備えていることもあり、ぜひ今後はNexusシリーズ以外にも対応を広げて欲しい。