大河原克行のデジタル家電 -最前線-

“LUMIX初のプロ向け”、「GH5」を産んだ新体制でデジカメ事業を加速させるパナソニック

 パナソニックは米国時間の4日、「CES 2017」のプレスカンファレンスにおいて、ミラーレス一眼カメラ「DC-GH5」を正式発表した。米国での発売時期は3月下旬で、ボディのみの価格は1,999.99ドルを予定している。パナソニック AVCネットワーク社イメージングネットワーク事業部・山根洋介事業部長に、GH5の狙いと新たな組織体制におけるLUMIX事業の取り組みについて聞いた。

DC-GH5

 山根事業部長は、「GH5は、LUMIXが初めてプロフェッショナルをターゲットに開発した商品。GH4の1.3倍~1.5倍の出荷を目指す」と意気込む。パナソニックのデジタルカメラ事業は、2017年4月の組織再編にあわせて、AVCネットワーク社からアプライアンス社に移管。新たな体制でLUMIX事業を加速させることになる。

パナソニック AVCネットワーク社イメージングネットワーク事業部・山根洋介事業部長

“プロが使える”LUMIX「GH5」。VARICAM向けチップを先行導入

--2016年9月に、ドイツ・ケルンで開催された「フォトキナ2016」で開発発表を行なった「DC-GH5」が、CES 2017において正式発表となり、2017年3月に発売されることになりました。LUMIXにとっても大きな進化と言える商品ですね。

山根事業部長(以下敬称略):GH5は、OLPF(光学ローパスフィルタ)レスの新たな「20M Digital Live MOSセンサー」を搭載するとともに、解像力、高感度、色再現性を向上し、質感描写や写真画質を進化させた新たな「ヴィーナスエンジン」も搭載。そして、より高精度になったDFD(空間認識技術)の採用や、OLED(有機EL)による新たなEVFも採用するなど、すべての主要デバイスを一新し、LUMIX史上最高となる写真画質と、圧倒的な動画性能を実現した、映像表現を革新するハイエンド・ハイブリッドミラーレスカメラと位置づけています。

 プロフェッショナルユースにおいても、「これは使える」と言っていただける商品に仕上がったと自負しています。GH5では、4K 60p記録とともに、4:2:2 10bit 4K30p記録に対応。特に映像制作に携わる方々に喜んでいただける商品だといえます。

 振り返ってみますと、GH3から映像制作に携わる方々にも響いてきたな、という手応えはあったのですが、GH4によって、4K対応を実現し、これによって、北米を中心にした海外で、動画に対する強いニーズがあることを感じました。そこで、GH5では、GH4発売後に、ユーザーから寄せられた「こんな機能が欲しい」という要望を取り入れ、とくに、4K 60p記録については、パナソニックの新たな挑戦として最優先で取り組みました。

 ミラーレス一眼カメラで世界初となる4K 60pでは、圧倒的な強みを発揮できると考えています。4K 60pの新たなコーデックを自社で開発し、さらにVARICAMで実績を持つプロフェッショナル向けの4:2:2 10bit 4K30pも、GH5に取り込みました。VARICAMの開発メンバーも、GH5の開発に携わっており、これによって、プロフェッショナルが求める動画性能を実現することができました。

 今回、GH5のために開発したチップは、今後、VARICAMにも展開していくことになります。実は、フォトキナで発表後、Inter BEEが開催されたのですが、このときに、パナソニックブースでは、GH5の展示を見送ったのです。すると、ビデオグラファーをはじめとした映像制作関係者から、「なぜ展示をしなかったのか」とお叱りの声をいただいてしまいました(笑)。これは、動画制作に携わる方々からの反応が高かった証ともいえます。これまでは、放送局向けの映像機器は、1,000万円を超えるような機材ばかりでしたが、普及価格帯の商品が登場する一方で、今回のGH5のような商品が登場することで、映像制作にも利用できる新たな機器が広がろうとしています。

DC-GH5

--GH5の開発で苦労した点はどこですか。

山根:最も苦労したのはプラットフォーム開発です。GH4でも新たなプラットフォームを開発しましたが、GH5ではエンジンに使用したゲート数の規模が、GH4の3~4倍になっています。4K 30pから4K 60pになると、それだけで2倍のパフォーマンスが必要になります。言い換えれば、それに伴う発熱の問題をどう解決するのか、という大きな課題が生まれたともいえます。

 決められた筐体サイズの中で、ハイパフォーマンスでエンジンを動作させたときに、発熱をどう抑えるのか。GH4と同じ考え方では、とても解決できない課題でした。実は、GH5のエンジンは、GH4と同じ28ナノメートルのプロセスルールを活用しており、それでいて、発熱の問題を解決しています。この技術は、業界内では「あり得ない」という声が出ているほど革新的なものです。

 そして、このカメラ筐体の中で、熱問題をどう解決するのかといったことも苦労の連続でした。熱シミュレーション技術はパナソニックの得意とするところですが、これまで以上に徹底的にシミュレーションを行ない、部品の材質や、配置場所なども見直しました。

 GH5の容積は、GH4に比べて12%増となっていますが、最初は2倍にしないと入らないと思っていたほどですから(笑)、大きく改善されたといえます。

 もともとGH4は、海外で売れた商品で、その人気が日本に逆上陸したともいえます。海外で利用されることを考えれば、もう少し筐体が大きい方が、むしろ、しっくりくるだろうと考え、GH5は、それを前提としたサイズにしています。実際、プロカメラマンの声を聞き、このサイズならば大丈夫だという感触も得ています。12%増というサイズに収めることができたことで、より使い勝手のいいサイズを実現することにつながったといえます。

 上部に丸みを帯びた部分がありますが、これも熱を逃がすための工夫であり、デザイン性を維持しながら、効率的な熱処理を実現しています。熱対策では、熱源をどこに持って行くのか、発生した熱をどう拡散するか、拡散した熱をどう外に逃がすのかといった3つの要素が大切ですが、それを熱シミューションによって、筐体設計、回路設計に落とし込み、この筐体を完成させました。

 GH5を完成させることができた最大の功労者は、機構設計や電気設計のエンジニアたちだといえるかもしれません。さらに筐体づくりでは、信頼性についても追求しています。マグネシウム合金による外装、防塵および防滴対策、マイナス10度までの耐低温、20万回のシャッター耐久回数など、撮影者が安心して使ってもらうための必要とされる信頼性の実現に取り組みました。

 実は、GH5の開発に当たっては、多くのプロカメラマンにヒアリングをしました。我々は、カメラの作り手ではあるが、使い手ではありません。そこで、使い手が求めているものはなにかということを徹底的にリサーチし、それを商品化に反映しました。目をつぶっていても操作ができる使い勝手の良いインターフェースを実現したり、よく使われるレンズとの相性や重量バランスを見て、「これならば使いやすいな」と言っていただけるような工夫もしています。

 作り手は、使い手から学ぶことが大切です。GH5は、多くのプロカメラマンの声を反映して完成させた商品だということができ、我々にとっても、これまでのカメラのなかで、一番こだわって開発したものだといえます。実は、社内では、GH5の開発プロジェクトを「ゴッホプロジェクト」と呼んでいました。

--「ゴッホプロジェクト」の名称には、どんな意味があったのですか。

山根:「GO」と「GH」を組み合わせて、「GOGH(ゴッホ)」と命名しました。2015年11月に、私がBU長になったときに、このプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトには、要素技術の開発者、商品設計、商品開発、サービス、マーケティング、品質管理、製造などのあらゆる部門から30~40人の社員が参加し、この商品をお客様にお届けして、満足してもらうためにはどうするのか、といったことを全員で議論し、今週はなにをどこまでやるのかを決めて活動をしてきました。これが、短期間での商品開発につながっています。

--「ゴッホプロジェクト」で目指したのは、どんなカメラづくりですか。

山根:これまで以上にプロカメラマンを意識した商品づくりを進めました。たとえば、サービス部門の社員がプロジェクトに入ったのは、プロカメラマンに対するサポート体制をどう構築するのか、どんなサポートが求められているのか、といったことなども視野に入れていたからです。これは、2017年以降に取り組むテーマになりますが、カメラを仕事に利用する人たちに対して、パナソニックは、どんなモノづくりと体制づくりをすべきかということを目指しています。

 言い換えれば、GH5は、パナソニックが初めてプロフェッショナルを対象にして開発した商品ともいえます。GH5の投入が、「パナソニックはカメラメーカーの1社に名乗りをあげた」と宣言できるものにしたいと思っています。いま、スマホの登場により、カメラの世界が大きく変化してきています。裾野が広がれば広がるほど、エントリーで画像を楽しみたい人と、きちっと撮影して、カメラを楽しみたい人とに2極化していきます。

 パナソニックが開発しているのは、プロフェッショナルやハイエンドユーザーに届けたい商品です。これから写真を撮影することを楽しむ世代において、一眼レフカメラが主流になるのかというとそうとは限りません。ミラーレスの進化は、一眼レフカメラが持っている機能、性能を凌駕しつつあり、同時に、プロフェッショナルが使えるものが揃ってきたといえます。その点では、パナソニックにとって大きなチャンスが生まれているともいえます。

4K 60pが変えるもの

--GH5で実現する「4K 60p」の世界になると、どんなことが起きるのでしょうか。

山根:4K 30pでは、動画再生時に、どうしてもカタカタ感が起きてしまいます。しかし、4K 60pでは滑らかな映像が実現できるようになります。これからの4K映像の制作では、60pが必須になってくるのではないでしょうか。そして、将来的には、120p、240pという世界になってくるでしょう。240pになれば、人間の目で見る限界のところにまで到達しますから、パソナニックも、そこを目指していくことになります。

DC-GH5

--GH5では、1,800万画素による6Kフォトも特徴のひとつですね。

山根:4Kフォトを実現したGH4では、1秒間に30コマだったものが、GH5では60コマになりますから、これだと思ったものが、これまで以上に切り出しやすくなります。そして、6Kの解像度により、A1サイズに引き伸ばしても、圧倒的ともいえる画質を実現できます。6Kフォトと4K 60pの組み合わせは、プロカメラマンからも高い評価を得ており、「サブカメラとして活用できる」といった声や、「これからは、商売道具になりうる」といった声があがっています。

 中でも、「このシーンだけは逃せない」という場合に、GH5を使いたいという声があがっています。いまは、静止画だけでなく、動画制作のビジネスも行うというプロカメラマンが増加しています。静止画の性能だけでなく、動画制作も可能なカメラとして、GH5は高い性能を発揮できる点が大きな特徴になります。

--他社のハイエンドデジカメと比べて、GH5が優位といえる点はどこですか。

山根:ひとことでいえば、機動性です。スピード感と言ってもいいかもしれません。たとえば、動物でも、クルマでも、高速で走るものや、狙ったものに対して、しっかりと高速でピント合わせを行ない、手ぶれ補正も補正範囲が広く、高い精度で働き、さらに、撮った画質は限りなくきれいでなくてはいけない。そして、機動性を実現するための小型、軽量が求められる。こうしたところに、GH5の強みが発揮できるといえます。

組織変更の狙いとLUMIXのこれから

--一方で、パナソニックでは、2017年4月1日付けで、AVCネットワークス社の名称を、コネクテッドソリューションズ社に変更するとともに、デジカメについては、コンシューマ向けムービー、ドアホンなどとともにアプライアンス社に移管します。この狙いはなんでしょうか。

山根:パナソニックのデジタルイメージング事業は、2016年4月に、プロフェッショナル向け製品とコンシューマ向け製品の組織を、ひとつに統合した経緯がありました。双方の製品に共通技術が増えてきたこともあり、その方が開発効率が高まると判断したためです。

 BtoBとBtoCでは、それぞれが見えない壁を作りがちで、それを打破するという狙いもありました。しかし、数カ月やってみると、コンシューマ製品では、開発、製造、販売を一体化した体制が必要であり、プロフェッショナル向けには、もっと業界に向いた形で事業を推進していく必要があると感じました。コンシューマ向けとプロフェッショナル向けでは、それぞれにマーケティング部門が異なり、とくにコンシューマ製品では、BtoBを担当するAVCネットワークス社で開発、製造したものを、アプライアンス社において販売、マーケティングを担当する分離型の体制となっていました。

 だが、ここが一体にならないと、本当にいい製品を届けることができない、と感じたわけです。そこで、コンシューマ向け製品の開発、製造については、アプライアンス社に移管して、開発、製造、販売が一体となった体制とし、一方で、プロフェッショナル向けにはコネクテッドソリューションズ社を通じて、業界にしっかりと向いた形で、販売、マーケティング活動を行っていくように再編します。

 しかし、「技術そのものは共通で作る」という考え方そのものに間違いはないと思っていますので、その姿勢は維持していくことになります。具体的には、先行要素技術の開発はアプライアンス社に一本化し、商品開発や製造はそれぞれのカンパニーで行ない、営業およびマーケティングもそれぞれのカンパニーで行なうという体制になります。

--商品別には、VARICAMがコネクテッドソリューションズ社、LUMIXがアプライアンス社ということになりますね。LUMIXがアプライアンス社に移行することでのメリットはなんですか。

山根:これまでは、AVCネットワークス社の立場から、アプライアンス社のマーケティング部門に対してお願いするような形でしたら、直接、指示をするわけにはいかないですし、その実績に対する評価も、こちらから行なうことができませんでした。つまり、言いたいことがいえないという状況にあったともいえます。

 これは逆の立場でも同じで、アプラアンス社からも言いたいことがあっても、AVCネットワークス社のイメージングネットワーク事業部に対しては言いにくいジレンマがあったようです。こうしたことが解消され、顧客や販売パートナーの声が、直接、開発、製造現場に届くような環境が構築されることになります。

--しかし、今回発表したGH5のようなプロフェッショナルユースを強く意識した商品が登場すると、アプライアンス社に移管することがマイナス要素にはなりませんか。

山根:私は、それほどマイナス面はないと感じています。組織は、融合しなければいけないタイミングと、その実績を活用しながらそれぞれの顧客に対応するために分離するというタイミングが交互に訪れることが多く見受けられます。そうしたなかで、今回の組織再編が実行されたと理解しています。

 アプライアンス社で作り上げた商品を、プロフェッショナル向けに展開していくということはマイナスにはならないと考えていますし、この約1年の取り組みを通じて、放送局などを対象にしたプロフェッショナル向け施策については、それが成果として、業界にかなり浸透をしはじめたと思っています。

 その点では、今回の組織再編は、いいタイミングだといえます。しかし、放送局関連以外の市場については、これから強化していかなくてはいけない領域ですし、そこにGH5といった新たな商材を提案していく必要もあります。仕組みとして残しておいた方がいいものは残し、変えた方がいいものは変えるということになります。

--アプライアンス社の本間哲朗社長からは、すでになにか言われていることはありますか?

山根:2020年に向けた、ミラーレスカメラの今後の成長戦略を描くように言われています。これは、デジカメ事業の存続、発展のためにどうするかといった方向性を示すものであり、どのカンパニーにいても、やらなくてはならないことではあります。

 ただ、アプライアンス社に移ることで、コンシューマ向けの営業およびマーケティング部門が一緒になりますから、より効果をもたらす形で戦略を考えることができます。そして、販売側からも、市場の意見をもとにした提案が出ることを期待しています。アプライアンス社では、テレビをはじめとする黒物家電、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電もやっているわけですが、そうした商品と組み合わせることで、撮影したものをどのように貯めて、どのように見せるかというところでの連携も考えていきたいですね。

 LUMIXは、2016年に、第1号機の発売から15周年を迎えましたが、それを記念して、12月23日までの期間、世界遺産である京都の東寺で写真展を行ないました。ここでは、4K/HDR対応のVIERAを使い、LUMIXで撮影した写真を鑑賞してもらうようにしました。これも、撮影したものをどう見せるのか、どう感動を与えるのかといった取り組みのひとつですが、アプライアンス社のなかで、提案の幅を広げる取り組みのひとつにも位置づけることができます。

 また、デジタルサイネージとの連動をどうするのかといった点では、今後は、コネクテッドソリューションズ社との連携もキーになると考えています。

--GH5のような新たな商品が登場し、さらに組織も変化するなかで、パナソニックにおけるLUMIXの位置づけに変化はありますか。

山根:パナソニックは、新たなデジタル時代に向けて、LUMIXによって、写真文化をしっかりと築いていくという方向性には変化がありません。手ぶれ補正をコンパクトカメラに初めて採用したのはパナソニックですし、ミラーレスカメラを初めて投入したのもパナソニックです。また、DMC-CM1でコミュニケーションカメラという新たなカテゴリーを創出したのもパナソニックです。

 新たなものを市場に問いかけ、それが世の中のスタンダードになっていく事例をこれまでにたくさん作ってきました。業界の「モルモット」として最先端の技術を取り込んでいくという姿勢はこれからも変わりません。ただ、モルモットとはいえ、自分でしっかりと餌を食べられる環境を作らなくてはなりません(笑)。自活できる事業であることは最低限の条件となります。その点でも、パナソニックにおけるLUMIXのポジションには、これからも変化はないといえます。

--2017年のLUMIXはどうなりますか。

山根:振り返れば、2016年のパナソニックは、付加価値の高いカメラに特化した製品戦略を推進してきました。その本気ぶりは、GH5だけでなく、GX7MK2、GX8、FZH1といった製品からも感じていただけると思います。たとえば、FZH1の動画性能は、GH4の性能を超えており、一部のコアユーザーからは、その点が高い評価を得ています。高付加価値商品によって、ハイエンドユーザーに使ってもらえるような商品にシフトしてきたのが2016年だといえます。

DMC-FZH1

 では、2017年はどうなるか。私は、GH5が爆発的な売れ行きをみせると信じています。GH4も、計画に対して、2倍の売れ行きをみせ、発売当初は品薄になるほどでしたが、GH5では、GH4をはるかに超える販売台数を予定しています。GH4の1.3倍~1.5倍は販売したいと考えています。北米、欧州といった海外での反応がよく、それに次いで、日本での需要が高いという順番です。とくに北米はハリウッドでの人気が高いですね。

 2017年は、GH5を皮切りにして、「濃い」ユーザー層に、アプローチしていきたいと思っています。こうした需要層にしっかりと向き合っていきたい。まずは、2017年はGH5で勝負をしますが、それ以外にもいくつかの商品を投入する予定です。ミラーレス一眼カメラと、レンズ一体型カメラでのラインアップを強化して、市場が縮小するコンパクトカメラから、パナソニックの強みが生かせるミラーレスカメラへと、どうシフトしていくかが生き残りのポイントになります。

 これまでのLUMIXは、マイクロフォーサーズの特徴を生かすことで、小型で、軽量で、スナップ写真を撮るには最適なカメラという提案でしたが、そこから脱却して、カメラを仕事で使うプロフェッショナルの人たちとしっかりと向き合う1年にしたいと考えています。サードパーティーを巻き込んだ形で、レンズのラインアップを広げ、プロフェッショナルに認めていただける商品へと進化する最初の1年にしたいですね。

DMC-CM1

--ところで、コミュニケーションカメラの「CM1」の進化はどうなりますか。

山根:CM1は一定量の販売実績を達成しました。現在、市場からのフィードバックを得て、次のコミュニケーションカメラを模索している段階にあります。一定の市場ニーズがあることはわかったのですが、投資が大きい商品ですから、このままの数量では投資を回収できないのも事実です。2017年に、次期モデルを投入するのは難しいかもしれませんが、どこに広がる可能性があるのかを見定めながら、次のコミュニケーションカメラの姿を模索しているところです。ただ、GH5の開発には、CM1の開発に携わったエンジニアが関わっていることからもわかるように、いまは、GH5のような商品開発を優先しているところです。

大河原 克行

'65年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、20年以上に渡り、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。 現在、ビジネス誌、パソコン誌、ウェブ媒体などで活躍中。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、クラウドWatch、家電Watch(以上、ImpressWatch)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp (アスキー・メディアワークス)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)など