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第135回:極薄3D REGZA「46F1」の実力を探る

デザインコンシャスな3D対応新シリーズ



46F1

 東芝は2010年1月のCESのタイミングでは「3Dは次期CELL REGZAで」というアナウンスをしていたのだが、並み居る競合メーカーの3D参入に触発されたのか、今夏、3D対応モデルとしてZG1シリーズとF1シリーズを投入してきた。

 ZG1はCELL REGZAを除く、レギュラーREGZAしては最上位に位置する機種で、これまでのZ系型番の系譜を受け継ぐものになる。

 今回の大画面☆マニアで取り上げるF1シリーズは、2D-3D変換などを省いており、3D対応モデルとしてはZG1の下のベーシック機といえるが、最厚部29mmのスリムデザインを採用し、表示面と額縁部をシームレス処理するなど、デザインコンシャスなユニークなモデルとなっている。

 この薄さで、これまでのREGZAらしい2D画質がどのくらい継承されているのか、新機能の3D画質はどうなのか、見ていくことにしたい。



■ 設置性チェック〜最薄部17mm。最厚部29mm。表示面と額縁がシームレス処理されたスレート風デザイン

 冒頭でも述べたように、REGZA F1シリーズは、3D対応型であると同時に、デザインコンシャスモデルでもあるユニークな製品となっている。

 これまでREGZAは、どちらかといえば機能面の方が最重要視されてきた経緯があるが、F1シリーズは、その趣を若干変えて来た印象を与えている。

薄型のボディデザインが特徴。REGZA F1シリーズはデンマーク出身の工業デザイナーJacon Jensenオフィスによるものだとのこと

 さて、「デザイン重視」ということで外観に目をやると、いやおうなしに目がいくのが最薄29mmという薄さだ。今回評価したモデルは46型の46F1だったが、1,092×29×663mm(幅×奥行き×高さ)というディスプレイ部の大きさからするとその薄さが一層際立って見える。ちなみに、この29mmという値は最も厚い部分で、最薄部に至っては17mm程度だ。スタンドを含む外形寸法は1,092×288×735mm(幅×奥行き×高さ)。

表示面と額縁部の段差がないシームレス処理がなされている

 一枚の石板のように、液晶の表示面とベゼル面との境界をシームレスにしており、表示面に一切の段差がないため、まるで巨大なiPadのようだ。

 本体が薄い分、本体重量もなかなか軽く、ディスプレイ部だけで21.5kg、スタンドを含んでも24.5kgしかない。とはいえ、1人で運ぶにはまだ重い。

 梱包時にはディスプレイ部とスタンド部と、両者を接合する“首”の部分が分解されているため、設置の際にはちょっとした組み立て工程が必要になる。組み立てには、先が太めのプラスドライバが必要になり、軽いとはいえディスプレイ部は20kg以上なので、傷を付けずに組み立てする際には細心の注意を要する。ディスプレイ部にまず首を接合し、この後スタンド部に合体させるという工程で組み立てることになるのだが、首パーツの取り付け時、表示面を下側にして一度ディスプレイ部を床置きする必要がある。この際には柔らかい毛布などを敷いて臨みたいところ。

スタンド部は、一見すると可動部がなさそうに見えるがちゃんと左右15度ずつ首振りさせることができる

 なお、付属スタンド以外の純正オプションとしては、壁寄せ設置が出来るスリムスタンドの「FPT-KY5A」や、壁掛け設置用取り付け金具の「FPT-TA14」がラインナップされている。

 実際に設置してみて感じるのは、額縁の細さだ。薄型テレビは、これまで、額縁の太さが、なんとなく見る者への威圧感を醸しだしていたように思うのだが、46F1では、これがなく、ほとんど映像が中空に浮いているような感覚で見られる。実測してみると上下約37mm、左右約35mmで、最近の液晶モニターと比べればそれほど狭いわけではないが、画面の大きさとの比率のせいか、とても細く見える。

 表示面は、クリア(光沢)加工になっており、表示面側への映り込みはそれなりにある。照明を暗くした部屋での暗部の沈み込みや、表示映像のフォーカス感を重視したためで、むしろ「メーカーとしてのこだわり」が現れている部分なのだが、いずれにせよ、設置位置に相対する箇所に窓や照明が来ることは避けたいところだ。

表示面側にガラス面がある関係で周囲の映り込みはやや強めだ

 こうして極まった薄型デザインのテレビで心配になってくるのは音質だろう。

 REGZA F1シリーズでは、スピーカーは本体下部に下向きに設置されており、いわゆる薄型デザインテレビの定番の実装方式になっている。

 設置されているのは左右の下部と中央の3箇所で、左右にはマルチボイスコイルを採用した幅20mm×65mmのスリム型フルレンジスピーカーユニットを2基ずつ、左右合わせて4基実装している。このメインスピーカーはマイカ混紡パルプ素材の振動板とネオジウムマグネットによる強力な磁気回路がウリだそうで、片チャンネル10Wの出力性能を有している。中央に配された60mm径のスピーカーは、低音と中音域を担当するミッドレンジで、こちらも出力は10W。REGZA F1シリーズは、サウンド性能としては総計30Wの総出力を持つことになる。

 実際の出音に耳をやると、それこそ、この薄型ボディからは想像できないほど力強い音であることを実感できる。低音がとても力強い。ただ、中高音域の伸びが物足りないのと、スピーカーの開口部が下向きのためか定位感がどうしても下に来てしまう感じなのが玉に瑕だ。中高音域の伸びについては、イコライジング機能で高音を「+10」くらい強調してやるといくらかバランスは良くなるので気になる人は試してみるといいだろう。薄型デザインと音質の関係性の改善はまだまだ進化の余地がありそうだ。

 46F1の消費電力は178W、年間消費電力量は160kWh/年とエッジLEDライト型の優位性からか、かなり優秀なエコ性能を発揮できている。ちなみに直下型LEDライトを採用した2009年秋冬モデル「46ZX9500」では消費電力290W、年間消費電力量258kWh/年であった。

 


 

■ 接続性チェック〜薄型でも接続端子ラインナップに妥協はなし。S端子は消滅

側面接続端子 背面接続端子

 最薄部17mm、最厚部で29mmというこの「46F1」。昔の常識で考えれば、チューナや入力端子類は別ボックスで提供されるところなのだが、驚いたことに、この最厚部29mmの部分に、前述の全てが集約されている。

 接続端子は、これまでの普通のREGZAのように、本体の背面と側面で提供される。この最厚部29mmを実現するために、アンテナ端子などの設計にやや無理をした感があるが、薄型でないREGZAに見劣りしない接続端子ラインナップを取り揃えている。

 デジタルビデオ接続端子としてはHDMI端子を背面に3系統、側面に1系統備える。全HDMI端子がDeep Colorに対応するが、HDMI1のみオーディオリターンチャンネル(ARC)とコンテントタイプ連動に対応する(x.v.Colorには未対応)。

 他のHDMI2〜HDMI4は機能的には同じだが、HDMI3のみ、専用のアナログ音声入力端子を持っている。これは、HDMI3をPCとデジタルRGB接続した際に便利な端子で、これを活用することで46F1のスピーカーをPCスピーカーとして利用できる。REGZAには伝統的に搭載されている機能の1つで、このあたりがPCユーザーにもREGZAが受けている理由の1つになっている。

 なお、この端子を活用する際には、「機能設定」メニュー階層下の「外部入力設定」-「HDMI3音声入力設定」を「オート」から「アナログ」に切り替える必要がある。オートのままだと一部のPC(ビデオカード)では「無音の音声」をHDMI経由で伝送することがあり、これを46F1が再生してしまうためだ。

HDMI3とPC接続する際には活用したいHDMI3のアナログ音声入力機能 RGB階調レンジの設定はマニュアル設定が可能。PCやPS3との接続時には確認したい設定項目

 ここ最近急速に省略が進んでいるアナログビデオ入力端子だが、46F1ではついに背面から姿を消した。側面には辛うじてビデオ入力1、ビデオ入力2として設けられているが、やや特殊な扱いになっている。

 ビデオ入力1は、コンポジット入力、D5入力、アナログ音声入力をひとまとめとして取り扱っており、コンポジットとD5入力は排他仕様。ビデオ入力2はミニジャックで、付属の変換ケーブルを利用することで、コンポジット入力、アナログ音声入力として利用できるようになる。これを付けるならば、D5入力を別系統のビデオ入力2にしてくれた方がよかった気もするのだが、いずれにせよ、アナログ系端子が“風前の灯火”であることがよく分かる。46F1にはSビデオ入力端子はない。

 この他、ヘッドフォン端子、光デジタル音声出力、アナログ音声出力(ミニステレオジャック)、LAN端子などが実装されている。

 アンテナ入力端子については、46F1では特記しておくことがある。

 一般的なデジタルテレビ製品と同様に地デジ用VHF/UHFアンテナ入力とBS/110度CSアンテナ入力の二つのアンテナ入力端子があるが、46F1はその薄型デザインのために背面接続端子の奥行きが深く確保されていないために、アンテナ入力端子と本体背面のクリアランスが十分取れていないのだ。つまり、アンテナケーブルのコネクタ部が大きい場合は、物理的にスペース不足で接続できないことがある。

 端子を直方体のケースで覆っているようなタイプはほぼ間違いなく接続できず、接続部分を樹脂で覆っているだけの簡易端子の場合でも、樹脂部分が厚い場合には挿すことが出来ない。では何が適合するかというと、ネジ止め式の同軸ケーブルが奨励されている。説明書にも記載されているが、46F1購入時に留意したいポイントだ。

 USB端子は録画用HDDを接続するために提供される。46F1にはUSB端子は1つしかないが、USB Hubを利用することで1台の46F1から最大4台までのHDDへの録画が可能だが、内蔵チューナ数の制約で同時間帯の二番組同時録画には対応していない。また、録画コンテンツの再生をCMスキップ付きで行なうことができる「マジックチャプター」の機能も未搭載となっている。

 しかし、録画したコンテンツを、LAN接続した東芝の対応レコーダやDTCP-IP対応サーバーにダビングすることは可能だ。録画機能は基本的な機能は備えているが、Z系型番のREGZAと比べると限定的だ。

 EthernetはコンテンツのLAN内でのやりとりの他、インターネット経由のサービスのために利用される。「Yahoo! JAPAN」、「アクトビラ」、「ひかりTV」、「T's TV」といった多くのテレビ向けネットサービスに対応しており、Webブラウザ経由でのインターネットにも対応する。ただし、YouTubeでの動画視聴には対応していない。また、USBキーボードにも対応していない。Webブラウザ機能に関してはPCが使えない際の臨時用という感じだ。

 SDカードスロットも搭載していない。[レグザリンク]ボタンを押すと、「写真を見る」メニューは表示されるが、これはLAN内のDLNAサーバーからの閲覧対応になる。

ブロードバンド機能 T's TV Yahoo! Japan
アクトビラはアクトビラ・フルに対応。アクトビラ経由の3Dコンテンツへの再生も対応する TSUTAYA TV 「レグザリンク」メニュー。F1シリーズではリモコンに[録画リスト]ボタンがないので、録画コンテンツはここから再生する

 


■ 操作性チェック〜ゲームダイレクト2で低表示遅延を実現。「3D放送番組」の検索機能を搭載

リモコンの基本デザインは同じだが、ボタン配置は細かく変更されている

 リモコンはここ最近のREGZAと基本形状は同じだが、これまで[今すぐニュース]ボタンだったところが[3D]になっているなど、細かいボタンの機能割り当ての変更が行なわれている。

 ちなみに[今すぐニュース]ボタンは、これまでのREGZAで[二画面]ボタンのところに移動している。そして、[二画面]ボタンがどこにも見当たらないと思ったら、46F1では二画面機能がカットされていたので、この点には留意しておきたい。

 電源オンから地デジの画面が表示されるまでの所要時間は約8.5秒と意外に遅い。ただし、音声は電源を入れた直後から聞こえてくる。

 地デジのチャンネル切り替えの所要時間は約2.0秒。まずまずの早さだ。入力切換は[入力切換]ボタンを押してからの順送り式でHDMI→HDMIが約4.0秒、HDMI→コンポーネントビデオが約2.0秒、コンポーネントビデオ→HDMIが約3.0秒となっている。HDMIが絡んだ切換はやや遅くなる傾向にあるようだ。

 メニュー構成や高画質ロジックの設定パラメータのラインナップはほぼ47Z1と同一なので、本稿ではこのあたりの解説は省略する。詳細は本連載の47Z1の回を参照して欲しいが、重要な点は、ここでも簡単に紹介する。

 アニメに最適なノイズ低減や超解像処理(レゾリューションプラス)の最適化を施した「アニメモード」はレゾリューションプラスの1パラメータから「映像設定」上の1項目に格上げとなった。ここはBlu-rayプレーヤーやテレビ視聴では「オート」で問題ないが、PCやゲーム機を接続した際には「オフ」を設定したい。

 なお、レグザが持つ超解像処理エンジンへの映像の受け渡し方を定義する設定に相当する「1080処理モード」が46F1では姿を消している。

 1080処理モードとは、スケーラ処理をYUV=4:4:4で動作させることで、後段の超解像処理を初めとした各種高画質ロジックの全てをYUV=4:4:4にて処理させるモードだ。46F1では、4倍速処理の実行でメモリアクセス集中し、この処理のためのメモリアクセス帯域が不足することが分かり、デジタル放送などの一般映像ではYUV=4:2:2に留まることとなった。しかし、画調モード「PC」や「ゲーム」では、元々、YUV=4:4:4なので、この制限には当てはまらない。

F1では「1080処理モード」の機能がなくなった。アニメモードは「映像設定」上の1項目に格上げとなった

 46F1では[画面サイズ]ボタンを押すことで、様々なアスペクトモードに切り替えられる他、外部入力の映像を表示しているときに限っては、パネル解像度と表示映像解像度を1対1にマッピングして表示する「Dot by Dot」モードが選べるようになっている。

 用意されているアスペクトモードについては本連載「46ZH500」の回を参照して欲しいが、46F1では、デジタル放送時のアンダースキャン、オーバースキャンの切換は、なぜか、この[画面サイズ]ボタンでは行なえない。[クイックメニュー]ボタンを押した先に現れる「画面サイズ切換」メニューでしかアンダースキャン/オーバースキャンが切り替えられないのだ。細かいことだが、同じ「画面サイズ」カテゴリに統合された調整項目なのにリモコンのボタンからは直接操作できないのが少々不便に感じる。


「クイックメニュー」。アンダー/オーバースキャンの切換はここから行なう

 さて、レグザといえば、今やゲームプレイ支援機能が充実したテレビとして認知度が高まっているわけだが、当然46F1でも充実している。

 シューティングゲーム、アクションゲーム、格闘ゲーム、音楽ゲームなどリアルタイム性の極めて高いゲームプレイ時に絶大な効果を発揮する低表示遅延機能である「ゲームダイレクト」機能は、46F1では二世代目(Z1シリーズから導入)の「ゲームダイレクト2」となっている。

 ゲームダイレクト1はHDMI接続専用の機能として提供されていたが、"2"ではD5入力、コンポジットビデオ入力にまで対応が広げられている。さらに、IP変換、ノイズ低減処理、超解像処理、解像度変換、倍速処理までを行なっても表示遅延約1.2フレームを維持することに成功している。これは、従来REGZAでは入力されてきた映像信号を各高画質処理エンジンで1フレーム分まるまる処理してから次の高画質処理エンジンに受け渡していたのを、今期レグザからは入力されてきた映像信号をリアルタイムにバケツリレー式に次の高画質エンジンへ受け渡していく処理方式に改良したことで実現されたという。


処理をオーバーラップさせることで低表示遅延を実現するゲームダイレクト2。HDMIだけでなくD5入力、コンポジットビデオ入力にまで対応する

 高画質化処理を活用しても低表示遅延ということは、SD映像や720p映像のゲーム画面に対して超解像処理や解像度変換を行なっても低表示遅延ということだ。“1”ではゲームダイレクトモードを利用すると1080p以外では映像が小さく表示されてしまい実用度が低かったのだが、“2”ではこれが改善され、どんな解像度でも46F1のパネル解像度である1,920×1,080ドットパネル全画面に表示できるのはありがたい。

 なぜかゲーム画面が小さく表示されてしまうPSP-2000以降のテレビ出力機能の表示を改善する「ポータブルズーム」モードも、もちろん46F1のゲームダイレクト2で利用可能だ。PSP映像に対しても超解像処理が適用でき、さらに低表示遅延というのはPSPファンにとっては嬉しいことだ。

 なお、ゲームダイレクト2モードへの移行は、ちょっと分かりにくいので補足しておこう。まず、プリセット画調モードを「ゲーム」へと変更し、そのあとさらに「映像設定」の「ダイレクトモード」設定を「オン」にすることで有効になる。また、「ポータブルズーム」モードは、このゲームダイレクト2モード状態で[画面サイズ]ボタンを押していくことで選択できる画面サイズ「ポータブルズーム」を選択することで有効になる。PC接続時においても、ゲームダイレクトは有効に活用できるので、REGZAユーザーとなった暁には是非一度試して欲しいと思う。

ゲームダイレクト2では超解像、解像度変換などの高画質ロジックを活用しても低表示遅延が維持される 「ゲーム画面サイズ」のラインナップ

 46F1は、3D立体視対応テレビ製品なので、3Dにまつわる機能にもふれておこう。

 とても地味ながらも、心憎いと感じたのは、番組表の番組検索に「3D対応」番組を検索する項目が新設されている点だ。Blu-ray 3Dソフトのラインナップが未だ寂しく、それも既に2Dでリリース済みの立体視版的なタイトルがほとんどなので、この機能は頼もしい。といっても、放送も、BS11の「3D紀行」くらいしか引っかからないのだが……

番組表から3D放送番組の番組検索が可能に。これは嬉しい。

 それと、REGZA F1シリーズは2D→3D変換には対応していない点にも留意したい。リモコン上の[3D]ボタンは、3Dコンテンツを立体視対応表示に切り替えるものであり、2D映像を3D映像に変換するものではない。3D放送フォーマットの「サイドバイサイド」「トップアンドボトム」などの切り替えは[クイック]ボタンを押して出てくる「クイックメニュー」内の「3D表示モード切換」項目で設定する。

サイドバイサイド方式、トップアンドボトム方式の3D放送の2D表示にまつわる設定 「機能設定」メニューから出来る「3D自動切り替え」はHDMI経由で3Dコンテンツがやってきた際の動作設定になる。このあたりはちょっとややこしい

 


■ 画質チェック〜4倍速画質の実力は? 3D画質の実力は?

 REGZA F1シリーズは46F1だけでなく、1つ上のサイズの55F1も、ともに垂直配向型(VA)液晶パネルを採用している。

 VA型液晶パネルは、原理的に暗部の沈み込みに優れるため、先天的にコントラスト性能に優れるという特性がある。ちなみに、46F1に採用されたVA型液晶パネルのネイティブコントラストは5,000:1となっている。逆にVA型液晶パネルは、視野角性能においてIPS型液晶に及ばないと言われるが、昔ほど差はない。実際46F1を正面からずれた位置から見ても、ほとんど違和感がない。

 今期REGZAはCELL REGZAのX2、XE2シリーズと、今回のF1シリーズがVA型液晶で、ZGシリーズがIPS型液晶を採用しているが、よほど斜めから見ることを重視するのでなければ、採用パネルで悩む必要はない。

 さて、46F1は極薄型デザインから想像されるように、バックライトを直下型配置ではなく、パネル外周に配置した導光型エッジ方式を採用している。使用LEDは、白色LEDになる。

 白色LEDのバックライトモジュールは画面上下に配されるところは、本連載で取り上げた47Z1と同じであるが、Z1シリーズで初採用となったエッジ型LEDバックライトでエリア駆動を実現する仕組みはF1シリーズには採用されていない。

 エリア駆動のない46F1だが、スペック上の公称ダイナミックコントラストは「200万:1」となっており、これは"エリア駆動あり"だった47Z1と同じだ。とはいっても、ダイナミックコントラストは全白と全黒の対比の値でしかないので、46F1でも全黒時はバックライトを消灯に近い状態にしてしまうので、「200万:1」になっていたとしても不思議なことではない。

ヒストグラムバックライト制御オフ ヒストグラムバックライト制御オン。このくらいの明暗のばらつきでは、ほとんど両者に違いはない

 では、実際に、明暗差の激しい映像を見てみると46F1ではどう見えるかというと、最明部の明るさが周辺の暗い領域に若干の"浮き"をもたらしているように見える。47Z1と比較した印象でもそう感じるし、筆者私物の46ZX9000(直下型、エリア駆動あり)と比較しても、46F1の暗部は明部の影響を受けやすいことが相対的に見て取れる。

 極端なテスト映像では確かにそうなのだが、実際の明部と暗部が適度にばらけた映像ではそれほど黒浮きは気にならない。視聴環境が完全暗室だと夜空に浮かぶ星空のような映像はやや黒い空がグレーに見えるが、間接照明程度の薄明かりにでもなれば、46F1でもちゃんと夜空は暗く見える。これはVA型パネルの黒色の締まりが根源的に優れている特性に助けられている部分なのだろう。46F1の場合、パネルのそのもののコントラスト性能に頼る必要があったためVA型液晶を採用したのかも知れない。

 額縁の段差がない、シームレスな表示面を実現している46F1だが、これが表示映像の見た目にどう影響するのか、気になる人もいることだろう。

 第134回のソニー BRAVIA「KDL-46HX900」がこのタイプの表示面と額縁部のシームレス処理をしていたが、こちらは液晶パネルと表示面側ガラスの隙間を樹脂で埋めることでウレックス石(テレビ石)的な見栄えを実現していた。46F1は液晶パネルと表示面側ガラスとの隙間は中空になっているようで、KDL-46HX900のような見栄えにはなっていない。良くも悪くも、これまでのREGZAの見え方と大きく変わってはいない。

 逆に、表示面側にガラスが被さることによって、二重映りや、フォーカス感が鈍らないか心配する人もいそうだが、その点についても問題がない。実際の見栄えとしては表示面側のガラスの存在感はないように見えるのだ。

 画素の見え方やフォーカス感について気になる人も多いと思うが、十分クリアな画素描画が出来ている。液晶パネルはサムスン製のVA液晶だと思われるが、これまでの「く」の字区画構造のサブピクセル形状をしておらず、各サブピクセルは整然とした長方形状になっている。サムスンのVA型液晶だと階調変化を伴った色境界部分で、この「くの字」形状が目立ちやすかったものなのだが、46F1では同条件で観察しても美しい。

VA型液晶で、美しい画素形状になっている。リブやスリットの存在感がなく、とても開口率が高い

 発色の傾向は、これまでのREGZAのものとコンセプト的に大きく変わらず、ナチュラル系のチューニングとなっている。赤、緑、青の純色は艶やかというよりは伸びやか。白色LEDのおかげなのか、特に純色の青のダイナミックレンジが優れて見える。

 肌色も美しく仕上がっている。黄味の強さがなく、透明感のある肌色表現が出来ている。肌色のダイナミックレンジも広く、ハイライト部の白味の強い肌色から、"陰"の部分の茶色に落ち込みそうな肌色までが、疑似色もなく美しく描き出されている。色ディテール性能が高くなければ表現しにくい、肌の肌理の細やかな描写も美しく見えるのは、この高い肌色描写力のおかげなのだろう。

 階調表現についても、明部から中暗部までのリニアな表現力には文句がない。ただし、エリア駆動対応のZ系レグザと比較すると、最暗部付近の色味の正確さは46F1は若干及ばない。とはいえ、明部の表現力や明るい方向のダイナミックレンジの広さはZ系を上回る勢いがある。総じて言えば、どちらかといえば、46F1は明るさ重視の画作りが行なわれている気がする。これは、46F1が、3D対応REGZAであることと無関係ではないのだろう。

 さてさて、3D対応ということで、3D画質に触れないわけにはいかない。

 今回の評価では3D映像としては「アイスエイジ3」のBlu-ray 3D、BS11の3D放送番組「3D紀行」を視聴した。BDプレーヤーとして用いたのはPS3。3D眼鏡は東芝純正の「FPT-AG01」を使用した。

3D対応REGZAシリーズ用3D眼鏡「FPT-AG01」 メガネは別売

 まず、3D眼鏡を掛けて見たときの明るさだが、明るさ重視の液晶だけあって、ちゃんと蛍光灯照明下でも十分映像としてみられる明るさがある。現状のプラズマの3D画質は暗室で視聴しないと明部のパワー不足が顕著だが、46F1は、蛍光灯照明下でも3D映像になかなかのコントラスト感が得られている。とはいえ、46F1でも、暗室にした方が見栄えは全然いい。フレームシーケンシャル/アクティブシャッタータイプの眼鏡を掛ける立体視では「単位時間当たり片目にしか光が届かない」、「3D眼鏡の偏光板で半分の光量がカットされる」というダブルパンチで、理論値にして表示面の1/4の光量しか目に到達できない。3D眼鏡で見る立体映像が暗くなってしまうのは原理上、致し方ない部分なのだ。

 なお、この暗く見えてしまうアクティブシャッターの副次的な恩恵もある。46F1にはエリア駆動機能がないために最暗部に黒浮きが多少ある、と前述したが、3D眼鏡を掛けて見た映像では、これが解消される。表示面輝度が理論値1/4になってしまうこの3D眼鏡の特性がいい具合で黒浮きを押さえ込んでくれるのだ。なので、暗室で見たときの46F1の映像は、黒がしっかりと黒く見える。

 3D眼鏡を掛けて見たときに色味が変わって見えてしまう3Dテレビ製品もあるが、46F1では、このあたりはうまくチューニングされていて問題なし。2Dで見たときとほぼ同等の色味が再現されている。3D眼鏡を外してみると、階調が飛んで、彩度が下がったような変な映像に見えるかも知れないが、3D眼鏡を掛ければちゃんとした階調の正しい色味で見える。3D眼鏡を掛けた状態で首をかしげても、色味が大きく変化することもない。

 反対の目用の映像が、映り込んで見えてしまい、半ばアナログテレビ放送のゴーストのように見えてしまう「クロストーク」現象だが、これについて46F1では、うまく押さえ込まれている。

 46F1では、液晶パネル側の画素の描き換えとシンクロしてLEDを点灯していき、眼鏡側のシャッター切換時に、直前に表示していた表示映像をLED全オフで消す、という制御で、反対の目の映像を見せない工夫が行なわれている。

 ただ、「クロストークが皆無か?」といえば、そういうわけでもない。見ていて気になるほどではないが、明暗差の激しい表現、たとえば暗い背景に明るい階調のキャラクタが立っているシーンなどでは、その輪郭付近で薄っすらとかすかに見える。

 注意深く観察すると、左目と右目とでは左目映像にクロストーク・ゴーストが映りやすく感じる。また、画面の範囲で行くと、画面の上部ではクロストーク・ゴーストが強く、下に行くにつれて弱くなっているようだ。LEDバックライトのエリア駆動に対応したCELL REGZA 55X2では、LEDバックライトのスキャニングを上下方向に16分割した区画に対して行なっているが、46F1では、画面の上下の2分割でのスキャニングに留まる。この制御の細かさの差が、前述したようなクロストークの出方に現れているのかも知れない。55X2評価時にはこのあたりに気に掛けて見ることとしよう。

 今期の3D REGZAでは、サイドバイサイド/トップアンドボトム方式の3D映像や、フレームシーケンシャル方式でも1080p未満の3D映像など、その表示の際に解像度変換が起こりうるケースでは、超解像処理を介入させることができる。上位のX2、XE2のレグザでは、全てのケースで制限無しに超解像処理を介入させられるが、F1、ZG1では、縦解像度の変換の時だけ超解像を介入させられるという制限が与えられている。

 つまり、46F1では、BS11などの3D放送で採用されているサイドバイサイド方式の3D表示時には、この制限に引っかかることになる。実際、BS11のサイドバイサイド方式の「3D紀行」を見てみたが、Blu-ray 3Dの映像と比べると、かなり解像感のぼやけた3D映像となっていた。こうしたサイドバイサイド方式の3D放送よりは、フル解像度収録されているBlu-ray 3Dの視聴の方が高品位に楽しめる。

 46F1に搭載された新世代レグザエンジンは2D画質面に対しても新しい高画質化処理を適用してくれる。このあたりについても触れておこう。

 46F1のレグザエンジンは基本世代としては47Z1に搭載されたレグザエンジンDuoと同じで、超解像処理やノイズリダクション機構のアルゴリズムも同世代のものが搭載されている。これらの詳しい解説やインプレッションについては、47Z1の回で行なっているのでそちらを参考にして欲しいが、簡単に解説しておこう。

Z1と同様に「MPEG圧縮フレーム解析型」の高画質化アルゴリズムがF1にも搭載されている

 1つは「MPEG圧縮フレーム解析型」高画質化アルゴリズムの搭載だ。これは46F1自身がデコードして表示するデジタル放送視聴時にのみに効く機能で、MPEGデコーダからの情報を元に適宜、超解像処理とノイズ低減処理を行なう機能になる。

 デジタル放送のMPEG-2映像を見ていて、たとえ静止画であっても、0.5〜1.0秒くらいの周期で映像の描かれ方がリフレッシュされるような現象に気がついたことがあるはずだ。現在のデジタル放送で採用されているMPEG-2コーデックでは、JPEG静止画に近いI(Intra Picture)フレームと、これから予測したフレームであるP(Predictive Picture)フレームと、IフレームとPフレームの双方から予測して生成されるB(Bidirectionally Predictive Picture)フレームという3種のフレームから成り立っている。

 前述のフラッシング現象は、Iフレーム周期で映像が高画質になり、0.5〜1.0秒くらい時間経過の中で画質が劣化していく、このリズムが原因なのだ。ビットレートが低いMPEG映像であるほど顕著なこの現象を、MPEG-2のデコード情報を元に低減してしまおうというのが、「MPEG圧縮フレーム解析型」高画質化アルゴリズムなのである。この機能は、46F1でも、47Z1と同じように良く効き、時間方向のチラチラしたノイズや、最暗部付近で見えるフラッシングを、ほどよく押さえ込んでくれる。

レゾリューションプラス=オフ レゾリューションプラス=オン
480p出力に対してレゾリューションプラス=オフ 480p出力に対してレゾリューションプラス=オン
1080p出力に対してレゾリューションプラス=オフ 1080p出力に対してレゾリューションプラス=オン

 46F1に搭載されるレグザエンジン特有の高画質機能といえばリアル4倍速駆動を実践する「ハイスピードクリア4倍速」が一番のトピックと言うことになるだろう。

 これは、通常の60fps(60Hz)の映像であれば、実存1フレームに対し3フレームを算術合成して、4フレーム分の表示映像にして240fps表示を行なう機能になる。映画のような24fpsソースについては、9フレーム分の補間フレームを生成して10フレーム分の表示映像にしてやはり240fps表示を行なう。

 上位の直下型バックライトでエリア駆動ありのCELL REGZA 55X2では、この240Hz駆動(4倍速駆動)に加えて、バックライトスキャンが加わるが、レグザF1にはこれはない。

 実際に映像を見てみると、液晶特有のホールドボケによる残像は驚くほど少ない。縦に流れるクレジットや横に流れるテロップの文字も極めて見やすい。画数の多い漢字の線分もよく見える。

46F1ならではの設定項目「4倍速」 ハイスピードクリア4倍速の概要

 しかし、いいことばかりではない。4倍速駆動ならではのエラーも目に付く。従来の二倍速よりも補間フレームの表示時間が長くなることから(60fps映像において1フレーム時間内では、2倍速駆動での補間フレーム1枚の表示に対し、4倍速駆動では補間フレームが3枚表示される)、補間フレームの内容の方が表示映像に対して支配的になるのだ。つまり、裏を返すと補間フレームの善し悪しが見栄え(画質)にクリティカルに効いてくることになる。最も4倍速駆動を積極的に活用する「スムーズモード」では、「ダークナイト」冒頭のビル群の中のフライバイシーンでの背景の"田の字"状に並んだビルの窓枠に大きな振動が出てしまっていた。

 東芝も、このあたりはわかっているようで、デフォルトでは、4倍速駆動の補間フレームの内容を無難に活用する「おまかせ」モードを用意している。4倍速駆動の補間フレームの内容を支配的にする「スムーズモード」も選べるが、こちらは補間フレームにエラーが入り込むとノイジーな画になってしまう。常用は「おまかせ」でいいだろう。

 プリセット画調モードのチューニング傾向は第99回「REGZA 46ZH500編」とほとんど変わらないため、本稿では省略する。「映画プロ」は、従来は「映画プロ1」と「映画プロ2」が存在したが、今期レグザでは「映画プロ2」が単一の映画プロモードとして残されている。いくつかの画調モードを試した感じでは、「テレビプロ」モードが、46F1の伸びやかな明部ダイナミックレンジの良さを活かしつつ、やや不得意な暗部階調の弱点を露呈させないベストバランスな画調モードと感じた。じっくり映像鑑賞をする際に悩んだらこのモードがオススメだ。

あざやか 標準 テレビプロ
テレビプロ ゲーム PC

 


■ まとめ 〜3D対応を取るか、2D画質を取るか

 46F1は3D対応REGZAの中ではエントリークラスといえるかもしれないが、2D画質も高品位にまとまっており、録画機能までを備え、おまけに外観はスタイリッシュときているため、総合的な商品力はかなり高いと思う。

 ちなみに、今回の46F1を基準にして、同じ実勢価格帯のREGZAから製品を選ぼうとすると、55Z1と拮抗する。スタイリッシュな外観と3D対応をとって46F1にするか、3D未対応だが1ランク上の画面サイズにエリア駆動有りの高画質とダブル録画対応の55Z1にするか…… 悩ましいところである。

 さて、今回の評価で、最後まで謎だったのは46F1の輝度性能であった。公称スペックはZ1と同じ450cd/m2だそうなのだが、標準画調モードや「おまかせ」画調モードでの46F1の表示映像を見ていると非常に明部が明るく伸びやかに見えるのだ。端的に言えばスペック以上に「明るい」のである。

 これについてレグザ画質設計担当者に尋ねたところ、秘密はどうやら46F1に用いられた新VAパネルにある事が分かってきた。今回の新パネルは、ホワイトバランス調整後、ガンマ調整後の出力ロスが少ない特性を持っているそうで、これが「見た目の明るさ」に貢献しているようなのだ。

 新CELL REGZAもVAパネルが採用される予定だそうで、おそらくは、46F1と同世代の新VAパネルが使われるはず。これにエリア駆動が組み合わされたとき、どんな高画質を見せてくれるのか、今から楽しみだ。

(2010年 10月 21日)

[Reported by トライゼット西川善司]

西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちらこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。