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【新製品レビュー】

お手軽Androidタブレット。クリエイティブ「ZiiO」

−2万円台の7型タッチ端末。充実の機能と今一歩の画質


ZiiO 7インチ

 最近、スマートフォンが人気を集めているが、一方でiPadに代表されるタブレット端末も数多く発売されている。SamsungのGalaxy SDell Streak 001DLなどがその代表例だろう。

 Webブラウズやメール端末といった「パソコン」の代替的な用途はもちろんだが、アプリを追加して、スマートフォンやタブレットをリモコンにしたり、音楽/ビデオプレーヤーとして活用したり、ワンセグケータイにしたりと、AV機能においても様々な活用事例が増えている。「ユーザーにとって最も身近なタッチスクリーン端末」としてスマートフォンやタブレットを活用した提案が増えている昨今、AV環境でも必須アイテムとなりつつある。

 ただし、スマートフォンや前述のGalaxy Tabのような端末は、通信キャリアとの回線契約が必須となっており、端末の料金だけでなく月々のランニングコストが発生してしまうため、なかなか気軽に導入とはいきづらい。iPadのWi-Fiモデル以外は、秋葉原で無名メーカーのAndroidタブレットなどが出ているものの、「Androidタブレットを使ってみたい」といった人にとって、ややハードルが高い状況が続いていたといえる。

 そんな中登場したのがクリエイティブのZiiOシリーズ。10型と7型の2モデルで、それぞれにメモリ8GBモデルと、直販限定の16GBモデルを用意。10型は2011年1月に、7型は12月下旬に発売する。回線契約も必要ないので、気軽にAndroidタブレットに触れられる価格設定といえるだろう。今回7型/8GBモデルのZiiO「ZO-7S8G-WT」(24,800円)をテストした。


製品名 メモリ容量 型番 発売時期 直販価格
ZiiO 10インチ 16GB
(直販限定)
ZO-10S16G-BK 2011年1月 34,800円
8GB ZO-10S8G-BK 29,800円
ZiiO 7インチ 16GB
(直販限定)
ZO-7S16G-WT 12月下旬 27,800円
8GB ZO-7S8G-WT 24,800円

 


■ ちょうど良いサイズと、ややチープな質感

 7型/480×800ドット(1,680万色)のタッチ液晶を搭載する。タッチパネルは抵抗膜方式でマルチタッチには対応しない。プロセッサは「ZiiLABS ZMS-08 HD」。OSはAndroid 2.1。

 8GBのフラッシュメモリを内蔵するほか、7型はmicroSDカードスロットを装備。最大32GBのカードを利用できる。ビデオや音楽、写真も再生可能で、ビデオはMPEG-4 AVC/H.264、MPEG-4、WMV9などに対応、音楽はMP3、AAC、WMA、FLAC、OGG、WAVE、Audibleに対応する。写真はJPEG、BMP、PNG。本体には、ステレオスピーカーとモノラルマイクを内蔵している。加速度センサーも搭載。GPSは搭載しない。

別売のカバーを装着

 IEEE 802.11b/g準拠の無線LANやBluetooth 2.1+EDRを搭載。クリエイティブならではの特徴はBluetoothを生かしたスピーカーやヘッドフォンとの連携を提案していること。ヘッドフォン「WP-300」などとのセットモデルを用意し、高音質コーデック「apt-X」を使った高音質再生などを提案している。

 カメラも内蔵し、ビデオチャットやVGAの動画撮影などに対応。スタイラスも付属する。マイク入力(モノラル)やステレオスピーカーを装備。USB端子も備えている。充電式のバッテリを内蔵。外形寸法/重量は約207.4×133×13.7mm(同)/約400g。

 サイズ的には、iPad(Wi-Fi版。9.7型液晶/242.8×189.7×13.4mm/約680g)とiPhone 4(3.5型液晶/115.2×58.6×9.3m/約137g)の中間といえ、片手でも安定して保持できる。ストラップホールなどは備えていないので、落下には注意が必要だ。実際に触れてみると、400gという重量は思いのほか気にならず、スマートフォンがそのまま一回り大きくなったような印象だ。

 本体の質感は正直安っぽい。iPadのような光沢感ある仕上げでもなく、Readerのようなラバー風加工をするでもなく、プラスチックそのものといった感じの触感だ。つるつると滑りやすく、電車内などでモバイルタブレットとして利用したいという人は、オプションのカバーなどを利用したほうがいいかもしれない。

 また、スタイラスもついてくるのだが、ZiiO本体にはスタイラスを留める機構は無い。別売カバーには、スタイラス用ホルダも備えているため、スタイラスを活用する場合もカバーを利用したほうがよさそうだ。

前面。7型/480×800ドット(1,680万色)のタッチ液晶を採用する 右側面にボリュームを装備 下面にはスピーカーや充電端子
上面にはヘッドフォン端子などを装備 左側面。microSDスロットを装備。ファームウェアアップデートなどにも利用できる 上部にカメラを搭載する
iPhone 3GS/iPadとの比較 iPhone 3GSとの比較

■ Androidベースのタブレット

メインメニュー

 電源は本体上部のスイッチでON/OFFが可能。起動するとメインメニューが表示される。基本的にはタッチパネルで操作し、任意のアイコンをクリックするとアプリが立ち上るというもので、ボリュームのみハードウェアで操作可能となっている。音楽プレーヤー用アプリは「ZiiMusic」、ビデオは「ZiiVideo」となっている。

 なお、Androidマーケットには対応しないが、クリエイティブでは、専用のポータルサイト「ZiiO Space」をオープンし、最新情報やアプリ/コンテンツ配信サービスを紹介する。アプリは、ベクターの「AndroApp」や、NECビッグローブの「andornavi」などを紹介しており、各サイトからのアプリダウンロードに対応する。なお、日本語入力のためには、Simejiなどの日本語入力IMEをダウンロード/インストールする必要がある。

 タッチパネルを採用していることもあり、操作感はシンプル。気になるのは、タッチパネル方式が抵抗膜なことで、低コストやサイズを問わずに採用できる点が特徴だが、iPadなどの静電容量方式で実現しているような、パネルの複数個所に触れて操作する「マルチタッチ」にも対応できない。とはいえ、マルチタッチできなくても、任意の場所をタッチして操作するというシンプルな操作性にはそれほど大きな不満は感じない。

 それよりもパネル前面に抵抗膜でカバーされるため、表示映像の光の透過率が低く、若干濁ったような表示に見えるのが気になる。フォトフレームやビデオプレーヤーとして利用する際にはこの点で不満を覚える。

 縦位置や横位置の表示切替に対応。回転したくない場合は、「設定」画面から自動回転の解除を選択できる。なお、Android OS 2.1を搭載しているZiiO 7インチだが、OSアップグレードの計画については「検討中」としている。

縦位置表示 横表示 自動回転のON/OFFを切り替えられる。自動回転をONにするとかなりの頻度で画面が回転してしまう


■ Bluetooth連携が特徴の音楽機能

 まずは音楽プレーヤーとして利用してみる。転送した楽曲は「ZiiMusic」によって管理されて、選択できる。操作画面はシンプルでタグ情報を元に、アルバムやジャンル、アーティストごとの検索も可能となっている。microSDカードに記録したデータにも対応している。

 再生画面ではアルバムアートなども表示可能。縦位置と横位置の切り替えにも対応するが、楽曲検索時などでは、縦のほうがリスト表示時の表示量が多く、使い勝手はいいと感じる。

 まずは素の音質(X-Fi機能OFF)を聞いてみるが、しっかりと全帯域が無理なく出力され、音質的には申し分ない。

 特徴的な機能はX-Fiだ。独自の高音質化機能で、CrystalizerとExpandの2種類のエフェクトを用意している。Crystalizerは、若干アタックが出て、音楽の密度感もぐっと高まる。高域補間なども行なわれているようだ。

アーティスト検索 アルバム検索 アルバムアートを表示しながら、アルバム内楽曲を選択 楽曲再生 Pure Audio Android
「Pure Android Audio」アプリケーション

 基本的にONでいいと思うが、効果を高くしすぎると、若干コンプレッサを効かせたような硬さが出てくるので、ほどほどが良い。X-Fi Expandは確かに広がりは感じられ、音質への影響もあまり感じない。ただし、もともとの出音に不満があるわけでもないので、別にOFFでもいいと感じる。映画などを見る際の強調効果としては面白いかもしれない。

 また、Bluetoothを搭載し、Bluetoothヘッドフォンやスピーカーにオーディオ出力できる点も特徴。Bluetoothの高音質伝送技術apt-Xに対応し、対応機器に高品位なオーディオ伝送が可能なほか、X-Fiオーディオテクノロジによる高音質化も図っている。

 メインメニューにX-FiのON/OFFやレベル調整などが可能な「Pure Android Audio」アプリケーションを搭載。ホーム画面のウィジェットからX-Fiの調節やBluetooth接続機器の設定やON/OFF、無線LANのON/OFFなどの操作が行なえる。


WP-300やD200を組み合わせてテスト

 今回同社のヘッドフォン「WP-300」や、スピーカー「D200」との組み合わせでテストした。一度ペアリングさえ行なってしまえば、あとはPure Android Audioで選択して、ON/OFFするだけで出力先として指定できる。Bluetooth機器を持っていればとても簡単に出力スピーカーを選択できるわけだ。もちろん内蔵のスピーカーやヘッドフォン出力も可能となっている。

 AppleのAirPlayは無線LANを使った独自規格だが、ZiiOとBluetooth機器の組み合わせも、機能的にはiPadからAirPlay対応機器にオーディオ出力しているのと同じようなものだ。しかも、汎用的なBluetoothを使っているため、より多くのスピーカーやイヤフォンなどで利用できる点が特徴といえる。高音質コーデックのapt-Xも、クリエイティブだけでなくゼンハイザーなどで採用が始まっており、今後の展開が期待される。

 対応ヘッドフォンの「WP-300」からは、ZiiOの曲スキップも行なえる。WP-300はそれなりに高級感あるデザインのオンイヤー型ヘッドフォンだが、側圧が弱く、ハウジングを抑えるようにして使わないと低域が控えめになってしまうのが難点。ただし、ちゃんと押さえれば、きっちりと低域は出ているので、音質も十分満足できるものだ。

 Bluetoothの使い勝手にこだわったという点では、Bluetoothスピーカーやヘッドフォンを利用しているユーザーにとっては魅力的な機能になるだろう。 


■ ビデオの操作系は満足も、表示品質には不満も。アプリも追加可能

ZiiVideo

 ビデオ再生は、「ZiiVideo」から行なえる。対応形式はビデオはMPEG-4 AVC/H.264、MPEG-4、WMV9、MOV、AVI、MKV。USB接続したパソコンから、ZiiOの[Video]フォルダに転送したところ、WMVファイルやMP4ファイルなどが認識されたが、AVCHDのm2tsファイルは認識されなかった。また、ZiiOの内蔵カメラで録画したビデオも、ZiiVideoから再生できる。

 ソニーのデジタル一眼「NEX-5」で、記録した1,440×1,080ドットのMP4(MPEG-4 AVC/H.264)を転送したところ、問題なく再生でき、早送り/戻しなどにも行なえた。また、再生画面上にオーバーレイ表示されるボタンから、X-Fiの効果設定やHDMI出力のON/OFFなども選択でき、テレビなどにHDMI出力できる。

 スクロールバーをタッチ操作しての任意の位置へのスキップも可能など、機能や使い勝手には十分に満足。ただ、ビデオプレーヤーと考えると最大の課題は「画質」だ。やはり、抵抗膜方式のタッチパネルを採用しているためか、透明度が低く、映像の持つ色のパワーがかなり抑えられてしまっているほか、夜景のシーンなどではかなり階調崩れが発生し、最近のポータブルビデオプレーヤーとしてはやや期待外れな画質と言わざるを得ない。


 もちろん、テレビにHDMI出力すれば問題はないが、本体の液晶表示では、映像のパワー感を損なってしまうだけでなく、視野角も低い。ビデオプレーヤーと考えるのであれば、iPadやほかの選択肢のほうが望ましい。

ZiiVideoでの再生画面 HDMI出力にも対応

 写真表示も可能。「ZiiPhoto」と呼ぶアプリケーションを搭載し、スライドショーにも対応する。ただし、タッチパネルに触れながら次の写真に送る際に、一度画像を拡大表示した後に、正しいアスペクトで表示するなど、挙動はこなれていない。画質面でも前述のとおり、グラデーションの破綻や色にじみなどが感じられ、満足度は高くない。サイズやスペック的にはデジタルフォトフレームとしての利用も期待されるが、そうした利用では画質面での不満が残るだろう。

 また、Webブラウザから、YouTubeやニコニコ動画にアクセスしてみたが、いずれも再生できなかった。

ZiiPhoto

 カメラ機能も装備し、静止画と動画の撮影に対応。動画は最高640×480ドットのMP4形式で記録できるが、画質はホワイトバランスが不安定で、ビデオカメラとして利用するにはつらい。カメラ位置も外側ではなく、自分撮り向けの内側のみなので、Webカメラ的な使い方以外ではあまり使い道はなさそうだ。

ZiiO Space andornaviからアプリをダウンロード

 もちろん、Android OS搭載ということで、アプリのインストールも可能。Android Marketにはアクセスできないものの、ベクターの「AndroApp」、NECビッグローブの「andornavi」などに、Webブラウザや独自のラウンチャ「ZiiO Space」経由でアクセスし、直接ダウンロード/インストールが可能。

 また、PCでダウンロードした.apk(Androidアプリファイル)をフォルダに展開し、ZiiOからインストールできる。マキエンタープライズの「TV Player」などのアプリが問題なくインストールできた。

 バッテリも内蔵しており、付属のACアダプタから充電できる。連続駆動時間については「検証中」としている。


本体やPCでダウンロードしたAndroidアプリを追加できる アプリ履歴

 


 

■ 必要十分なAV機能。リーズナブルなAndroid端末

 AVプレーヤーとしての機能は十分で、16GBメモリでも2万円台という価格はリーズナブル。回線契約も必要ないので、Androidをちょっと使ってみたいという人には、魅力的だろう。様々なアプリを追加して、AVリモコンや、Web端末、メール端末など様々な用途は広がるはずだ。

 ただし、ビデオプレーヤーやフォトフレームとして考えると、やはり液晶の表示品質には、物足りなさが残る。このあたりは手ごろなAndroid端末としてまず登場したということが影響しているのだろうが、映像表示にこだわりたい人は不満を感じるだろう。逆に、ZiiOを音楽サーバー的に活用する分には、Bluetoothを活かしたソリューションは魅力的に感じる。

 クリエイティブのAndroid第1弾だが、今後のさらなる熟成と、同社ならではの提案が続くことを期待したい。


(2010年 12月 21日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉 ]