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おなじみのデザインに最新の性能。iPhone SE、9.7インチiPad Proレビュー

 3月31日に発売されるアップルの新製品「iPhone SE」、「9.7インチ版iPad Pro」のレビューをお届けする。今回の新製品は、デザインが大きく変更されていないことなどから、「新規性がない」という厳しい意見も聞かれる。確かにどこか「おなじみ」感があり、新しいものという印象は薄いかもしれない。

 だが実際に使ってみると、iPhone SEにしろ9.7インチ版iPad Proにしろ、その中身には新しいチャレンジがある。その価値はどこにあるのかを考えてみよう。

「小さい」ことが価値、カメラは一気に最新型に

 まず、比較的話がシンプルである「iPhone SE」の方からいこう。この製品は、第一印象が全てであり、細かな使い勝手や仕様を確認した後でも、結局この一言に帰ってくる。

「お手頃価格で4インチだけど、最新のiPhone」

iPhone SE
iPhone 6s Plusを持ったところ。サイズの違いは歴然だ

 2013年に発売された古いものではなく、最新のiPhoneである「iPhone 6sシリーズ」とほぼ同じ機能でありながら、サイズは小さい。手に握ってみればその差は歴然だ。この小ささを求める人は買いだし、そうでない人は6sシリーズ(もしくは5インチクラスのAndroid)がいい。そこに尽きるのだ。

サイズと厚みを比較。厚みが増したためか、カメラレンズ周りの出っ張りがなくなった
iPhone SEのローズゴールドモデルを背面から。色以外は5sそのものだ

 iPhone 5sとの比較で重要なポイントは、メインメモリが2GBに増えたこと、CPUコア、GPUコアともに大幅に性能が上がったこと、そしてカメラの性能が上がったことだろう。スピードは、これからのアプリに備える上では重要だが、そこに強い不満を持っている人も少ないかもしれない。そのくらい、スマートフォンは成熟しており、長期的に使えるものになった、ということなのだが。

 一方カメラは、2013年の製品と最新の製品では、画質・使い勝手ともに大きく進歩した。今回、iPhone 5sを用意できなかったが、たまたま、12.9インチ版iPad Proが、その世代に近いカメラを搭載していたので、せっかくだからiPhone SE、iPhone 6s Plus、9.7インチ版iPad Pro、12.9インチ版iPad Proで、カメラの画質と使い勝手を比べてみよう。

【カメラの写真サンプル】
iPhone SE
*iPhone以外では拡大写真が反転表示されます
iPhone 6 Plus
*iPhone以外では拡大写真が反転表示されます
9.7インチ版iPad Pro
12.9インチ版iPad Pro

 iPhone SE、6s Plus、9.7インチ版iPad Pro、12.9インチ版iPad Proのカメラを比較。12.9インチ版以外はほぼ同じ傾向で、おそらくかなり近いスペックのカメラが使われているのだろう。

 画素数的に言えば、12.9インチ版iPad Proだけが800万画素と低い。というより、他の3機種は、おそらくほとんど同じようなカメラモジュールを搭載している。撮影データで確認できる限りでは、レンズモジュールのスペックも同じだ。解像度の違いがあるため、写真を拡大すれば、やはり12.9インチ版iPad Proだけが画質的に劣っている。とはいうものの、これが「4インチや5インチの画面の中」で完結するのであれば、その差は許容しうるものかもしれない。iPhone 5sを使い続けている人は多いが、彼らから「カメラの画質が悪い」という不満を聞くことも少ない。1,200万画素であるに越したことはないが……というところだろう。

 むしろ、iPhone SEや9.7インチ版iPad Proにとって大きなアドバンテージだと思ったのは、オートフォーカスのスピードが速いことだ。2014年発売のiPhone 6世代以降のiPhone向けのカメラモジュールには、同社が「Focus Pixel」と呼ぶ像面位相差オートフォーカス技術が採用されている。そのため、オートフォーカスが純粋に速くなった。正確にいえば、オートフォーカス時に、フォーカスが決まるまで若干「前後」する、迷いに似た挙動がなくなる分速い。改めて比べると、Focus Pixelのない12.9インチ版iPad Proはオートフォーカスの遅さが使い勝手にとってマイナスと感じた。

 iPhone 5sからiPhone SEに変えたとすると、画質そのものの変化以上に、オートフォーカス挙動を含めた「動作の軽さ・素早さ」を感じるはずである。これは、iPhone 6s世代を使っている人が日常的に体験している良さであり、それを「小さなiPhone」でもきちんと得られることが美点だ。

CA非対応で通信速度は遅め、SEは今後の「低価格スタンダード」

 ただし、これを「アップルが4インチに回帰する流れ」とみるのは間違いだろう。ラインナップ効率化のためにひとたびは追いやられた4インチが、ユーザーニーズの多様化とともに「あった方が良い製品」に回帰した、ということなのだ。Androidなどの販売状況を見ても、やはりニーズの中心は当面5インチクラスだろう。小さなモデルは「それを求める人のためのもの」として用意される、と見ている。そもそも、もしアップルが本気でメインを4インチに回帰するなら、SEでは変更すべきだった点もある。

 iPhone SEは「キャリアアグリゲーション(CA)」に対応していない。現在の携帯電話事業者は、複数の周波数帯の電波をまとめて利用して通信速度を上げるCAを活用しており、結果、NTTドコモが最大300Mbps、KDDIが最大225Mbps、ソフトバンクが最大187.5Mbpsでのサービスを実施できている。もちろんこれはスペック上の最大値であり、実効値は大きく下回る。とはいえ、通信速度は速いに越したことはないし、混雑の解消にもつながる。特にiPhone 6s世代では、CAの恩恵による速度アップが大きい、と言われてきた。

 今回は貸し出しを受けた機材がソフトバンク回線のものだったので、手持ちのソフトバンク回線を使い、iPhone 6s PlusとiPhone SEで通信速度を比較してみた。

iPhone SEとiPhone 6s Plusを、それぞれソフトバンク回線で使って比較

 東京23区の主要駅と横浜で計30回のテストを試みた結果が次のグラフだ。回線速度のばらつきを示すため、いわゆる箱ひげ図で表している。おわかりのように、中央値では両者の差は大きくないが、CAが使える6s Plusの方が安定して高速であり、70Mbps・100Mbpsを超えることもあった。本来、長く使えるメイン機種として設計するなら、CAを想定して設計するべきだし、アップルにはそのノウハウもある。SEではあえてそこに手を入れなかった、と見るべきだ。

iPhone SEとiPhone 6s Plusを、ソフトバンク回線で使って比較。中央値では差が小さいが、CA対応のiPhone 6s Plusの方が全体ではかなり速い

 CAがないことに加え、iPhone SEには「3D Touch」もない。現状のiPhone 5s系ボディに追加するとコストがかかりそうなものは除外し、快適さとコストのバランスをとった、というのがSEの位置付けだろう。iPhone SEは、小さいiPhoneであると同時に「お手頃価格のiPhone」である。そもそも、iPhone 5sが2年半にわたって現役だったのは、サイズに対する評価だけでなく「価格」もあったはずだ。スマートフォン全体で見れば、iPhone SEの399ドルから(日本では52,800円)という価格は格安、とはいえないものの、ハイエンドであるiPhone 6s系よりは手頃である。

 今後、アップルがフラッグシップのラインナップ(例年通りならば、9月頃には発表だろう)に4インチを入れるかはわからない。入るとすれば来年以降かもしれない。どちらにしろ、「4インチ」で選んだ人が増えるなら、アップルは戦略を変えてくるだろうし、そうでなければ、SEがこれからも長く「低価格かつ小さなiPhone」として使われていくことになる。そういう意味では、「去年以前のフラッグシップを低価格モデルに落とす」戦略を、アップルは止めたのかもしれない。6s世代のパフォーマンスを長期的なベースに定めた、と考えれば、iPhone SEを作った意味も見えてくる。アップルは公式に「SE」の意味を定めてはいないが、これはスペシャルというより「スタンダード」なのだろう。

新iPadは「12.9インチを小型に凝縮」以上だった

 注目度ではiPhone SEの方が上だが、ことハードウェアの変化という点では、9.7インチ版iPad Proの方が多い。「過去に見たデザイン」という意味ではiPhone SEと同じだが、ベクトルがちょっと違う。

9.7インチ版iPad Pro。別売のSmart Keyboardとセットで使うとよりPC的に見える

 プロセッサを含めた基本スペックでいえば、9.7インチ版は「12.9インチ版の中身を9.7インチのボディに詰め込んだ」ように見える。だが正確には「12.9インチ版の設計をリフレッシュし、新たに9.7インチ版を作った」といった方が良さそうだ。

左が9.7インチ版、右が12.9インチ版のiPad Pro。さすがにサイズはかなり違う
iPad Proの背面。今回はローズゴールドを試用

 プロセッサーは両者ともに「A9X」。アップルはメインメモリ量を公表していないが、実機でチェックしてみると、12.9インチ版は4GBであるのに対し、9.7インチ版は2GBになっている。iOSの場合、これが致命的なほどの差にはならないが、アプリを取っ替え引っ替えしながら作業をするなら、4GBの方が望ましい。また、12.9インチ版が4GBであるのは、グラフィックなどの大容量メモリが求められるアプリを使う人は12.9インチ版を使うだろう、という想定かもしれない。

 一方、すでに述べたように、カメラは9.7インチ版で大幅に進化している。これまでiPadのカメラにはLEDフラッシュがなかったのだが、今回から搭載された。カメラの性能などとも勘案すると、本当に6s系のモジュールがそのまま使われたのだろう。iPadで写真を撮る人は意外なほど増えている。画面が大きく見やすいからだ。ビジネスドキュメントや名刺を撮影し、簡易スキャナーにするのも便利だ。カメラの性能は低いより高い方がいい。そして、PC系に対する利点・差別化点として、よりクオリティの高いカメラを用意したかった、という部分もあるだろう。

カメラ部は大幅進化。iPhone 6s系と同クラスになった。新たにLEDフラッシュも搭載。6s系になった代償としてレンズ部が出っ張ってしまった。デザイン的には美しくないが、使い勝手には影響はない

画面を見やすくする「True Tone」とは

 もう一つ、地味だが意外なほど快適な変化が「True Tone」の実装だ。従来から、iPhoneにもiPadにも「照度センサー」があり、周囲の明るさに応じてディスプレイの輝度を調整する機能はあった。だがTrue Toneの場合、まずディスプレイの色味をアップルが定めた上で、新たに搭載された色センサーを使い、周囲の光の色に合わせてディスプレイ側の見かけの色味も一定に保つ、という仕組みだ。これは、いわゆるカラーキャリブレーションに似ているが、狙いとしては異なる。正確な色味を保つというより、「画面の見易さを保つ」ものである。

 というと「余計な御世話」に聞こえるが、そうでもないのだ。ウェブも電子書籍もビジネスドキュメントも、背景には白い部分が多い。そこの色温度をほんのすこし下げ、より紙の本に近づけた、という印象が強い。写真で表すのはかなり難しいが、以下の写真は、同じ電子書籍を、周囲の明るさも照明の色も違う環境で読んだものである。一番下の写真がTrue Toneをオフにしたものなのだが、若干「やわらかい」感じになっているのがおわかりだろうか。確かに、この設定で使うと非常に文字などが読みやすく感じる。

上が12.9インチ版、下がTrue Toneをオンにした9.7インチ版iPad Pro。若干色温度が下がって見やすくなっている
電球色に近いあかりの下(True Toneオン)
外光が入る場所(True Toneオン)
光が入る場所(True Toneオフ)
下2つは色味がかなり近く、オフにすると色が大きく変わるのがわかる

 この機能は、先日公開されたiOS 9.3に搭載された「Night Shift」と似ている部分がある。どちらも画面の色味を下げ、見やすくする効果を持っている。もともとの機能の発想は近いのかもしれない。だが、その性質はかなり異なっている。Night Shiftはあくまで「ブルーライトのカット」が目的で、色味が派手に変わる。True Toneは常に見やすく、が目的なので、色味の変化はより少量だ。iOS 9.3が入った機器をお持ちのかたは、ディスプレイの輝度を最大にした上で、Night Shiftの設定を色味を一番「冷たく」にしたところから、ほんの少し(目分量で5%程度だろうか)ずらしてみていただきたい。その色がTrue Toneの色に近い。iPadの用途を考えると、こうした機能は望ましい。12.9インチ版iPad Proのディスプレイは特に色温度が高めで、白がちょっときつい色になる。だから、日常的に12.9インチ版を使っている筆者としては、こちらにも欲しい機能だと感じた。

 一方で、写真加工などで色味をチェックしたい場合には、この配慮が邪魔になることも考えられる。なので、もちろん、設定はオフにもできる。ただし、自分で色味を調節することはできない。この延長線上として、簡易なものでもいいのでカラーキャリブレーションの機能があると、写真を中心に使っている人には喜ばれそうだ。

設定の「画面表示と明るさ」の中にTrue Toneの設定項目が増えた。できるのはオンオフだけだ

Apple SIMが「エンべデット」化、使い勝手アップ

 テクノロジー的にいえば、9.7インチ版iPad Proでの最大の変化は「エンべデットSIM」の導入だ。WANでの通信機能をもった「Wi-Fi+Cellular版」には新しい要素が盛り込まれたのだが、それが「エンべデットApple SIM」と呼ばれる要素である。

 従来よりアップルは、iPad向けに「Apple SIM」というSIMカードを提供してきた。通常のSIMカードは、携帯電話番号などの契約に関わる情報が「書き込まれた」形で携帯電話事業者から提供される。だがApple SIMでは、その変更がiPad内で行なえるようになっている。だから、携帯電話販売店に行かなくても、iPadの中で、自分が契約したいサービスを選んで、好きに切り替えられた。Apple SIMに対応している携帯電話事業者は限られている(日本国内の事業者の場合KDDIのみ対応で、国際対応の事業者を含め都合3社)し、通信料金も割高ではある。だが、海外旅行や出張などの際、SIMカードを買いに行くことなく、飛行機を降りたその場で契約できるため、手軽でハードルも低い、という利点がある。

 だが、従来のiPadでは問題も一つ。例えば、日本国内ではNTTドコモ系のMVNOと契約して使っているが、海外ではApple SIMを使いたい、という場合には、カードの差し替えとAPNの設定変更が必要になる。iOSの場合、複数のAPNを切り替えて使うのが面倒で、結局手間は軽減されていない、とも言えた。

 だが9.7インチ版iPad Proでは、その問題を「エンべデットApple SIM」で解決した。SIMカードスロットとは別に、Apple SIMと同じ役割を果たすものが内蔵されており、SIMカードスロットに入っているSIMと使い分けることができるのだ。SIMカードを使わない「エンべデットSIM(eSIM)」という仕組みはすでに採用製品もあるのだが、アップルはApple SIMの仕組みと組み合わせることで、その価値をさらに高めた。次の画像は、筆者が先週、アメリカで9.7インチ版iPad Proを使った時のものだ。SIMカードスロットにはNTTドコモのSIMを入れているのだが、それとは別にApple SIMの契約画面が現れる。日本ではもちろん、日本に応じた事業者のものが表示される。

9.7インチ版iPad Proを使うと、エンべデットApple SIMがあるためこの画面が出てくる。選べるキャリアが国によって異なっていることに注目

 この機能は、出張の多いビジネスパースンにはありがたいものだ。日本でのApple SIM対応事業者がアメリカのように多彩でお得になれば、より多くの人にとってありがたいものになるだろう。

PC代替としての価値訴求に疑問もあるが、「最高のiPad」であることに疑いはなし

 アップル発表会のレポートでも述べたが、同社はiPad Proから、iPadの位置付けを変えつつある。明確に「PCの代替」として、その市場から顧客を奪おうと考えている。高性能なペンである「Apple Pencil」が使えるのも、外付けキーボード「Smart Keyboard」が用意されたのもそのためだ。9.7インチ版は多くのノートPCよりコンパクトになるので、そこもアピールポイントとしたいのだろう。12.9型と9.7型のiPad Proは、周辺機器に関する互換性が高く、キーボード接続用のSmart Connectorも同じ。だから、12.9インチ版のSmart Keyboardを9.7インチ版につけることもできる。絵面を見ると少々おかしいが、タブレットの欠点である「トップヘビー」な状態が緩和され、特に膝の上での安定性がぐっと増す。キーの間隔も広くなって打ちやすくなるので、もし可能なら、店頭などでこの組み合わせも試してみていただきたい。

9.7インチ版iPad Proに、12.9インチ版用のSmart Keyboardをセット。これでももちろん使えるし、むしろ安定する。ただし、もちろん持ちづらくなるし、マグネットによる自動点灯機能は働かなくなる

 とはいえ、そもそもの問題は「iPadでPCを代替する」というシナリオが妥当か、という点だ。

 この原稿はすべてiPad Proで書いているし、それに限らず、みなさんが目にしている筆者の原稿のかなりの部分がiPad Proだけから生まれている。別に無理しているわけでも、変なことをしているわけでもない。使うアプリやワークフローは違うが、きちんと仕事はできる。

 ただ、今、iPad Proで仕事することをすべての人に簡単に勧めるか、というと、そうではない。「iPad Proを選ぶべきだ」とするには、「PCよりよいこと」がなくては意味がない。ワークフローを変えるには有形無形のコストがかかるわけで、そのコストに見合う良さが必要だ。

 筆者はiPad ProでもPCでも仕事をしている。iPad ProがあればPCはいらない、というのはかなり言い過ぎだと思うが、一方で、日常的な仕事の道具として、「文字の美しさ」「タッチを生かしたアプリケーションの完成度」「反応の速さ」は美点だと感じる。2010年から11年頃、iPadをモバイルPC代わりにしようとして失敗した例は多く聞くが、その頃とはOSの完成度もアプリの質も、そしてクラウドストレージや通信の速度も変わった。特に、マイクロソフトがOfficeの完成度を高めたことが大きかった。iOS 9.3で、外部キーボードでの文字入力に関する挙動も変わり、だいぶ「PCっぽく」はなってきた。

 ただ、ワークフローを作るにしろなんにしろ、今のiPadはどう使えるのか、どういうアプリをどう組み合わせるのがいいのか、という情報が少なすぎる。PCはそれを30年かけて積み上げてきたのだ。ハードウェアだけあってもやはり弱い。

 12.9インチ版が出た時、イラストやコミックを描く人々が注目したのは、あのサイズ感とペンの精度などを勘案すると「PCよりよい部分がある」と思ったからだ。9.7インチ版で、その辺をどこまで訴求できるだろうか。アップルがiPadで「対PC」に進むなら、価値訴求を本気で行なう必要もあるし、iOSの改善も進めなくてはいけない。

 一方で、iPadをなにに使うかはユーザー次第。「Pro」だからといって、電子書籍リーダーやゲームに使って悪いわけでもない。シンプルに「最新のiPad」としてみれば、9.7インチ版iPad Proは非常に完成度の高い製品である。小難しいことを考えず、そういう観点で選んでも間違いはない。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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臼田勤哉