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ついに買いやすくなったPS VRで、今から始めるVR生活。何が楽しめる?
2017年6月30日 08:10
昨年10月の発売以来、大きな注目を集めるPlayStation 4向けHMD「PlayStation VR」(PS VR)。ソニーストアをはじめ、家電量販店などで毎月のように品切れと再販を繰り返していたが、増産によって6月から取扱店舗数が232店から394店に拡大。これからは、より多くの人が買いやすい製品になりそうだ。新たにPS VRを手に入れた人に向けてどんな体験ができるのか、AV機能を中心に発売後アップデートされた点も含めて紹介する。
VR体験の準備
PS VRは、PlayStation 4(PS4)と組み合わせるVR体験デバイス。ヘッドセットに内蔵した有機ELディスプレイと左右のレンズによる3D立体視が可能で、ユーザーの視界360度全方位を取り囲む映像により、ゲーム空間に入り込んだ感覚でVRゲームを楽しめる。また、VR非対応の2Dコンテンツを映画館の大画面を見ている感覚で楽しめる「シネマティックモード」も利用可能。ゲームだけでなく、AV機器としても見どころが多い。対象年齢は12歳以上だ。
PS VRには2種類の製品があり、単品版(CUHJ-16000)の価格は44,980円。VRヘッドセット、プロセッサユニット、VRヘッドセット接続ケーブル、HDMIケーブル、USBケーブル、ステレオヘッドフォンなどを同梱している。ユーザーやコントローラーの位置をPS4が把握するための「PlayStation Camera」(単品5,980円)も必要で、これを同梱したバージョン(CUHJ-16001)は49,980円。
購入したらまず、各機器をケーブルで繋いでセットアップが必要だ。作業は箱を開けると最初に出てくる、A4サイズの「クイックスタートガイド」を見ながら行なう。
PS4とヘッドセットの間に、プロセッサユニットを挟むように接続する。背面に小さな排気ファンがあるのでそれを塞がないように設置しよう。HDMIやUSB、ヘッドセット専用ケーブルなど5種類のケーブルがあり、これをクイックスタートガイドの指示通りに繋いでいく。遊び始めるまで若干手間はかかるが、各ケーブルには番号の書かれたタグが付けられ、コネクタにも挿す向きを間違わないようマークが刻印されているなど、初めてでもユーザーがつまずかないよう配慮されている。スマホなどで公式サイトに載っている3つのチュートリアルビデオをチェックするとより分かりやすい。
ヘッドセットを装着する際の手順は、PS VRやテレビの画面で確認できる。ヘッドセットをかぶり、ディスプレイが入っている前方のスコープの位置を顔に合わせたら、後頭部のヘッドバンドにあるダイヤルを回して固定するという流れだ。眼鏡をかけたままでも大丈夫。最初は戸惑うかもしれないが、慣れればすぐに装着できるだろう。
プロセッサユニットとつながるケーブルの途中には、PS VR用の電源ボタンや音量調整ボタンを備えたリモコンがあり、手探りでもどれがどのボタンか把握できるよう凸凹がついている。側面のステレオミニジャックに、付属のイヤフォンや手持ちのヘッドフォンなどを挿して装着する。サラウンドなどの立体音響処理はPS VR側が行なうため、ステレオヘッドフォンでも映画やゲームをバーチャルサラウンドで楽しめる。
セットアップを進めて、ヘッドセット側でPS4のメインメニュー画面が見えたら、VR体験を始める準備は完了だ。そのまますぐに使い始めても問題ないが、PS4の周辺機器の設定項目にPS VRに関する項目が追加されているので、「明るさの設定」で画面の輝度を抑えて「目と目の距離の測定」を行なうと良い。これで見えやすさが向上し、疲れにくくなる。VR酔いしないためにも長時間使用は避け、1時間毎に15分休憩をとることが望ましい。
なお、PS4には4K/HDRに対応した上位機の「PS4 Pro」もあるが、PS VRの有機ELディスプレイは1,920×1,080ドット(片目に960×1,080ドット)で4K/HDRには非対応。ただし、PS4 Proの処理性能を活かしたグラフィックスの品質向上や、より高いフレームレート、映像表現の向上などが可能となる。
プロセッサユニットはHDR信号パススルーには非対応なので、PS4 ProでHDR対応コンテンツを楽しむ場合は、PS4 Proとテレビを直接接続する必要がある。
VRで遊ぶ前に、PS Cameraから約1.5m離れたところに座った状態で3×1.9m(縦×横)のプレイエリアを確保しておこう。ヘッドセットとプロセッサユニットを繋ぐ2本のケーブルは長さ約4.4m。基本的には座ったまま遊ぶことが推奨されている。ヘッドセットをつけたまま立ったり、ゲームなどで体を動かした時に、プロセッサユニットやテレビなどが引きずられることがないようにしたい。
PlayStation Storeでは、VR対応のゲームや360度映像を視聴できるアプリが購入可能。「バイオハザード7」や「バットマン:アーカム VR」などをラインナップしている。360度の綺麗な自然風景に癒されながら、VR空間に写したAndroidスマホの画面を見てダラダラ過ごせる「anywhereVR」など、ゲームではないVRソフトもいくつか用意している。なお、一部のゲームではVR空間内で直感的な操作を行なうため、「PlayStation Move」や「PlayStation VR シューティングコントローラー」といった別売の周辺機器が必要になる。
6月22日には、注目タイトルの「サマーレッスン:アリソン・スノウ 七日間の庭」や、シューティングコントローラーと組み合わせて遊べるFPSゲーム「Farpoint」が加わった。今後は、「エースコンバット 7」や「グランツーリスモSPORT」、FF XVのスピンオフとなるVR釣りゲーム「MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV」などがリリース予定。
YouTubeやDMM.comの360度動画を楽しもう
PS VRでは、YouTubeなどの動画サービスで配信されている360度動画やVR向けの映像コンテンツを、360度の視界でVR体験できる。
YouTubeでVR体験を始めるには、PS4のYouTubeアプリをPS VRを接続した状態で起動するだけ。途中で通常版(2D表示)とPS VR版のどちらを使うかを聞かれるので、指示に従ってPS VR版を立ち上げると、テレビに表示した時と同様のYouTubeアプリのUIが前方に四角く表示される。
見たいコンテンツのタイトルやキーワードが分かっていれば、検索窓を使って直接検索できる。とりあえず何か360度動画を観たければ、検索窓のすぐ下にある「VR動画」のタブを選ぶと様々な動画のサムネイルが並んでいるので、そこから選んで再生できる。
プロセッサユニットとテレビをHDMI接続していれば「ソーシャルスクリーン」機能によって、ヘッドセットで遊んでいる人の視点の映像をテレビに2Dでミラーリングできる。PS VRプレイヤーが見ているVRゲーム/VR映像を他の人も見て楽しめるのだ。なお、コンテンツによっては、ヘッドセットとは異なる映像をテレビに出力するセパレートモードが利用できる。
YouTube以外にも、PS VRでの360度表示に対応した映像配信サービス用アプリがPlayStation Storeに用意されている。
DMM.com
DMM.comがPS4向けに提供している映像配信アプリ「DMM.com」は、舞台やアーティストライブ、ホラーやアイドル、グラビア、アダルトまで多彩なVR動画をラインナップ。PS VRを接続していれば、VRモードでアプリが使える。ログインページでDMM.comのID、PASSを使ってログインし、サイト上で購入したVR専用動画を楽しめる。アプリは無料だが、コンテンツは基本有料だ。
Littlstar VR Cinema
「Littlstar VR Cinema」は国内外の様々なVR映像コンテンツが無料で楽しめるアプリ。6月時点では、ポルノグラフィティなど国内アーティストのライブVR映像や、アニメ風のVRアイドルキャラ「Hop Step Sing!」ミュージックビデオなどが配信中。360度パノラマ映像などのVR配信プラットフォームを手がけるLittle Star Mediaが、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)と提携して提供している。
「シネマティックモード」で3D BD再生。「THETA」の360度映像も
「シネマティックモード」は、VR非対応の2Dコンテンツを最大226型相当の大画面で楽しめる機能。上記のVRモードとは異なり、映画館の大画面を見ているような体験ができ、PS4のすべての機能とタイトルが対応している。2D表示のゲームはもちろん、NetflixやHulu、Amazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスや、torne・nasneのテレビ放送/録画番組も再生可能だ。
3月のPS4システムソフトウェア更新で大きく強化され、リフレッシュレートは最大120fpsとなり、画質向上が図られた。さらにBlu-ray 3Dの再生にも対応。3D表示機能を備えたテレビは減っているが、PS VRがあれば手持ちのBlu-ray 3Dソフトを大画面で立体視できる。
シネマティックモードのスクリーンサイズは「大」(226型相当)、「中」(163型相当)、「小」(117型相当)の3種類が選べる。このうち、「大」・「中」は暗い映画館にいるような雰囲気で、黒い空間の前方に大画面が浮いているように表示され、上下左右に首を振ると何もない空間が広がる。「小」は画面が常に中央に固定されるので、自由な姿勢で観るのに適している。
Blu-rayソフトなど高画質なコンテンツは「大」で観るのがオススメだが、正面を向くと画面の外周が視界の外にはみ出るので、画面の隅々まで見るには首を動かさなければいけない。没入感を味わいたければ「大」、全画面を視界の中に収めたければ「中」と使い分けよう。
また、自分で撮影した360度動画・写真もPS VRで楽しめる。やり方は、PS4の「メディアプレーヤー」アプリをVRモードで起動し、アプリ側でホームネットワークのサーバー上や、PS4に接続したUSBメモリ上の360度映像・写真ファイルにアクセスして再生するだけ。
THETA S/SCのユーザーであれば、PS4のUSB端子にカメラ本体を直接接続して撮影データを読み込める。パソコン経由でデータを取り出す必要が無いので便利だ。
使用後のヘッドセットはきちんとケアしておこう。レンズは奥まった箇所にあるが、顔の皮脂や埃が付着して汚れることが少なくないので、レンズ用クリーナーなどを使って時々手入れが必要だ。レンズやゴム製の遮光板への埃の付着を避けるためにも収納場所を用意するか、サードパーティ各社が販売しているPS VR専用のケースやスタンドを用意すると良い。また、前方のスコープとヘッドバンドを繋ぐ部分は細く、スライドする可動部もあって決して頑丈なつくりではない。装着時や卓上に置く際などの扱いにも気をつけたい。
PS4・PS VRは、ハイスペックで高価なゲーミングPC・VRヘッドセットよりも手に取りやすく、いつものゲームを遊ぶ感覚でVR体験を始められるので、手軽でハードルが低い。対応ソフトやサービスが増え、ゲームだけでなく、360度動画やBlu-ray 3Dなど様々なコンテンツが楽しめるのも魅力だ。
また、かつてソニーのヘッドマウントディスプレイ「HMZシリーズ」を使っていたユーザーにとって、PS VRの「シネマティックモード」は嬉しい機能だろう。ゲームはしないという人にもぜひ体験してもらいたい。