XV-Z9000は、DMDに1,280×720ドットのものを採用。これにより、デジタルハイビジョン放送の720p信号をそのまま表示できる。なお、0.8型1,280×720ドットのDMDを採用した製品は、三菱が3月にリアプロジェクタ「65-DL1」を発売しているが、フロントプロジェクタではXV-Z9000が世界初となる。 各光学部品には、低反射ARコーティングを施したほか、DMD素子への入射光の最適化、投射レンズ前の入射遮蔽板を採用した。さらに、光学ユニット内の迷光や、DMD素子ミラー以外での反射による光漏れなどを削減し、コントラスト比1,100:1を実現。「単板式DLP、液晶プロジェクタのなかで、最大のコントラスト比」としている。 カラーホイールも、従来のW(透明)を含んだRGBWの4色構成ではなく、RGBの3色で構成されたシアター専用設計「プライマリーカラーホイール」を搭載。黒浮きを抑えた。
さらに、カラーホイールの回転速度も、1枚のホイールを6パートに区切った上で、2.5倍のスピードで回転させる5倍速相当(従来は2倍速)となっており、「カラーブレーキング(カラーフリッカー)を、ほとんど確認できないレベルまで改善した」としている。 レンズは、1.35倍手動ズームレンズ(F3.0、f=32.5~44.0mm)を搭載し、レンズシフト機能も備えている。投射サイズは30~300型、投射距離は100型で4.0~5.5m、300型で12.2~16.5m。視聴する部屋の環境に応じて明るさを切り換えられる「シアターモード切換機能」を備え、「ブライト時」には800ANSIルーメン、「標準時」には600ANSIルーメンとなる。 画質面では、独自開発の高画質ICを搭載。DVDなどの480i信号入力時に、自動的にフィルムソースの場合は「2-3プルダウン変換」、ビデオソースの場合は「動き適応型IP変換」を適用する。加えて、NTSCなどの低解像度ソースから1,280×720ドット(パネル解像度)への変換には、「高性能スケーリング技術」、「高画質輪郭補正」を使って、ジャギーや画像のボケ感を抑えている。 そのほかにも、画面全体の輝度、明部/暗部の占める割合をフレーム毎に演算し、映像ソースに応じた補正を行なう「10ビットダイナミックガンマ補正」も装備する。また、ガンマ補正値はプリセットで4モード内蔵。さらに、RS-232Cで接続したパソコン上で、同梱のガンマコントロールソフト「SHARPVISION Manager」を使用すれば、RGB各色ごとに細かく調整することもできる。なお、色温度設定については、5,500K~11,000Kまで7段階の設定値が用意されている。 騒音は、排気ファンに風切り音が少ないシロッコファンを採用。加えて、排気口までのダクトを長風路化し、さらに音をいくつかの仕切られた消音室を通すことにより、32dB(シアターモード:標準時)を実現した。 映像入力端子は、コンポーネント入力を2系統(RCA×1、D4×1)、ビデオ入力2系統(S2×1、RCA×1)、アナログRGB(D-sub15ピン)を1系統備える。また、付属のリモコンは、バックライト付きで、ガンマ補正や色温度設定、入力切換といった使用頻度が高い機能をダイレクトに操作できる。 XV-Z9000の直接の対抗機と考えられるのは、ヤマハが5月に発売したDLP方式のホームシアター向けのフロントプロジェクタ「DPX-1」。DPX-1のDMDは、0.9型1,024×768ドットとなっており、XV-Z9000の方が0.1型小さく縦方向の解像度は低いが、横方向の解像度は高くなっている。 シャープは、“液晶シャープ”として有名であり、なかでも同社の「XV-Zシリーズ」はホームシアター向けの液晶プロジェクタとして展開してきた。今回のXV-Z9000は、そのXV-Zシリーズの最上位機種となる。“液晶のシャープ”のフラグシップモデルが、液晶ではなくDLP方式になった意味は大きい。 同社では「もちろん液晶を全面的にやめるというわけではなく、今回の機種ではDLPが最良の方式と判断しただけ」と話している。
□シャープのホームページ (2001年7月17日)
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