ソニー、新規格「MICROMV」採用の小型ビデオカメラ
―世界最小最軽量を実現、単体でのインターネット接続も可能


10月10日発売

標準価格:オープンプライス

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 ソニーマーケティング株式会社は、新記録フォーマット「MICROMV(マイクロエムヴィ)」を採用した世界最小・最軽量のビデオカメラ「DCR-IP7」を発売する。愛称は「ネットワークハンディカムIP」。発売日は10月10日。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は17万円前後と見られる。なお「IP」は"Image Portal"の略としている。

 同時に、60分記録のMICROMVカセット「MGR60」も発売される。オープンプライスだが、店頭予想価格で1本1,500円前後になる見込み。なお、現在のところ、60分以上のテープの発売予定はないとしている。

 また、バッテリパック、ACアダプタ、16MBメモリスティック、MICROMVカセット「MGR60」などで構成されるアクセサリーキット「ACCKIT-MF50」(標準価格:27,000円)も同時発売される。

 「DCR-IP7」は、1/6型68万画素CCDと光学10倍ズームレンズを搭載したデジタルビデオカメラ。ボディは外形寸法47×80×103mm(幅×奥行き×高さ)、重量約310g(本体のみ)で、世界最小・最軽量としている。レンズにはカールツァイスの「バリオゾナー」を採用し、電子式の手ぶれ補正機構も備える。

バッテリ取り付け面の一部がプラスチック製で、それ以外のほとんどがマグネシウムダイキャスト製

背面の接眼部と操作部 メカデッキ

 最大の特徴は、テープ記録方式として新開発の「MICROMV」を採用したこと。これは、ミニDVカセットの容積比約30%という小型なテープメディアで、記録形式にビットレート12MbpsのMPEG-2を使用する規格。トラック幅を5μmとし、DV方式の約3倍の高密度記録を可能にした。記録波長は0.29μm。磁性体には新開発の「ナノクリスタル磁性体」を高密度充填し、「135kA/mの高保持力を実現した」としている。

「MICROMV」のロゴ 超小型のテープメディア「MICROMV」 ミニDVテープ(右)とのサイズ比較

 MICROMVカセットの外形寸法は、46×30.2×8.5mm(幅×奥行き×高さ)。テープ厚は5.3μmで、磁性層厚は0.05μmとなっている。

 記録、再生の各ヘッドには、HDDで利用されているMRヘッド(Magneto-Resistive Head)を採用。短波長化で微細になった信号を、高感度で読み取ることができるという。また、記録、再生にそれぞれ2ヘッドを使用。1つのデータを2回再生することで、5μmのトラック幅での記録・再生が可能になったとしている。


新フォーマット「MICROMV」の技術概要。新開発のVTR用MRヘッドによるダブルスキャン方式など、小型化のための新技術がとりいれられいる

 この「MICROMV」方式に対応するため、「DCR-IP7」には新開発のビデオコーデックチップ「CXD2890」を搭載した。これは、MPEG-2(MP@ML)のエンコード、およびデコードの同時動作や、MPEG-1からの変換をリアルタイムで行なう、48MbitのDRAMを混載したLSI。0.18μmプロセスで製造されており、ロジック部、DRAM部ともに1.5Vで動作する。同じく新開発の12Mbit DRAM混載カメラ信号処理LSI「CXD1541」や、20Mbit DRAM混載のMPEGストリームコントローラと組み合わせることで、12Mbpsの転送レートを実現できたという。

MovieShaker Ver.3.1 for MICROMV

 なお、パソコンへの取り込みは、アクセサリーキット同梱のソフト「MovieShaker Ver.3.1 for MICROMV」でのみ可能。インターフェイスはIEEE 1394となっている。

 「MICROMV」では、録画スタートから録画ストップまでを1ファイルとして自動で切り分ける機能があり、取り込みはファイル単位で可能。また、1度取り込んだテープの場合、ファイルの先頭画面のサムネイルが表示され、それをもとにファイルごとの取り込みが行なえる。「MovieShaker Ver.3.1 for MICROMV」以外のソフトでの対応は、今のところ予定されていない。


 電源には従来より小型のインフォリチウムバッテリ「Fシリーズ」を使用する。「NP-FF50」(7,500円)と「NP-FF70」(12,000円)を本体発売と同時にラインナップし、「NP-FF70」での最長連続撮影時間は170分となっている(ビューファインダ使用、または液晶バックライトOFF時)。

 また、他のハンディカムシリーズ同様、本体にメモリースティックスロットを装備している。MPEG-1動画や、JPEGフォーマットの静止画を保存でき、動画のフレームレートは最高30fpsまで高められた。テープに記録した動画や、外部入力からの記録も行なえる。また、メモリースティックに記録したデータのパソコンへの取り込みは、USB経由でも可能。

 さらに、本体に64Kbitのメモリ「micro Cassette Memory(マイクロカセットメモリー)を搭載。これにより、1度に11シーンの表示が可能な「マルチ画面サーチ」機能などが実現し、「再生したいシーンをすばやく検索できる」としている。


Bluetoothモデムアダプタ「BTA-NW1」 メールの作成イメージ。3MBまでの画像を添付できる

 そのほか、9月10日発売のBluetoothモデムアダプタ「BTA-NW1」(33,000円)にも対応。「BTA-NW1」を介してダイアルアップ接続すれば、メモリースティックに記録したMPEG-1画像のメール送信や、専用アルバムサイト「イメージステーション」へのアップロードが行なえる。

 また、通常のWebブラウズも可能。

 最大50件のアドレス、最大30件のブックマークの登録が行なえるほか、ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社の「So-netかんたん接続」が本体に内蔵されている。

 BluetoothはVer.1.1で、使用周波数帯域は2.4GHz帯。通信可能距離は見通し最大約10m、最大通信速度は約723kbpsとなっている。なお、「BTA-NW1」の使用のほか、auの携帯電話「C413S」との組み合わせでもインターネット接続が行なえる。

DCR-IP7を手にする木村敬治プレジデント

 モーバイルネットワークカンパニーの木村敬治プレジデントは挨拶の中、「今までPCと他の家庭用機器をつなげる新しい楽しみ方を提案してきたが、今年からはVAIOなどでBluetoothを中心にワイヤレスの提案をスタートしている。加えて、イメージステーションやパーキャスTVなど、インターネットを核にしたサービスを拡充中。今後はPC以外の機器でこれらインターネットサービスへの接続が増え、市場を牽引していくと考えている」と語り、「(DCR-IP7で)新しい市場を創造していきたい」と期待を述べた。

 なお、「MICROMV」について、賛同社や、他メーカーへの働きかけといった具体的な普及促進策の発表はなかった。しかし、同カンパニー内パーソナルビデオカンパニープレジデントの根本章二氏は説明の中で「普及を図っていきたい」とコメントしている。


【主な仕様】

  • 規格:MICROMV方式
  • 使用カセット:MICROMVカセット
  • 映像記録方式:MPEG-2
  • 音声記録方式:MPEG-1 Audio Layer 2
  • 音声サンプリング周波数:48kHz
  • 最大連続撮影時間(NP-FF70):170分(ビューファインダ使用時、または液晶バックライトOFF時)
  • 撮像素子:1/6型68万画素CCD
  • レンズ:F1.7~2.3、焦点距離44~440mm(35mm判換算)
  • ズーム倍率:光学10倍、デジタル120倍
  • フィルタ径:30mm
  • 最低被写体照度:15ルクス
  • 静止画解像度:640×480ドット
  • MPEG-1解像度:352×240/144×96ドット
  • 液晶モニタ:半透過2.5型ポリシリコンTFT
  • インターフェイス:IEEE 1394、USB
  • 電源:インフォリチウムバッテリ
  • 消費電力:3.5W(ビューファインダ使用時、バックライトOFF時)、4.2W(LDC撮影時、バックライトON時)
  • 外形寸法:47×80×103mm(幅×奥行き×高さ)
  • 重量:約310g(本体のみ)
□ソニーマーケティングのホームページ(Sony Drive)
http://www.sony.co.jp/sd/
□「DCR-IP7」のニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200108/01-0820/
□「イメージステーション」のニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200108/01-0820A/
□製品情報(8月21日開始予定)
http://www.sony.co.jp/IP/

(2001年8月20日)

[orimoto@impress.co.jp]

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